松田図書館 第一回
埋もれたロカビリアン Jimmy Lloyd
様々なジャンルの音源が保蔵してある僕の実家の部屋から
お勧めの音源をご紹介していく「松田図書館」、
第一回は最近出会うことが出来たイカしたロカビリアン、
Jimmy Lloydのコンピレーションアルバム、
You're Gone,Baby! Selected Singles,1951-1962をご紹介したい。
ロカビリアンは有名どころも、そうじゃない人もそこそこ知っている方だと自分では思っていたが、この人のことは全く知らなかった。
昨年購入したRhinoから出ているロカビリーのオムニバスアルバムRock This Town:rocabilly Hits,Vol.1(1991)に彼が1958年に発表したシングル、I Got A Rocke In My Pocketが収録されており非常にかっこよかった為、
「おぉ、これ誰だ?」となった。
こちらのオムニバスはロカビリーヒットと副題が付いてるだけあって有名どころのヒット曲がバランスよく収録されており、ほとんど聞いたことがあるものばかりだった。
しかしJimmy Lloydだけは名前も聞いたことなかったのでネットで調べたところ、生粋のロカビリアンという訳ではなくロカビリーをやる時だけJimmy Lloyd名義で活動していて本業はJimmie Logsdon名義でカントリーを演奏するミュージシャンだということが分かった。
その為ロカビリーの曲はあまり作っておらず、目立ったところでは2曲入りのシングルを50年代に2枚発表しただけのようだ。
50年代はその当時の新しい音楽であるロカビリーが全米ミュージックシーンを沸かせていた為、売れる為にロカビリーを演奏するカントリーミュージシャンは珍しくなかったのでJimmy Lloydもその口だったのかもしれない。
残念ながらロカビリアンとしてもカントリーミュージシャンとしてもあまり売れなかったようだが、もしうまいこと流行りに乗れてロカビリアンとして売れていたらもっとロカビリーの作品を残してくれたかもしれないと思うと非常に残念だ。
では彼がミュージシャンとして優れていなかったかというと全くそんなことはなく、彼が残したロカビリーソングは傑作ばかり。
ロカビリーとカントリーで歌い方を使い分けておりヴォーカリストとしても非凡だし、ギターは自分で弾いていると思われるのでかなりの実力者だ。
また、このアルバムにも収録されている1957年に発表されたWhere The Rio De Rosa Flowsは発表後すぐにCarl Perkinsにカバーされたし、カントリーの巨人であるJohnny Hortonなどにも曲を書いていたので作曲家としても優れていたと言える。
このアルバムには彼がJimmy Lloyd名義で50年代に発表したロカビリーソング4曲、Where The Rio De Rosa Flows、(We've Reached) The Beginning Of The End、I Got A Rocket In My Pocket 、You're Gone, Babyの全てが収録されておりロカビリーに少しでも興味がある方は必見と言えるだろう。
また本業であるJimmie Logsdon名義でのカントリーソングもとても聞きやすいので、ロカビリーは好きだけどカントリーはあまり馴染みがないという方にもお勧めしたい。
僕も緩すぎるカントリーはいまだに苦手だが、彼のようにロカビリーもカッコよくこなせる優れたミュージシャンが演奏するカントリーはロック好きにもとっつきやすい曲が多いと思う。
Jimmy Lloydはミュージシャンとしては大きな成功を手にすることは出来なかったが、60年代はオハイオ州シンシナシティのWCKYというラジオ局でDJとして働き続け全国的なラジオ番組に出演し、その後60年代後半はケンタッキー州とアラバマ州のラジオ局で働いていたようだ。
残念ながら1973年以降は作品を発表しなかったようだが、時折クラブで演奏はしていたようなのでやっぱり音楽はやめられなかったんだろう。
ラジオ局で仕事を続けながらなのか辞めた後なのかは分からないが、人生の後半はスイミングプール事業とケンタッキー労働局で働いていたとウィキペディアに書いてあるので、社会人としてかなりちゃんとした人だったのかもしれない。
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