自炊大学生の長い呟き

大学生一人暮らしの自炊を始めて一ヶ月が経った。かれこれ色んなものを作った気もするが、実際振り返ると新しく身につけた料理はそんなに多くない。それもそのはず、この男家庭料理の帝王であらせられるカレー様ですら成功までに三回もの夕方を費やしているのだから。
既にお分かりの通り、私は料理の「り」の字も知らない「ド」がつく素人だ。自炊は愚か、料理も学校での調理実習が最後というこの男に、敬愛する母のような美味しい料理は作れないし、敬愛する父のような的確な味のアドバイスをしてくれる同居者もいない。この男に4年間自炊と共に歩むなど「酷」以外の言葉を当てるのは正しく「酷」である。
しかし私は大学生活において掲げた最も大きな目標のひとつとして、自炊のプロ即ち「専業主婦」になれるスキルを習得するということを両親にも宣言し、わざわざ二口コンロのある築半世紀近くのおボロ屋をアジトにしているわけで、妥協という文字を吾輩の辞書から引きちぎって燃えるゴミに捨てた一ヶ月前が既に懐かしい皐月である。
そういう訳で、私がこの「note」という小説やらエッセイやらを投稿するアプリを始めた理由は、私の自炊生活を支える或いは監視する役目をになってもらうためである。
新しい料理に挑戦する度に記録を残し、より美味しく美しい料理を作るためのレシピ件日記帳のような存在意義をこの子に持たせる。これは余談だが、インスタとかウェイ系のアプリに投稿するほど度胸がないというのも「note」を選んだ理由だ。
というわけで、私ムウの自炊生活が本格的に始動する。4年後、自信を持って俺は料理が得意だと言えるように、自信を持って専業主婦になれるように、自信を持ってインスタに写真をあげられるように、じっくりコトコト自炊を楽しんでいこうと思う。頑張れ俺…!

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