すこあめうた
3/13。雨だ。雨は別に嫌いじゃない。雨にそんな悪い印象がないのは、私が、雨をテーマにした曲の雰囲気が好きだからだ。私が好きな歌というのは、聴きながら死にたい、このまま人生を終えたい、と感じる曲のことを指す。私が好きな雨の歌は、だいたい土曜日の雨の雰囲気がある。私は土曜日の雨が好きだ。私は、私が外に一切でない日の土曜日の雨が好きだ。
暇だから、すこな雨の歌を列挙して、好きなところを言語化する。わたしは、好きなものをなんとなく好きと思うのではなく、好きなところを論理的に語ることのできるオタクになりたい。理系なので。
雨は毛布のように/KIRINJI
KIRINJIといえばエイリアンズ、私は逆張りキモオタクなのでこっちの方がすき。愛のかたまりよりも恋涙派。銀色暗号ももはや王道。私は逆の逆を張って行く。
毛布のように、と聞くと優しく包み込むイメージだけど、歌詞は土砂降りのなかではしゃぐわんぱくな二人を描いていて、でも曲は優しさがあって、KIRINJIの無機質さでなんとなく他人事感があって、でもそこにaikoのコーラスが入ることで優しさと切なさが広がっていく感覚。土砂降りのなかじゃ『パシャッ』じゃなくて『ドバシャッッッ』だろ。でも二人のなかでは楽しい記憶で、大量に突きつける雨すらも柔らかく、自分たちだけを包み込んで優しくしてくれるような、愛おしい思い出になっているのだろう。土砂降りの街を綺麗と表するとことか、雨音をビートとして音楽とともに楽しんでいるところとかが好き。メタ的で。私が雨の歌を好きなのは、無機質な雨音をリズムに変えてくれるからかもしれない。Cメロの徐々に盛り上がっていくところが、より雨が強くなって二人の心も盛り上がっていく感情が見えてめちゃめちゃ良い。他のことを投げ出して、二人だけが毛布の中で暖め合う。いいじゃあないかおい。ていうかKIRINJIの曲は全部雨の日に聞きたい。マイナーで優しく私に語りかけてくれて心地良い。
Rain Beat/GRANRODEO
私は谷山紀章ガチ恋同担拒否キモオタクなので、谷山紀章が泣かせにくりゃそりゃ泣くんですが、この曲は作曲の飯塚さんがただただ泣かせるためだけに作ってて最高。周りの目を気にせずに俺は泣く。新譜で新たにLive Versionを新録してるらしいんですが、これを聞いたら俺はまた谷山紀章の沼から抜け出せなくなることが確定しているので当分聞けません。私が谷山紀章を得るのには大変な覚悟が必要。
イントロからもう泣かせにかかっててあざとさすら感じられるのですが、サビはわりとロック。なのに降っている雨は静かで、雨が降っていないときよりも際立つ静寂。静けさから目を逸らして、どうにか君の気持ちを知りたいけれど、抱きしめても君の感情はわかりっこなくて、距離は近いはずなのにより静寂が際立ってしまう。静寂を雨で表現するところが谷山紀章の厨二的精神だな~~~好きだ~~~となりました。でも一番の泣き所はやっぱイントロとアウトロの雨音のようなピアノの音なので、飯塚さんの優勝です。
Midnight Rain/KinKi Kids
雨といえば心中。心中といえばKinKi Kids。
竹内まりや御大がKinKi Kidsの二人のために書き上げたKinKi Kidsのための歌。そこに雨という題材を持ってくるの、KinKiに対して哀しいイメージしかないじゃん……………すき………………………
曲が実写雨音から始まる大直球。イントロずっと後ろに雨音流れてて、雨のなかでイヤホンで聞けば、いまあなたがいるその場所も音楽の一部になる。一体感。
歌詞が『夜の帳(とばり)が』からはじまるんですよこれ とばりて 大昭和で最高 やっぱ昭和歌謡曲なんだよな 切なさと哀愁を全部ひっくるめて作品として消化できて、歌詞見なくても曲調だけで泣ける 昭和歌謡曲が俺たちを救う
意外と歌詞はストレートで、彼氏持ちの人を愛してしまったけれど彼女は行ってしまって、記憶を浮かべては一人では耐えられない痛みを雨に流してほしい歌。こんなん彼氏いたのに遊んでる女が悪いやろ。雨は非情な現実を突きつけてくるけれど、同時に自分の弱さや痛みも洗い流してくれるんじゃないかと願っている男の姿、だいぶ無様。その無様さが人間なんだよな。KinKiの歌詞はわりと現実的なので、どれだけ美しく、完成され、トップに立つアイドルであっても、彼らも私たちと同じ人間で、苦しんで耐えて願って醜く生きている事実がずっしりとオタクにのしかかってくる。だがそれが良い。儚くて、いつか消えてしまうような尊いKinKiという存在も、人間だからここまで続いていて、人間だからこそもっと儚く感じられるのである。
あと、この曲はカップリングなんですけど、A面は山下達郎作曲KinKi作詞のキラキラで明るい歌なんですよね 旦那が作ったキラキラなあの頃のジャニーズメロディーと、嫁が作った哀愁歌謡曲の対比 これもまた良し ありがとう 感謝 土下座
なによりKinKiの台詞つきなのが竹内まりやの性癖出てるんですが、竹内まりやくらいの方に言われないとKinKiもこういうことしなさそうなので本当にありがとうございます。ライブでもやれ
雨のMelody/KinKi Kids
KinKi2曲目ですんません。やっぱ雨といえば哀愁、哀愁といえばKinKi Kidsなので。許してクレメンス。1999年に発売、KinKi Kidsまだまだ絶好長期のシングル。KinKiはデビュー曲硝子の少年も『雨が踊るバスストップ』から始まる雨男コンビなわけで、やはりKinKi Kidsという存在を曲で表すには、雨という儚くも脆く、優しさがあるかと思えばときに全てを破壊してくる、そんな手に負えない神秘がピッタリなのである。そんな二人が20歳になり、硝子の少年から一つ階段を歩んだ先で見えた景色が、雨のMelodyなのである。
20歳。男として1つ成長したことで、優しさよりもワイルドさが溢れるお年頃。曲の入りから『好きだよ壊したいくらい』なんて乱暴すぎるわよちょっともう でもその感情は残しつつ、そのころのことを後悔しちゃうかわいい歌~。まだまだ未成熟で、雨が追い討ちをかけることで、自分にはなにもないと気づいちゃうのが可哀想。そうやって人間は成長していくんだね。サビ終わりの歌詞が『それはそうさ確かにそうだけど』なの、やるせなさと無力さが全て表れていてめちゃめちゃによい。人間の生きる行為の無意味さ。ラスサビもそれで終わってほしさがあった。でもジャニーズのシングル曲だしちゃんと終わらせたい気持ちもわかる。でも最後の一文は蛇足すぎるだろ、風情がねえな、とも感じる。歌詞ってむじぃ~
欲望のレインのことも書きたかったのですが、またKinKiの良さを長文だらだら書くおばさんになるのでやめます
雨のリグレット/稲垣潤一
雨が降って過去を後悔する 結局これなんだよな 雨が降ると何故か人間は自分を見つめ直してしまうんです そこで自分の愚かさに気付き、過去をやり直したいと願う でも過去をやり直すことなんて不可能なんだから、その願いでさえ愚か そのことに気づかず、また人生を歩んでは、雨が降る度に思い更ける 私が雨の曲を聴きながら死にたいのは、こういう人生のどうにもならない部分、人間の悪い欲から目を逸らして生きてきたことへの贖罪なのかもしれない
この曲はそんな弱い男が泣きながら電話してる歌 醜いですねえ 私は人間の人間らしさをもっとリアルに味わいたいんだろうな
音楽的知識があればこの曲のこのフレーズのコード進行が…………みたいな話をしたいのだが、全然、曲の全部のメロディー、フレーズが好きなので全楽器演奏者ありがとうの気持ち。歌詞をもっと本質まで理解するためには日本語の素養をもっと身に付けなければならないんだろうけど、今のシンプルな状態で感じるこの想いも曲の一部としたいです私は。自分本意の言い訳で、作り手からしたら最悪でしかありませんが。
なんかもっと切なくて哀愁あってノスタルジックで~みたいなことを書こうとしていたのに結局人間の醜さについて語ってしまった すきな雨の曲、まだまだい~っぱいあるので、どれが本当に聴きながら死にたい曲かを人生かけて見極めていきたい。
note書き終わったら雨はもう止んでいた。雨降ってる中で読んでほしい記事だったのにな。もっと早く書けばよかった。
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