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「好き」の因数分解 SUPER BEAVER

*「好き」の因数分解、は最果タヒさんの詩集の名前です。とっても素敵なので気になった方は是非。
https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784898155165


大人になってからロックバンド!!みたいなアーティストを新たに好きになる事が減った。それは最近のロックバンドはイマイチだ、みたいな事ではもちろんなく、ロックバンドというものが持っている真っ直ぐな熱量に自分が耐えられなくなったように思う。幼い頃は手放しで憧れれば良いだけだったのに、今じゃ手放しでは熱中できず、かっこいいなと思う度にもうひとりの自分が「それに比べてお前はな」みたいに斜に構えて毒を吐いてくる。段々それが耐えられなくなって、まっすぐなものをまっすぐに見れなくなった。世界は悪くない、自分が変わっただけだ。
その文脈で行けばSUPER BEAVERを好きになったのはなんだか不思議だ。恐らく自分の中でちゃんと好きだと認識したのは3年前くらい、20歳を回ってプラスで4周ほどした後だった。自分が言葉にしてしまうとチープになりそうで憚られるのだが、何よりビーバーの魅力はその真っ直ぐさだと思う。歌詞がとにかく真っ直ぐなのである。初めて聴いたのは「らしさ」という曲で、スタートではなくばらかもんと言う大好きなアニメのOPで使われていた。当時就活真っ只中だった僕は、世の就活生のご多分に漏れず自分ってなんだろう。自分らしさってなんだろう。みたいなありきたりで大切な悩みを抱えていた。そんな頃「理解されずとも宝物は今でも宝物のはずでしょう」なんて言われてみてください。ああそうだ。周りが夢物語はもう大人だし、、と言おうディズニーのめでたしめでたしは大好きだし、下手くそでもギターを弾いている瞬間はライブハウスのステージからの景色が見えるし、全国大会で活躍する訳じゃなくてもバドミントンが、そしてバドミントンをしている仲間が大好きなんだ。どれも別に社会に出て役立つものじゃないかもしれない。けどそれでいいんだ。そう思えたんです。ビーバーの歌詞の真っ直ぐさは生まれたばっかりの赤ん坊のそれではなく、何度も何度も折れそうになりながらも、喜び怒り悲しみ楽しみ全てで継ぎ接ぎした信念が、ズタボロのその信念が鈍く光ってまっすぐ響くんだと感じた。まるで小学生の作文のようにピュアなのに、消える寸前のヨーダの言葉のように深みがある。ビーバーの曲を聴く度にそんな事を想う
ボーカルのぷーやんはライブの度に、来てくれた観客に同じメッセージを届ける。「あなた達じゃない、あなたに歌ってるんだ」。ああなんか、こんな風な生き方がしたい。しよう。

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