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すりかえかめん 傾向と対策

「すりかえかめんが出す問題を、日本一速いスピードで解きたい。」

子どもの頃、誰もがそう思ったことがあるだろう。

すりかえかめん、
それは神出鬼没のエンターテイナー。
それはパーマンのような風貌の英雄。
それは謎めいた存在。

それは、あの日の熱狂の記憶──


この記事の目的・方法

「すりかえかめん」とは、言わずもがな Eテレ(旧: NHK教育)の番組『おかあさんといっしょ』の人気コーナーである。

小林演じる「すりかえかめん」 が、毎回「とっておきのすりかえ問題」と称し、イラストの一部を似たようなものにすり替えてしまい、どの部分が変わったかを当てさせる内容(いわゆる間違い探し)の日替わりコーナー。専用の仮面と衣装を着用し、うたのおねえさんに「見て、すりかえかめんよ!」と言われ、「にゃは〜」と挨拶して登場する。
すり替えることが大好きだが、難易度が低いために大抵はスタジオの子供たちに答えられてしまい(自身が勝利するのはごく稀)、捨て台詞を残して去るのが定番だった。
すりかえた後の絵は一瞬しか見せてくれないが、うたのおにいさんやおねえさんに「もう一回見せて」と頼まれると根負けして見せてしまう。また、ダジャレでヒントを言うのも定番だった。
Wikipedia『小林よしひさ』 1.2.3 すりかえかめん より引用

上記のWikipediaの引用にも一部記載があるが、
 ① オリジナルのイラストの提示
 ② すりかえかめんによる「すりかえすりかえ すりかえチェ〜ンジ! にゃっは〜 すりかえたぞ〜!」という魔法
 ③ すりかえ後のイラストの瞬間的な提示
 ④ 子どもたちの「もう一回見せて」という要求
 ⑤ すりかえ後のイラストの数十秒にわたる提示
 ⑥ すりかえかめんのダジャレによるヒント
 ⑦ 子どもたちの答え合わせ
という流れでコーナーは進行する。

このうち第⑤段階で解答して満足するキッズが大多数だろう。
しかし、彼らの心の奥底にあるのは「どうせ第①〜④段階では答えられない」という諦めではないだろうか。しょせん制作側の想定の範疇に安住しているにすぎない現状が悔しくはないのか。

この記事の目的は、「過去のすりかえ事例を研究し、そのパターンを抽出することで、今後すりかえをより早い段階で見破れるようにする」ことである。
以下に記す内容を活用すれば、上の①〜⑦のうち、第③段階、延いては第①段階での解答も決して夢ではない。



研究材料の収集方法としては、SNSでの検索を採用した。Twitterの「おかいつ界隈(おかあさんといっしょ界隈)」の熱量には驚かされるばかりであった。

なお、著作権の関係上この記事では実際の問題画像を貼ることはできないため、少し読みにくくなるかもしれないが、ご容赦願う。

さて、少し論点がすりかわってしまい前置きが長くなったが、そろそろ本題に入ろう。
すりかえには、「3つの頻出パターン」が存在する。順を追って見ていこう。


すりかえの8割は「自然物⇄人工物」「生物⇄無生物」の交換である

まず1つ目は、すりかえの基本となる総論的な話題である。
すりかえかめんは実に紳士的な出題者なので、すりかえ後のイラスト単体で見たときにも違和感を抱かせることを美徳としている。
そのため、ほとんどのすりかえでは「自然物と人工物を入れ替える」「生物と無生物を入れ替える」のような手法により、コラージュのような不自然さを残しているのだ。
カラスとハトをすりかえるようなことはまず起こらない。

ただし例外として、「公園の木ブロッコリー」「馬車の車輪メガネ」のような事例も存在する。
これらに関しては、サイズからして明らかに違和感があるため、自然物どうし、人工物どうしのすりかえを許容しているのではないかと思料される。

また、自然物は基本的には動物または青果である。形が特徴的な動物や青果は最頻出なので、例えば「黄色くて細長いものが出たらバナナに変化することを疑え」のような各論に踏み込んで過去問演習するのもよいだろう。

さらにいえば、「首を曲げた白鳥コーヒーカップ」の変化が起こる回では明らかに白鳥側が無理な姿勢をしていたり、「白い雲→ソフトクリーム」の変化が起こる回では最初から雲の形が怪しかったりする。
このようなイラストの作為に敏感になることで、第①段階での解答が可能になる。


「季節のイラスト→季節のイラスト」に注目しろ

2つ目は、すりかえかめんが四季の変化を子どもたちに教える役目を担っていることに注目した話題である。
すりかえかめんは出題者でありながら、教育者であり、伝道師なのだ。

「朝ごはんを食べる家族」のような普遍的なシチュエーションのイラストではどこが変化するかが分かりにくいが、季節特有のシチュエーションのイラストでは十中八九そのイラストの主題が変化する。

さらに、すりかえ後のイラストも季節のイラストである事例は往々にしてある。これは先に具体例を見た方が分かりやすいだろう。

【例】
・ひまわり畑のイラストでは「ひまわりの花麦わら帽子」と変化した。
・海水浴場のイラストでは「白い雲と監視員の高台ソフトクリーム」と変化した。
・夏の金魚の水槽のイラストでは「赤い金魚スイカ」と変化した。
・秋の遠足のイラストでは「オレンジのリュックサックジャックオーランタン」と変化した。
・雪景色のイラストでは、「赤い家を囲む雪原クリスマスケーキ」と変化した。

この典型パターンの出題では、少なくとも第③段階で解答できるようにしたい。


イラストの使い回しに注意しろ

3つめの話題は、やや発展的である。
なんと、かつて「すりかえ前のモノ」であったイラストが数ヶ月後、数年後の回では「すりかえ後のモノ」となっていることがあるのだ。
例えばアシカショーのイラストでは「アシカ長靴」と変化したが、ハロウィンのイラストで「魔女の帽子アシカ」と変化した。
さらに、驚くべきことに「カエル→緑のスリッパ」と「緑のヘルメット→カエル」と「カエル→緑のヘルメット」はいずれも既出である。

ただし、このようなイラストの使い回しは気付くことが困難であるため、今後のすりかえかめんに活かすのはやや難しい。上級者向けの対策といえよう。

もし過去問を何周も周回する場合、2周目以降には是非とも意識したいポイントである。


おわりに

以上の3つのポイントが「すりかえかめん」の傾向と対策の要である。これらは、すりかえを見破るテクニックの向上に大いに資することだろう。

しかし、1番大切なのは、我々が子どもの頃に抱いていたようなすりかえかめんに対する情熱にほかならない。
児戯と侮っていては、いつまでもすりかえかめんに「にゃは〜」と嗤われるままであろう。

ということで、皆さんも素敵なすりかえライフを!

※「すりかえかめん」のコーナーは、よし おにいさんの退任(2019年3月)とともに終了しました。

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