ムダな会議が会社の生産性を下げる

■典型的なダメな会議

イケてないビジネスパーソンがやりがちな罪深い会議を3つのパターンに分類してみました。下記のような会議は、会社の生産性を大きく下げてしまいます。

パターン①:説教おやじ型会議

どこの会社にもおしゃべりな人がいます。飲み会なんかではムードメーカーになるのかもしれませんが、会議であれば話は別。会議の目的から外れた内容をひたすら一人で喋る。その結果議論されるべきことが全く議論されない。おやじの説教を聞いて終わったるようなパターンの会議を「説教おやじ型会議」と名づけました。

パターン②:優柔不断型会議

ミーティングが始まった途端に、あーでもないこーでもない、議論が収集付かないこともありがちな会議のパターンです。それぞれが自分勝手な発言に終始し、議論はあらぬ方向に向かっていく。結局何も決まらない会議を「優柔不断型会議」と呼びたいと思います。

パターン③:結婚詐欺型会議

会議で結論に至ったものの、決定事項が一切実施されないパターン。次の会議で進捗状況を尋ねると、「何も進展していない」、「忙しくてまだ調査できていない」、「まだ企画が固まっていない」、など言い訳のオンパレード。このような会議の決定事項が何の意味も持たないようなパターンは、名付けて「結婚詐欺型会議」といいます。会議そのものがカッチリ終わっただけに物事が動いた気になってしまうため、このパターンが一番たちが悪いかもしれません。

■ミーティングをマネジメントする

ムダな会議をしないためには、「ミーティングをマネジメントする」という考え方が重要です。もう少し詳しくいいますと会議を、計画⇒実行⇒チェックのサイクルで実施するという考え方です。

私は、会議とは下図の①~⑦のステップと考えています。

コンサルタントは、会議で①~⑦のステップを入念に行い、一般の会議より格段に高い成果を生み出します。これらを疎かにすると、3つのダメ会議パターンに陥る可能性が高まってしまいます。

■マネジメントのない会議の問題

目的・ゴールが曖昧なまま招集される会議は最悪です。アイデアを創造するために議論を拡散させたい場合と、収束して合意形成させる場合では進め方も意識することも全く異なってきます。合意形成をするにも、どういうレベルでの合意形成をするのかで呼ぶべき人は変ってきます。上記でいうステップ①~②を疎かにしてしまうことで、説教おやじ型会議や優柔不断型会議に陥ってしまいます。

ステップ①~②に基いてステップ③~⑥を行うことで、当日の会議がスムーズに運営することができます。ステップ③~⑥の中で、生産性の観点で特に注意が必要なのは⑤⑥です。

ステップ⑤の会議資料は大変重要です。議論する内容が複雑になるほど理解をサポートする資料は必要です。全く資料がない会議だと、共通理解が生まれにくく、説教おやじ型会議や優柔不断型会議になりがちです。しかし、資料を作ればよいというものでもありません。イケてない会議でよく見かけるのは、「形式重視」で中身のない資料や論点とすべき点と関係ない資料です。そんなものであれば作る時間が無駄です。理解をサポートするに助かるが、会議資料の作成に労力をかけすぎてしまうと、仕事の生産性が落ちる場合もあります。また、分かりやすい資料が場合によっては議論の幅を狭めてしまい会議参加者が知らず知らずのうちに特定の方向に誘導される場合もあります。それでは資料作成者が自ら「説教おやじ」になってしまいます。アイデアを想像したい場合であればむしろ固定観念を作り出すような資料はない方がよいかもしれません。会議資料はステップ①で設定した目的と②で想定した参加者に応じた適切な情報量・コンテンツを適切な労力で準備することが重要となります。

ステップ⑥の進行のコントロールでも、ステップ①~②を疎かにすると、イケてない会議に陥ってしまいます。会議の参加者が目的とゴールを全く意識しないまま臨んでしまうと、喋りたい人だけがしゃべる一方、全く発言をしない参加者が出たりします。「説教おやじ型会議」に陥る要因の一つとなってしまいます。そもそも、意見を言えないような人を呼んでいる会議のセッティングが正解なのでしょうか? 会議の目的・ゴールによって進め方も大きく異なってくるものです。アイデアエーションなどが目的であれば、議論を発散させるような進め方が求められます。合意形成が目的であれば検討すべき事項をぬけもれなく議論しながら収束させるような進め方が重要です。目的によって進め方が真逆ですし、右脳を活用するか左脳を活用するか臨む姿勢も異なってきます。

上記をしっかり行っても陥りがちな問題が「結婚詐欺型会議」です。これを防止するステップが⑦になります。まず中小企業でありがちなのは会議のログを残していないこと。会議の決定事項は速やかにまとめて参加者全員で共有できなければなりません。できれば、会議のその場で決定事項をしっかりまとめて共有するのが理想的ですが、難しい場合は議事のメモを24時間以内には会議の参加者に共有するようにしていくことはとても大切なことです。会議で決定したアクションは担当者と期限を明確に設定しなければボールの譲り合いになってしまいます。上記のように決定事項をしっかりと共有した上で、会議のファシリテーターは共有した決定事項が実行に移されているのか、会議後もアフターフォローを行うことが「結婚詐欺型会議」防止のためには重要となります。

以上の様に、①~⑦のステップを行うことが「会議をマネジメントする」ということです。マネジメントを疎かにしてしまうことで「説教おやじ型会議」、「優柔不断型会議」、「結婚詐欺型会議」に陥ってしまいます。

■会議のマネジメントを支援するITツール

会議をマネジメントするにあたって、「議論を見える化する」ことと「決定事項を共有すること」は、難易度が高かったり労力がかかったりする場合も多くあります。そこで、大町自動車学校ではこの部分はITツールを活用するようにしています。弊社の場合はGoogleのJamboardを導入して会議を進めています。

議論を見える化するには、ホワイトボードに板書していくのが良いのですが、Jamboardを活用するとGoogle slideやGoogle spreadsheetで作成した資料を表示して、その上に板書するような形で議論をすることができるので、普通のホワイトボード以上に議論の見える化がなされます。

決定事項も適宜板書しながら進めていくことで、決定事項も簡単に共有でき、板書を会議参加者と共有していくことで、決定状況のモニタリングに活用することもできます。

■最終的には心理的安全性

上記のような会議のマネジメントを行うことはとても大切なことですが、会議のマネジメントを行い成果のある会議を進めるための大前提にあることは、会社に心理的安全性が構築されていることにあると思います。言いたいことを言える空気作りがなければ、結局はマネジメント層が説教おやじになったり、従業員が面従腹背で決定事項は常に実行されない状況に陥りがちになってしまいます。また、議論を行う上で会議参加者の情報格差が大きい場合でも一方的な議論になりがちになりますので、そういった意味でも社内の風通しを良くし、経営に関する重要な指標の見える化に取組むことは生産性の高い会議を行う上での下地となりますので、会社のリーダー層は「会議のマネジメント」+「オープンで風通しの良い雰囲気づくり」を日頃から心がけて頂きたいと思います。

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