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安心している人

そうだねと笑顔で話し傾聴が得意な人がいる。これは安心している人だ。不安な人のように、でもなどと開口一番に言ってこない。安心している人の特徴はこれだけではない。熱量があるのだ。それも静かな熱量だ。

静かな熱量とは誰かに話すこともなくコツコツと続けていることができる意欲のことである。本を読むこと、料理をすること、散歩すること、朝自分の時間を持つこと。人によって違う。初めのうちは、それができたらいいな、かっこいいなと思って始めたことかもしれない。その頃はその人も不安な人だった。周囲と自分を比較し、自分のなりたいイメージ、言い換えるならば理想をかかげて行動した。それがいつしか習慣になり、無理なくできるようになった。呼吸をするようにできるようになった。肌に馴染むようになった。他にもその人の中にはやってみたことはある。走ること、友達と自分から連絡をとって会うこと。人によってはこれが習慣になることもある。しかし、ある人によっては続かなかったりする。続かないものは続かないものでいい。無理なく生活した先に、自分が心地よいなと思えたものの先に静かな熱量を持ってあたることというのは現れる。

静かな熱量にはエゴがない。うまくやろうとせず、その時の感覚のままに取り組む。これを”操られているようだ”と例える人もいる。これは例えであり、本当に操られているわけではない。自分が意思していない、狙っていない、効果や結果を期待していないという意味である。会社や学校に所属する場合、その置かれた環境の方向性に従い、動くことが求められたりする。そのような環境では静かな熱量によって自身が動くことは極めて難しい。安心している人にはなりにくい。

そのような中でも安心している人として、人の話をそうだねと聞ける人がいる。一方で、何かするように強要してきたり、何かの基準で判断してきたり、条件を持って良し悪しを述べてくる人がいる。これは不安な人だ。安心している人はこのようなことはしない。周囲にいる人の個性に気がつき、ただそばにいて見守っている。能力的に厳しい、初めてだという時は一緒に付き合う。相手も無理なくことにあたれ、安心している人自身も周囲との諍いがなく生活している。静かな熱量に従って行動した先には避け難い困難は起こらない。誰かから怒鳴られたり、何かと遠慮してかわされたり、存在を無視するかのように冷酷に対応されることがない。

安心している人学校や会社での静かな熱量は、集団の風土やルールを理解した上で成り立っている。つまり、ロジカルシンキングができた上で、物事を広い目で捉えて、客観的に捉えた上で成り立っている。自分の趣味思考、気分によって行動を決めたりしない。これは何事も継続しない。不安な人の在り方である。安心している人は広い視野を持って、今やることを決める。自然と広い視野を持っているため、やることも一番やりやすいものとなる。それが大抵の場合は集団が今求めていることになるので、周囲との関係も良好となる。大事なのは安心している人自身が事にあたろうとしていることを、無理にしようとしていないところだ。広い視野を持って、物事を捉えていると自然と広く浅く物事に取り組むといった形となる。不安な人は不安なので、目についたところから片っ端から取り組んでいく。時間も足りなくなり、そのやり方は雑であり、ムラがある。一流のやり方とは到底遠いものとなる。この在り方では永遠に安心した人に追いつけることはない。そもそも安心した人になれない。

安心した人になるにはロジカルシンキングができるようになることも一つの手段であるが、これでは不安な人のままである可能性は高い。なぜなら、物事を客観的に捉えられたとしても、その意欲にエゴがあれば不安な人のままだからである。物事を整理や分析できたとしても、そこに尺度があれば不安な人のままである。それでは尺度、言い換えるならば色眼鏡、エゴをなくすためには何もしないことをするといい。ベットにゴロンと横になり、深呼吸して頭と身体を空っぽにする。すると、安心した人になれる。静かな熱量が自分の中で大きくすることができる。何かやりたいと閃き、それを下手でもいいからやってみる。取り組み始めたら、楽しむ。子供のように。するとそれがなぜか自然と続けている事になる。不安な人であった時は好きなこと、趣味などもなかったのに、何となく始めたそれが趣味になっている。

安心した人になると自分らしいなと思える人生を歩める。これまでは周囲の人が良いと判断したことをなぞってみただけだ。大変な環境から脱出するために、置かれた環境での最善の選択をしただけだ。それはそれでよかった。しかし、もうこれ以上何かをできるようにしてみたり、これをしなければいけないと気張らなくていい。むしろ何もしないことがより満たされる事の一番の近道である

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