第213回通常国会 内閣提出法案61号 学校者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案 をmgmgしてみる

こども家庭庁▶【衆議院】本会議/地域・こども・デジタル特別委員会▶本会議/内閣委員会▶成立
「日本版DBS法案(児童対象性暴力防止法)」
・衆参重要法案指定
・衆参参考人質疑
(公布69号 令和06年06月26日 内閣)
ーーーーー
衆議院
https://www.shugiintv.go.jp/jp/

学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案(213国会閣61)

🐾
2024/05/09
衆議院本会議

(所要1時間45分程度)
「日本版DBS法案」趣旨説明および質疑

2024/05/09
衆議院地域・こども・デジタル特別委員会

「日本版DBS法案」趣旨説明聴取、質疑

2024/05/14
衆議院地域・こども・デジタル特別委員会

重要法案
「日本版DBS法案」(こども性被害防止法案)に関する質疑

2024/05/16
衆議院地域・こども・デジタル特別委員会

重要法案
「日本版DBS法案(こども性被害防止法案)」
・参考人の意見陳述および参考人に対する質疑
・対政府質疑

2024/05/22
衆議院地域・こども・デジタル特別委員会

重要法案
「日本版DBS法案(こども性被害防止法案)」質疑、採決

2024/05/23
衆議院本会議

上がり法案の処理
「食料供給困難事態対策法」採決
「農業振興地域整備法」採決
「スマート農業促進法」採決
重要法案
「日本版DBS法案(こども性被害防止法案)」採決◀
「スマートフォンソフトウェア競争促進法」採決
「建設業法」採決
「公共工事の品質確保の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(213国会衆17)」採決
ーーーーー
参議院
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/index.php

学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案

🐾

2024/06/07
参議院本会議

(所要2時間15分程度)
1.「日本版DBS法案」趣旨説明、質疑◀
2.上がり法案の採決
学校教育法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)採決
「銃砲刀剣類所持等取締法」採決
「建設業法」採決
「事業性融資推進法」採決
「再生医療等安全性確保法」採決

2024/06/11
参議院内閣委員会

重要法案
「日本版DBS法案(児童対象性暴力防止法)」趣旨説明、質疑

2024/06/13
参議院内閣委員会

「日本版DBS法案」に関する参考人の意見陳述および参考人に対する質疑

2024/06/18
参議院内閣委員会

1.「日本版DBS法案」に関する質疑、採決◀
2.議員立法「子ども貧困対策推進法」趣旨説明、採決

2024/06/19
参議院本会議

(所要約1時間50分)
上がり法案の処理
「地方自治法」討論、採決
「漁業法」採決
「消費生活用製品安全法」採決
重要法案◀
「日本版DBS法案(児童対象性暴力防止法)」採決◀
子どもの貧困対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)採決
「政治資金規正法(自民党修正案)」討論、採決

ざっくり雑感
『国が所管する性犯罪歴をデータベース化したシステムを活用し、学校や保育所などの雇用側に、就労希望者の犯罪歴照会を義務付ける。学習塾の利用は任意とし、事業者が国から認定を受ければ義務化される。
 日本版DBSで照会の対象となる性犯罪の種類は、裁判所で有罪判決が確定した「前科」のほか、痴漢や盗撮など自治体の条例違反も含まれる。
 照会期間は拘禁刑(懲役と禁錮両刑を2025年に一元化)が刑の執行終了から20年、罰金刑以下は10年とし、既に働いている人も対象となる。 初犯を防ぐための措置も取られる。照会システムを利用する学校や認定事業者には、▽職員への研修▽危険を早期に把握するための児童らとの面談▽相談しやすい環境の整備――などが義務付けられる。』ということみたい。


法案情報

内閣法制局情報

主管省庁情報


審議情報

衆議院

選択された議案の情報
提出回次:第213回
議案種類:閣法 61号
議案名:学校設置者等及び民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案

照会できる情報の一覧
提出時法律案

審議経過情報

付託委員会趣旨説明
↓発言URL


→衆議院委員会討論


↓発言URL




衆議院本会議委員長報告
↓発言URL





参議院


議案審議情報

付託委員会趣旨説明
↓発言URL




→参議院委員会討論


↓発言URL



参議院本会議委員長報告
↓発言URL




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1からわかる「日本版DBS」 法案閣議決定 性犯罪歴を確認 子どもを守る
2024年3月19日特集記事
”子どもを守る”
「日本版DBS」法案決定

子どもたちが学校や塾など、教育の現場で性被害にあう事例があとを絶ちません。

政府は、子どもに接する仕事に就く人に性犯罪歴がないか確認する制度「日本版DBS」を導入するための法案を19日、閣議決定しました。犯罪歴を最長で20年照会できることなどが柱です。

新たな制度で、どう子どもを守ることができるのでしょうか?
(小林さやか、杉本志織、三藤紫乃)

(3月27日(水) R1「マイあさ!」で放送)
【聴き逃し配信リンク】4月3日(水)午前8:28配信終了


Q.なぜ「日本版DBS」と呼ぶのか?
A.イギリスの「DBS制度(ディー・ビー・エス Disclosure and Barring Service=前歴開示・前歴者就業制限機構)」を参考にした、日本版の制度だからです。

Q. どんな制度なのか?
A.19日に閣議決定された法案の内容を見てみます。


【ポイント①:子どもの性暴力防止を広く義務付け】
今回の法案では、子どもを対象にした性暴力が、生涯にわたって回復しがたい重大な影響を与えるとして、学校だけでなく民間の事業者を含め広く、教員や保育などの従事者による性暴力を防止することを義務づけました。

その上で、性暴力を防止する手段のひとつとして、事業者に、特定の性犯罪の前科の有無を確認することを義務付け、違反した場合、公表などの対象にするとしています。

この仕組みが、いわゆる「日本版DBS」です。

Q.どんな事業が対象となるのか?
A.【ポイント②:対象の事業】
こちらが、前科の有無を確認する事業の範囲です。


▼まず、学校や認可保育所など、法律上、認可の対象となっている施設は「義務」となります。児童養護施設や障害児の入所施設、児童発達支援なども義務の対象です。

▼その他については、「認定制度」を設けて、研修や相談体制の整備など、一定の条件をクリアした場合は、前科の確認の対象となります。

放課後児童クラブ=いわゆる学童クラブや認可外の保育施設のほか、学習塾やスイミングスクール、ダンスなどの芸能を教えるスクールなど、民間事業者も一定の規模以上であれば対象となります。認定を受けた事業者は国が公表します。

また、派遣や委託、無償のボランティアなどであっても、子どもに接する業務の性質によって対象となります。

Q.確認する性犯罪の対象は?
A.【ポイント③:確認する性犯罪の対象期間】

確認する性犯罪は、強制わいせつなどの刑法犯だけでなく、痴漢や盗撮などの条例違反も含みます。

性犯罪歴の確認の対象となる期間は最長で20年です。
具体的には以下の通りで、過去の性犯罪のデータから、再犯に至るまでの期間を考慮して定めたということです。

確認の対象となる範囲は、▽拘禁刑で実刑の場合は、 刑の執行終了から20年、▽執行猶予の場合は、裁判の確定日から10年、▽罰金刑の場合は、 刑の執行終了から10年としました。
Q.どのような手続きで確認していくのか?
【ポイント④:具体的な確認の手順】

A.具体的な性犯罪歴の確認手順です。

事業者がこども家庭庁に申請しますが、その際に、業務に就く予定の人が戸籍情報などの必要書類を提出するなど、本人も関わる形とします。

▽照会した結果、性犯罪歴がなければ、「犯罪事実確認書」がそのまま事業者に交付されます。

▼一方、犯罪歴があった場合は、まず本人に事前に通知。
2週間以内であれば、訂正を請求できるほか、結果を受けて本人が内定を辞退すれば、事業者には犯罪歴が通知されることなく、申請が却下されます。

新規採用者だけではなく、現職も対象となり、犯罪歴が確認された場合は、子どもに接触しない業務に配置転換するなどの対応が求められます。

また、事業者には情報を適正に管理する義務が課され、情報を漏えいした場合、罰則が設けられます。

Q.日本では初の制度になるが、これまでの議論の経緯は?
A.子どもを性犯罪や性暴力から守るための対策は、これまで教育現場と保育現場、それぞれを所管する省庁ごとに進められてきましたが、省庁ごとの対策では不十分だという指摘が度々あがってきました。

また、子どもと関わる仕事に就く際に性犯罪歴を確認する仕組みが必要だと訴える声の高まりもあり、去年発足したこども家庭庁は、先行するイギリスの制度を参考に、日本版の制度をつくることを基本方針として掲げました。

去年6月「日本版DBS」議論の有識者初会合
去年6月からは「日本版DBS」の制度設計などに関して有識者による議論が行われ、9月には、確認の対象を裁判所の事実認定を受けた前科とする一方、対象期間には必要性、合理性を踏まえて一定の上限を設ける必要があるなどとする報告書がまとめられました。

ただ、与党内からは確認の対象とする期間などについて異論が相次ぎ、去年秋の臨時国会への政府による法案提出は見送られていました。

ことしに入っても慎重に検討が重ねられ、今月、与党との調整を経て法案がまとまりました。

3月7日 自民党の会議
Q.今回の「日本版DBS」に教育現場からはどんな声が?
A.民間の学習塾からは、前向きに受け止める声が上がっています。

「保護者や生徒の安心につながる」(民間の学習塾)

首都圏を中心に220あまり校舎を展開する個別指導の塾では、これまで業界のガイドラインにのっとり、安全対策を進めてきました。

教室内に防犯カメラを複数設置するほか、個別指導のブースの仕切りを低くしたり、集団授業で使う教室をガラス張りにするなどして死角を作らないようにしています。

さらに、採用の際には、生徒と連絡先を交換しないなど必要以上に接触しないよう同意書や誓約書を提出してもらっていると言いますが、採用時に性的なしこうも含めて問題がある人物かどうか見抜くのは限界があるといいます。

今回、閣議決定された法案では、学習塾は、一定の条件を満たせば、前科を確認できる「認定制度」の対象になるとされています。

この塾では、すべての教室あわせておよそ2500人の講師がいますが、「認定制度に参加して全員の確認を進めたい」としています。

塾の運営会社 スプリックス 堀貴司執行役員
「入り口の段階で書類をチェックしたり、面接を通じて問題がない人物だという確認をしていますが、一民間企業の取り組みだけでは限界がある。保護者の立場で考えると、認定を受けている事業者の方が安心して通えると思うので、積極的に活用したい」

Q.専門家はどう評価?
A.国の性犯罪被害者支援の委員などを務めたほか、長年、性加害者の治療にあたっている医師は、日本版DBSの導入について、教育現場などでの一定の再犯抑止効果があると評価した上で、制度の運用とともに加害者の治療などの根本的な対策を両輪で進める必要があると指摘しています。

性障害専門医療センターSOMEC(ソメック)代表理事
精神科 福井裕輝医師
「子どもは圧倒的に弱者であり、より一層の保護が必要だ。海外では、1980年代から 各国でこうした制度の導入が始まっていることから、日本でも当然だと受け止めている。犯罪歴のある人が再び子どもに関係する職に簡単に就けないため、対象となる施設では再犯を防ぐ可能性がある」

その上で、子どもが性被害にあうことを根本から防ぐため、こう指摘しました。

「子どもを性の対象にする加害者の欲求がなくなるわけではないので、制度によって排除するだけではDBSの対象にならない場で加害を加えるおそれがある」

「犯罪を起こさないために、加害者を治療につなげたり、子どもに接触しない職業をあっせんしたりするなど支援の必要がある」

福井医師は、支援の一例として、長崎県の教育委員会で導入しているチェックリストで性的なゆがみに気づかせ、専門機関への受診を促す取り組みをあげていました。

Q.先行するイギリスの例から見えてくることは?
A.

イギリスは2012年から子どもに関わる職業に就く人を対象に、性犯罪の前歴を照会して開示する「DBS制度」を導入していて、冒頭でもお伝えしたように、今回、日本はこの制度を参考にしています。

「DBS=前歴開示・前歴者就業制限機構」という公的機関が性犯罪歴を管理し、事業者側からの照会を受け付けています。

DBSではおよそ1200人の職員が年間700万件の犯罪歴などをチェックしていて、子どもなどへの関わりが禁じられている人は8万8000人に上るということです。
首都ロンドンで、小学生の学童保育を運営するシャープ千穂さんは、スタッフの採用や契約更新にあわせて年に数回、DBSに性犯罪歴を照会しています。

シャープさんは、DBSで犯罪歴を確認できることは安心につながっていると評価していました。

「この制度があるからこそ、子どもたちが守られていると感じる。前科のある人が子どもに関する仕事に応募することを防止する効果もあるのではないか。国民の間で子どもを守る意識が高まり、虐待を疑う通報や情報提供も増えた」

一方で、DBSへの照会には事業者側が1人につき日本円でおよそ7000円を負担するため金銭的な負担が大きいことや、本人から提供された個人情報をもとにDBSに照会するため、「国外で罪を犯した人や、途中で名前を変えた人などは十分に追跡できるのかなど情報の正確さには不安が残る」とした上で、「DBSだけに頼るのではなく事業所による研修などの努力も必要だ」と話していました。


DBSのエリック・ロビンソンCEOは、NHKのオンラインインタビューに応じ、制度が広く受け入れられている背景として、「イギリスでは、医師や教師といった高い信頼が必要な特定の仕事について、職業選択の自由よりも安全対策を優先しているのだと思う」としています。

また、制度導入について、性犯罪歴チェックの対象となる職種をもっと増やすべきといった議論はイギリス議会で何年もかけて話し合われてきたといい、「最近も見直しの動きがあり、対象をより多くの人に広げるべきだという勧告を受け、政府が検討している。イギリスでは小さい組織から始め、学び、情報を守れるシステムになっていることを確かめながら成長してきたし、日本でもこうしたアプローチを するべきだと思う」と話しています。

そして、性犯罪に関する個人情報が事業者に共有されることへの懸念の声はないのかという質問に対し、「私が就任してからの4年間で懸念が寄せられたことはない。雇用主が採用するかどうかを決めるために求職者の犯罪歴を知ることは適切だと受け止められ、雇用主と非雇用者の間には誠実さと信頼関係が必要だという感覚があるのだと思う」と話していました。

Q.「日本版DBS」今後の見通しと課題は?
A.政府は、法案を今の国会に提出し、成立を図る考えです。

2年余りの議論を経てまとまった法案ですが、犯罪歴の照会期間については、もっと延ばすべきだという意見がある一方で、更生や社会復帰の観点から期限を設けることは必要だという指摘もあります。

また犯罪歴の確認を義務づける事業者の範囲を広げるべきだという声などもあり、実効性を確保するための議論が国会で続けられることになります。

政府は、国会審議を経て成立した場合、公布後2年半以内に施行する方針です。

▽認定制度の詳細や▽情報の管理体制、また、▽現職の人に前科があることがわかった場合の対応などの詳細は、法律の施行までにガイドラインで示すとしています。

また、前科の確認が義務となる学校や幼稚園などで働く職員が令和4年の時点で140万人以上、保育所などで働く職員が70万人以上いて、この全員が確認の対象となるかはまだ決まっていませんが、対応するこども家庭庁の人員や確認にかかる費用をどのように確保するかも今後の課題となります。

(3月19日 ニュースウオッチ9などで放送)

「日本版DBS」法案を閣議決定、性犯罪歴の確認を義務化
 政府は2024年3月19日、「児童対象性暴力防止法案」を閣議決定した。教員や教育保育従事者の性犯罪歴の確認を義務付ける「日本版DBS」創設を盛り込んでいる。学校設置者などには、性犯罪歴の確認のほか、教員らの研修受講なども求める。 
 
 政府は2024年3月19日、「児童対象性暴力防止法案」を閣議決定した。教員や教育保育従事者の性犯罪歴の確認を義務付ける「日本版DBS」創設を盛り込んでいる。学校設置者などには、性犯罪歴の確認のほか、教員らの研修受講なども求める。
 
 正式名称は「学校設置者等および民間教育保育等事業者による児童対象性暴力等の防止等のための措置に関する法律案」。学校設置者や認定を受けた民間教育保育等事業者が、教員や教育保育等従事者による児童対象性暴力の防止措置を講じることを義務付ける。

 対象となるのは、学校、こども園、幼稚園、保育所、児童相談所、児童館、児童養護施設など。学校設置者や民間教育保育等事業者が、内閣総理大臣に対して、申請従事者の犯罪事実を確認できる仕組み「日本版DBS」を創設する。学校設置者などは、教員ら子供と接する業務に従事させようとする者について、事前に犯罪事実確認書により特定性犯罪事実該当者であるか否かの確認を行わなければならない。
 
 学校設置者などは、犯罪事実確認の結果、子供への性暴力などの恐れがあると認めるときは、教員など子供と接する業務に従事させない。また、教員らに研修を受講させ、児童らとの面談や相談を行いやすくするための措置を講じる。教員らによる性暴力が行われた疑いがあるときは、事実の有無や内容を調査しなければならない。

 内閣総理大臣は、対象事業者から申請があった際、「拘禁刑(服役)」は刑の執行終了から20年、「拘禁刑(執行猶予判決を受け猶予期間満了)」は裁判確定日から10年、「罰金」は刑の執行終了から10年の特定性犯罪(痴漢や盗撮などの条例違反を含む)前科の有無を記載した犯罪事実確認書を交付する。
 
 ただし、前科がある場合は、あらかじめ従事者本人に通知。本人は通知内容の訂正請求が可能としている。犯罪事実確認書は、情報を適正に管理し、一定期間経過後に破棄する。

 法案が定める義務に違反した場合は、児童福祉法などに規定する報告徴収などの対象となる。施行期日は、公布の日から起算して2年6か月を超えない範囲において政令で定める日。

「日本版DBS」法案を閣議決定 従業員らの性犯罪歴、確認義務づけ
高橋健次郎
2024/3/19 8:36有料記事
 子どもの性被害を防ぐため、政府は19日、対象事業者に従業員らの性犯罪歴の確認を義務づける「日本版DBS」創設を盛り込んだ「こども性暴力防止法案」を閣議決定し、国会に提出した。犯歴が確認された場合は、配置転換などを事業者に義務づける。犯歴のある人の就労を事実上、制限するしくみだ。
 
 性被害を防ぐとともに、「職業選択の自由」を保障する憲法などとの整合性をどう保つのか▽犯歴照会ではチェックできない「初犯」への対策をどうするか――といった課題も指摘されており、実際の運用を想定した国会審議が求められる。

 就労希望者や従業員の犯歴を確認することになるのは、子どもと接する職場。行政に監督・認可などの権限がある学校や認可保育所などは、確認を義務化する。放課後児童クラブ(学童)や認可外保育所、学習塾などは任意の認定制度の対象とする。認定されると確認が義務化される一方、広告で表示し、犯歴確認をしている事業者だと示すことができる。

 対象とする「特定性犯罪前科」には、不同意わいせつ罪などの刑法犯に加え、痴漢など自治体の条例違反も含まれる。照会できる期間は、拘禁刑(懲役刑・禁錮刑を2025年に一本化)は刑を終えてから20年、執行猶予がついた場合は裁判確定日から10年、罰金以下は刑を終えてから10年。
 
 就労希望者らの犯歴を確認する際は、事業者がこども家庭庁に申請。同庁は法相に照会し、犯歴を記載した「犯罪事実確認書」を作成して事業者に交付する。現職者についても定期的に確認するよう求める。

「日本版DBS法案」を閣議決定…就労希望者の犯罪歴照会、学校や保育所に義務付け
2024/03/19 09:14
許すな わいせつ教員

 政府は19日、子どもと接する職場で働く人の性犯罪歴を確認する新制度「日本版DBS」の創設を盛り込んだ「こども性暴力防止法案」を閣議決定した。近く衆院に提出し、今国会中の成立を目指す。国が所管する性犯罪歴をデータベース化したシステムを活用し、学校や保育所などの雇用側に、就労希望者の犯罪歴照会を義務付ける。学習塾の利用は任意とし、事業者が国から認定を受ければ義務化される。
 
 日本版DBSで照会の対象となる性犯罪の種類は、裁判所で有罪判決が確定した「前科」のほか、痴漢や盗撮など自治体の条例違反も含まれる。
 
 照会期間は拘禁刑(懲役と禁錮両刑を2025年に一元化)が刑の執行終了から20年、罰金刑以下は10年とし、既に働いている人も対象となる。

 初犯を防ぐための措置も取られる。照会システムを利用する学校や認定事業者には、▽職員への研修▽危険を早期に把握するための児童らとの面談▽相談しやすい環境の整備――などが義務付けられる。

これで、子どもたちの性被害を防げる? 教員などの性犯罪歴確認を義務づけへ 日本版DBS、国会に法案提出
2024年3月23日 12時00分
 子どもと接する職場の従業員に性犯罪歴がないかを確認する「日本版DBS」制度を導入するため、政府は19日、法案を国会に提出した。犯歴がある人の就業を制限し、子どもの性被害を防ぐのが狙いだ。法案提出までの過程で、犯歴をさかのぼる期間や職業選択の自由との兼ね合いなどの論点があった。そうした課題はクリアされたのか。(山田雄之、山田祐一郎)
◆今国会での法案成立、2026年頃開始目指す
 「社会全体で子どもたちを性暴力から守る意識を高めていく観点からも大変重要な法案だ」。加藤鮎子こども政策担当相は19日の閣議決定後の記者会見で、日本版DBSを創設する「こども性暴力防止法案」の意義をこう述べた。
 
 日本版DBSは、子どもと接する仕事に就く人に性犯罪歴がないか、雇用主がこども家庭庁を通じて法務省に照会する制度だ。英国の「DBS」(前歴開示・前歴者就業制限機構)を参考にしている。政府は今国会での法案成立と2026年ごろの制度開始を目指している。
 法案によると、すでに働いている人も照会対象。性犯罪歴が確認された場合、雇用主は子どもと接する業務への不採用や配置転換といった措置を採らなければならない。最終手段として解雇も許される。
 学校や認可保育所には犯歴の確認を義務づける。学習塾や放課後児童クラブ、スポーツクラブは参加が任意の「認定制」にする。認定を受けると、犯歴確認をしていると広告できる。フリーランスのベビーシッターなど個人事業主は制度の対象外となった。
◆「抑止力になる」制度創設を歓迎
 性犯罪歴を照会できる期間は、拘禁刑(懲役刑と禁錮刑を25年に一本化)の場合で刑終了から20年、罰金刑以下は10年とした。不同意わいせつ罪などの刑法犯に加え、各自治体が定める痴漢や盗撮などの条例違反罪の犯歴も照会できる。
 性被害の問題に取り組む団体「Be Brave Japan」の代表で、10代後半のときに教員から性暴力を受けた石田郁子さん(46)は、日本版DBSの創設を「一度でも性犯罪を起こしたら、子どもに接する職業に就けないという強いメッセージを打ち出している。社会全体が性犯罪をより重く認識すると思うので、初犯を含めて広く抑止力になる」と歓迎する。
 
 一方で「まだまだ制度の漏れは多い。犯歴を確認できなかった大人による子どもへの性被害が起きると予想される」と指摘する。
◆照会期間の制限を問題視する声も
 石田さんの場合、被害当時は言い出せず、後に起こした民事訴訟で性暴力が認定され、教員は懲戒免職になった。日本版DBSは懲戒処分や民事訴訟までは対象にしていない。
 「制度に不具合があれば早急に見直していくべきだ」と石田さんは訴える。
 性被害者らでつくる団体「Spring」の田所由羽共同代表も「条例違反まで対象に含めた点は評価できるが、十分に満足いく内容ではない」と語る。「子どもと関わる職業の事業者には全て、就労希望者の犯歴の確認を義務づけるべきだ。被害に遭ってしまえば、子どもにとって場所は関係ない」と強調する。
 犯歴の照会期間に期限が設けられている点も問題視する。性加害を繰り返す人がいる実態を踏まえ、田所さんは「子どもと接する職業に二度と就けないという制限を受けるのは妥当ではないか」と投げかける。
◆処分教員の8割は条例違反、対象に含んだ修正を評価も…
 昨年9月に公表された日本版DBSについての有識者会議の報告書では、想定される照会対象の犯罪歴に、痴漢や盗撮などの条例違反罪は含まれていなかった。
 
 日本大の末冨芳教授(教育行政学)は「わいせつ事案で処分される教員の約8割が条例違反という実態が把握されており、学校現場から大きな欠陥として指摘されていた。今回の法案で対象に含まれ、実効性の面で一定レベルに達したと感じる」と評価する。
 一方で、こうした罪でも示談が成立するなどして、不起訴処分になった場合は対象から外れる。衣類に体液をかけるなどの器物損壊罪や暴行罪、下着を盗む窃盗罪も照会の対象外になっている。「まずは一刻も早くスタートすることが重要だが、抜け穴は残っている。運用する中でこれらも子どもへの加害であると認められれば、対象になっていくだろう」とみる。
◆性暴力が行われる「おそれ」、どう判断する?
 法案づくりの論議の過程で、日本版DBSでは初犯を防げないという指摘があった。法案では初犯対策として、過去に性犯罪歴がない人でも、児童や保護者からの相談を受けた場合は、雇用主側が調査しなければならないと規定。その結果、「性暴力等が行われるおそれがある」と判断すれば、配置転換などの安全措置を講じなければならないとしている。政府は判断基準や調査のあり方をガイドラインで示す方針だ。
 労働問題に詳しい佐々木亮弁護士は「児童からの申告があって事実が確認された場合は、『おそれ』ではなく、処分が必要だ。そうでないならば、何が『おそれ』に該当し、誰がどのように判断するのかを明確にする必要がある。だが、類型化するのは難しい」と指摘する。
 
 日本版DBSを巡る議論では、子どもを守る側面と、憲法が保障する「職業選択の自由」とのバランスも取り沙汰されたが、この点はクリアになったのか。
◆「憲法が保障するプライバシー権とのバランスは?」
 佐々木さんは「児童に対する性犯罪の前科がある人が教員など子どもにかかわる職に就けなくなっても、その職業以外に就く自由は認められており、一定の合理性はある」と受け止める。だが「あくまで前科がある人を対象にするべきであり、あいまいな『おそれ』が労働者の不利益につながるのは、踏み込みすぎだ」と恣意的(しいてき)な運用への歯止めの必要性を強調する。
 「感情的議論が先行している。性犯罪が他の犯罪よりも再犯率が高いとデータ上は言えないのに、不安感が出発点となっている」と話すのは、甲南大の園田寿名誉教授(刑法)だ。
 「戦後の刑事政策は、罪を犯した人の排除ではなく更生を目標に組み立てられてきた」。園田さんはこう前置きした上で指摘する。「子どもへの性犯罪が卑劣なのは言うまでもないが、法律が運用されれば、前科情報を一般に開示し、犯歴が確認された人を排除することになる。憲法が保障するプライバシー権とのバランスも問われる」
◆まだ課題は山積み、学びの機会を
 
 制度の拡大への危惧もある。「今回の法案が『アリの一穴』となり、学校や塾だけでなく、小児科医や産婦人科医まで対象に含めたり、性犯罪以外の窃盗や薬物犯罪などにも制度を広げようとしたりという動きが起きる可能性もある」
 教育現場での被害者の相談支援を行うNPO法人「スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク」の亀井明子代表は「日本版DBSの創設自体は評価するが、課題は山積だ」と話し、制度以外での対策強化も求める。
 「大人たちは人権研修などを通じ、子どもが嫌がることについての認識を共有し、互いの行為や言動に意見を言い合える環境づくりが大切だ」とする。子どもに対しても「性被害に遭わないために、声を上げられるように『何が性被害なのか』を学ぶ機会が必要だ」と呼びかけている。
◆デスクメモ
 子どもから性犯罪加害者を遠ざけたい。親の一人としてそうした心情はある。一方で、更生がなければ根本的な解決にはならないとも思う。刑務所などで加害者治療のプログラムも取り入れられている。日本版DBSが全てではなく、多角的な取り組みが必要なのは言うまでもない。(北)