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「苦手なことは人に任せる」を鵜呑みにしてはパフォーマンスが下がってしまう?

近頃、「やりたいことリストよりもやりたくないことリストを作れ」とか「苦手なことは誰かにお任せしよう」といった『苦手な仕事はやらない派』的な主張をビジネス書などでちょくちょく見かけます。しかし、それをそのまま受け入れて実践して、本当にあなたの仕事のパフォーマンスが向上するのでしょうか。私個人の経験では、このような主張を支持する人で仕事ができる人は殆ど見たことがありません。

「苦手なことは他の人に任せよう」という考え方が間違っているというわけではなく、仕事の基本的な考え方としては正しいし合理的な考え方だと思います。しかし、この考え方で仕事をしてパフォーマンスが落ちてしまったり、周囲から『仕事ができない人』と見られることもあるでしょう。そういう人の多くは、避けるか自分でやるかの判断の仕方に問題があると思います。もし、正確な判断をしているなら、周囲に『苦手な仕事はやらないタイプ』と嫌な目で見られていることはないはずです。 ということで、「苦手なことは誰かにお任せしよう」の是非についてこの記事では考えてみたいと思います。

パフォーマンスが高めるために必要なのはチャンスだ!

鼻につくような、というか杓子定規な『苦手な仕事はやらない派』にもいろんなタイプがありますが、まず一番ダメな感じなのは、その仕事をやるかやらないかの裁量が自分にはないのにもかかわらず苦手な仕事を断固として拒否する人です。そんなに多くはいませんが、時々います。こういった感じになると「こいつは使えない」という評価になって、仕事における信頼関係が築けません。周囲の多くの人は「この人に仕事を頼むのは厄介だから頼むのを辞めよう」となってしまい、得意な仕事さえも頼まれなくなってしまいます。一度レッテルを張られてしまうとあなたが有能であっても無能であっても付加価値の高い仕事にかかわるチャンスが殆どめぐってこなくなってしまいます。 人間が一人で発揮できるパフォーマンスは非常に限られています。高いパフォーマンスを発揮するためには、より多くの人と関わりながら、大きなリソースをマネジメントして発揮できるようになります。だからチームや組織で仕事を行います。チームや組織の中で自分のタスクを自身で定めることができるようになるためには、まずは自身の仕事の裁量の幅を広げていく必要があります。自身の裁量で決めることができる範囲が広がれば広がるほど、自身がやりたいことに集中できるようになります。周囲からの信頼が得られるようになると自分のパフォーマンスを最大限に発揮できるチャンスが自分に回ってくるようになります。 そうやって、周囲からの信頼を得て仕事の裁量の幅を広げ、活躍するチャンスを得ることができるようになることで、ビジネスパーソンは高いパフォーマンスを発揮できるようになります。キャリアの初期ではこのことをよく意識して「こいつは使えない」というレッテルを張られないように頑張った方が後々高いパフォーマンスを発揮できるようになります。

常に高い品質高い生産性が必要か?

全ての仕事には依頼者がいます。そして依頼者が求める品質・コスト・納期は状況によって様々であり、その基準は依頼者が決めるものです。 『苦手な仕事はやらない派』の中には、ここを理解せずにQCDを自分基準でやってしまう人がいます。言い換えるならば、求められてもいない高品質を自分で勝手に設定して依頼者が許容する予算を大きく超えたり、求められてもいない高い生産性で仕事をしようとして依頼者が期待する品質を逸脱することがあります。 依頼者とよく対話して期待値を把握しながら仕事をしているとこのように「自分基準」で仕事をすることは減るのですが、「自分基準」が依頼者の求めてもいないことをやるために自分にはできないと判断し、安直に人に任せようとする人がいます。状況にゆとりがある場合はそれでもよいのですが、多くの仕事というのはそれ程余裕をもってできるわけではありません。 だから、できる人は必ず「苦手でも自分でやる」というオプションは準備をしているものです。依頼者の要求、周辺の状況を考えながらベストなオプションを選べる人が結果として高いパフォーマンスを発揮できます。

居心地の良い場所から出なければ成長はない

『苦手な仕事はやらない派』は損をしている側面もあります。それは今までできなかったことにチャレンジして成長する機会を逃している可能性があるということです。「苦手」といっているものの中には、 ①未経験でやったことがないからできないと思っている ②やったことはあるけど習熟度が低いから苦手と思っている ③できるはずだけど嫌いなことだから苦手ということにしている ④本当に苦手 というものがあると思います。少なくとも①や②は拾ってやる方が自身の成長につながります。③は自分がそうなら多くの人が同じように感じていると思うので、ボールの投げ合いになりがちで、そのような場合は自分でボールを拾うと思わぬ得があったりするものです(拾いすぎるとなめられるので拾い方は考えなければなりませんが)。そして、④は状況が許すなら避けた方がよいでしょう。 キャリアが浅い間は降ってきた仕事が①~④のどれに該当するかがよくわからない場合も多いものです。なので、①②をちゃんと拾って成長するためには、キャリアの初期では自分に下りてきた仕事はなるべく逃げずにチャレンジした方がよいでしょう。やってみて④とわかってから周囲に相談しても新人の間であれば許してもらえるものです。

まとめ

結論をまとめると、やらないことリストを実行するのはとても高度な仕事のやり方であって、杓子定規に「苦手な仕事はやらない」というスタンスであれば、間違いなくビジネスパーソンとしてもパフォーマンスは下がってしまうでしょう。ブライトさんやシャアはどガンダムにでてくるできるキャラクターはみんな「やってみるさ」という言って難しい局面で成果を上げています。
キャリアが浅いうちの「やらないことリスト」は作ってみても実践はできないし、実践したとしてもいいことは何もないでしょう。 若いうちは「やらないことリスト」を作る以前に、自身のビジネスパーソンとしての立ち位置をしっかりと構築するように頑張るのがよいのではないかと思います。自分の立ち位置ができると「やらないことリスト」なんか作らなくても自身でやるべきでないことは周囲に任せることができるようになっていきます。


おまけ

ポッドキャストでも語っていますので、是非聞いてください。

https://open.spotify.com/episode/7DTyvw60NzQ2W7ltczE5Vl


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