「好き」の因数分解 SHIROBAKO

*「好き」の因数分解、は最果タヒさんの詩集の名前です。とっても素敵なので気になった方は是非。
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784898155165


映像業界の用語で白箱とは作品ができあがった時のVHSの事を言うらしい。確かにアニメを作るアニメなんだが、白箱が出てくるのはおそらく僕の知る限り一回きりだ。でも良いタイトルだと思う。4文字って覚えやすい。
仕事をしているとうまくいかない事を多い。絶好調でなんでもこいやみたいな気分の日は、茶柱が立つくらいの確率で、つまりまあほぼ来ない。作っているもののクオリティに納得いかないのに直し方がわからなかったり、どうやってお願いしたらやってくれるのかに悩んで悩んでお願いした挙げ句あっさりだめだったり、他に気になることがあって集中できなかったり。ちょっとでもなんかうまくいかねえなってなると、僕はすぐさまSHIROBAKOを見る。Netflixで前回の続きから見たり、今の気分に合う回を選んだり、なんも考えずランダムで見始めたりもする。SHIROBAKOの中ではみんな悩んでいる。悩んで、悩んで、でも人生を、仕事を楽しんでいる。仕事内容も働く意味も人それぞれなアニメ業界は、現代社会へのオマージュだと思う。調整に追われている時にはおいちゃんの感情移入し、何がしたいかわからなくなった時は木下監督に憑依合体したりする。「ねえねえ。面白いってなんだと思う?」は本当に名言だと思う。記事の企画を考えていると、誰かが求めるものと自分がやりたいものを行ったり来たりして、時々面白さがなんなのかわからなくなる。そんな時はむさびメンバーが集まって打ち合わせするシーンに一人涙するのだ。アルピンは居る。
あらゆるシチュエーションに対する金言をみんなで言ってくれる。ルフィは「海賊王にならない道もあるよな」とか絶対言わない。というか基本的に少年マンガにモチベーションの低いやつは居ない(と思っている)。でも現実は居るのだ。世の中にはこと仕事に対してはモチベーションが低い人なんて死ぬほど居る。別にそれは悪い事じゃない。仕事はやることやってプライベートで楽しむ。それも生き方の一つだ。一人の人間の中にもどっちも居る。やる気MAXのパワプロくんのピンクの顔みたいな日もあれば、何もせず泥のように眠りたい日もある。SHIROBAKOはいつ見てもいいのだ。今の自分がどこかにいる。誰かのセリフに強い共鳴を示した時、「ああ今俺はづかちゃんなんだ」とか思う。こういう作品はいつ見るかで本当に感じ方が変わる。だからまずはこのコロナショックのさなか、SHIROBAKO視聴を全社会人のe-learningのコンテンツにしよう。素晴らしい世界になるに違いない。もしそれでも仕事で悩んだ時はこう言えばいいのだ。万策つきたーーー。

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