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【ディラ研/ザバ研】27枚組聞き倒しマラソン その9:Disc 8

これまでの7枚のディスクは、21世紀になってから一部オーディエンス録音で聞いたことがあったものの、サウンドボード録音で聞くのは筆者にとって初めてでした。(コレクター間に出回っていたものがあったかもしれませんが、筆者は知りません。)
しかし、今回のは昔聞いたことがあります。ブートレッグを聞いていた方なら『Love Songs For America』(Swingin' Pig Records)というタイトルに心当たりがあるかもしれません。筆者は1990年代半ばに、大阪の日本橋にあったVHS/CDレンタル店(K2もゲオもまだ日本橋になかった時代、ワルツ堂2店舗の近所にありました)になぜか置いてあったので、借りてきてカセットテープにダビングして聞いていました。あちらはザ・バンドのセットもあった代わりに、ディランのソロ・セットで終わっていました。
もうあまり記憶にないのですが、覚えてたとしてもバイアスがかかっていると思います。

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まずはボストン・ガーデンの位置確認から。

バスケの試合でキャパ15,000人ですから、これまでの会場より少し小さめでしょうか。
歴史的なコンサートもいろいろ行われているようですが、筆者にとってはキング牧師暗殺後のジェイムズ・ブラウンです。あちこちで騒ぎが起こる中、コンサートを中止するよりテレビ中継してJBに語ってもらうことで事態の鎮静化に役立ったという歴史的なライヴになりました。筆者は輸入盤DVDを持ってますが、オフィシャルといいつつモノクロで画質の悪いシロモノで、ライヴというより歴史資料を見ているようです。最近リマスターされたという話も聞きますので、またチェックしてみようと思います。

今回は2度目の1日2回公演。1回目のセットリストはこちらになります。

音の定位ですが、ドラムス&ベース&ディランのアコギ&ハーモニカ&ヴォーカルが中央、ロビーのエレキが右、ガースのキーボードが左(オルガン)と右(シンセなど)、ディランのエレキとリチャードのアコピ&エレピが左となっています。ディランのエレキが少し真ん中よりかも。

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Rainy Day Women #12 & #35

ディランのガチャガチャ・ギターと誰かのカウント(「フォー」だけ聞こえる)でスタート。
リチャードのアコピがホンキートンク調でカッコいいです。
アドリブの歌詞はネタ切れ気味か? 同じフレーズを2回歌っている箇所があったりします。

Lay, Lady, Lay

リチャードのホワンホワン(エレピ)が今回も全然聞こえず(弾いてないかも)。ガースのロウリー・オルガンが左から結構聞こえます。

Just Like Tom Thumb Blues

この曲、何気にレギュラーを維持しています。歌詞も忘れないので安定してますし。
リチャードのアコピはよく聞こえるんですけどね。左手の低音の迫力さえ捉えられていて、個人的には嬉しいです。その分、リックのベースが高音弦を弾いた時にしか響いてこず、迫力に欠けるのが残念ではあります。

It Ain't Me, Babe

例によってディランののほほんリズム・ギターで始まるのですが、このままではいかん!と思ったのか、途中でスピードアップします。今回はザ・バンドの連中が入ってくる前の変更なので、演奏には影響なし。
そのおかげか、Disc 7とは打って変わって2枚組に近いロックな感じに仕上がりました。
歌詞がちょっと出てこない箇所があったり、バックもコードを間違えそうになったりする箇所があるのですが、気にならないレベルです。
新しいエンディングもバッチリで、よくなってきました!

I Don’t Believe You (She Acts Like We Never Have Met)

今回は途中で言いよどむこともないので、またもや歌詞を頭に叩き込んで臨んだと思われますが、3番の前半部分を4番の前半に取り替えて歌っています。『アナザー・サイド・オブ ~』と似たパターンですね。あちらは弾き語りなので、歌詞をとばさずフルで歌っていますが。
ギター・ソロの直前、マイクから離れたせいで聞こえにくいのですが、ディランが「イエー!」と叫んでいます。これもいい! 久しぶりに「こういうのが聞きたいんだよぉ〜」と大声で言いたいです。

Ballad Of A Thin Man

これもテンポが早くなりました。カナダ滞在中に、もっとテンポ上げてこう!みたいな話があったのかもしれません。
リチャードが一緒に叩いている雰囲気がまるでありません。この曲のツイン・ドラムスはもう止めたのか?

All Along The Watchtower

この曲、右側から「シー」というテープのヒスノイズが聞こえます。ブートレッグの音源はコピーが繰り返された関係でどうしてもこの手のノイズが発生するのですが、元からだったんですね。
リチャードのホワンホワンは左から何とか聞こえる感じです。
2番と3番の間のキーボード・ソロは左右ともガースの音です。

Ballad Of Hollis Brown

ますますリチャードのドラムスが判別しにくくなってます。Disc 2の分かりやすい分離がもう懐かしいです。

Knockin' On Heaven's Door

右側のヒスノイズが増量になりました。(涙)
音質Ex評価のブート感満載な音になっています。なぜ元からこうなのかは見当つかないです。
最初はよく聞こえていたエレピも、ガースのオルガンが入ってから目立たなくなってしまうし。オルガンはロビー側に振ってほしかった。こんなことばかり書いてると、またプロデューサー氏の言葉がチラつくのでやめますが。

The Times They Are A-Changin'

イントロのみならず、歌い出しのところまでバサっと切れています。ウッカリしてて、慌ててスタートボタンを押しましたね?
先日の大失態から吹っ切れたのか、はたまた全く気にしてないのか、歌はスムーズに進行します。

Don't Think Twice, It's All Right

右側のヒスノイズが少し小さくなったようです。やれやれ。
ハーモニカの曲芸吹きがここで登場! 拍手喝采です。

Gates Of Eden

今回は特にないです。

Just Like A Woman

前曲に続いて、これも1拍めにアクセントをおいた3拍子イントロでスタートです(途中からワケ分かんなくなりますが)。この日はワルツな気分だったんでしょうか。

It's Alright Ma (I'm Only Bleeding)

アコギのD音がどうも共鳴しているようで、ハウリングを起こす手前のような音に聞こえます。

Forever Young

右側のヒスノイズが消えてくれました!
リチャードのアコピが入る時(0:27)の「ガーン!」にちょっとビックリしますが、これもまたよし。

Something There Is About You

ロビーのギターでスタート。
リックのベースとリチャードの左手が繰り出すドシラソファミレですが、規則性があるんだがないんだが、今一つつかみきれません。

Like A Rolling Stone

ディランのリズム・ギターが切られてて、ロビーの入る直前からスタートするので、何かなかったか確認できません。ま、特になかったのでしょう。
またしても2番の出だしで口ごもります。「呪い」とか言いませんが、ディランにとって、この曲は本当に2番が鬼門になっているようです。
ガースのキーボードは、左がロウリーの色んな音が出せるオルガンで、右からシンセ・ストリングスみたいな音と鉄琴みたいな音が聞こえます。
今回のエンディングはイントロと同じ上昇コード進行の部分を戻してきました。まるで反省会をしたかのようにバッチリです。

Most Likely You Go Your Way (And I'll Go Mine)

ふざけた歌い方してるなあ、と思う程度で、それ以外特にないです。

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筆者が選ぶ本日の名演賞は、該当なしです。

聞きながら昔の記憶を引っ張りだそうとしてみたのですが、「こんなだっけ?」と思うばかりでした。「It Ain't Me, Babe」とか、いい演奏だとは思うのですが、これから先もこれと同等もしくはこれ以上の熱演が聞けそうな気がするので、ここはあえて該当なしで。

2回目の公演は残念ながら録音されてないみたいなので、Disc 9の公演地はラーゴになります。


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