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「好き」の因数分解 進撃の巨人

*「好き」の因数分解、は最果タヒさんの詩集の名前です。とっても素敵なので気になった方は是非。

世界を揺るがす自己中大決戦。この作品のテーマをなんと言うことも出来るんだろう。戦争。正義。戦い。人類。争い。でも個人的には、自己中だ。意思の強い自己中が集まって、結果的に戦争になって、結果的に多くの人が死んで…みたいな物語。でも自己中じゃない人って、この世に存在するんですか?あなたのためを思って、みたいなやつって、あなたのための思ってる自分が好きでやってますよね?とそこら辺の人に食って掛かりたくなることが二ヶ月に一回くらいあるけど、食って掛かったことはない。ケンカは嫌だし、何よりそういう人って、そんなことない!とか言ってきそうでめんどくさいし。そして私が言いたいのは、自己中でよくない?ってことなんです。だってそりゃ生まれちゃった以上、自分が一番だよ。理由とか知らないけど、そういうふうに人は生まれていると思うよ。殺されそうになったら殺すし、殺される可能性があったら殺すし、それは自然なことでしょう。愛する人が殺されたら復讐で殺すし、愛する人を守るためなら女子どもも殺すよね。そりゃ現実では殺すの前に数千の選択肢があって、実際に殺すを選んじゃった人はちょっと短絡的だよなあもっと考えれば良いのにとは思うけど、でも気持ちはわかるんです。いま書きながら気付いたけど、自己中と信念があるって紙一重ですね。就活の短所を長所に言い換える、みたいな。アルミンとアニが、人類の8割くらいが死んでってる時にイチャコラするところとか、エレンが異次元みたいなところ(よくわかってない)でアルミンにミカサへのヤキモチをぶちまけるところとか大好きです。ジークが、結局キャッチボールしたいだけだったんだなあみたいなところも。何千人何万人殺そうが、人の気持ちって変わらないんだろうな。たぶん歴史上の大虐殺者も、初恋の人を思い出して、今も元気にしてるかなあみたいに思う夜があるんだろう。それで、あの頃がずっと続けばなあなんて思ったりして。要するに、人って育ってきた環境が違うから好き嫌いは否めない訳ですよ。まさよしさんも言ってるじゃないですか。だから争い、小さい規模で言えばケンカみたいなのってのはまあこの先ずっとなくならないんだろうな。でも似てる所もある。全然違うけど、ほぼ同じところもある。あ、この人のこと好きだな、とかそういうやつ。哲学っぽい話が好きなのでそういう感じの問いを投げかけられる気分で見たら、好きな人たちとただぼーっと一日、というか一生過ごしたくなるという素敵な漫画でした。たぶんこういう、突き詰めたら超単純な結論に至りました。みたいなの好きなんだな。あと、あっさり人が死んだり、シリアスな場面でくだらない会話が挟まるの、良いよね。リアル。

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