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【ドゥイブス・サーチ技師(チェックリーダー) インタビュー・中澤美咲】受診者に寄り添い「手紙」のようなレポートを届ける放射線技師が支えるチェッカーの仕事

「無痛MRI乳がん検診(愛称:ドゥイブス・サーチ)」は、受診者さんが読みやすい検査結果レポートの作成に力を入れています。それを読むことで自分の体の状態を自分で把握し、健康への意識を向上させて欲しいという思いからです。当社には「乳腺レポートチェッカー」というポジションがあり、レポートの品質を支える重要な役割を担っています。現在、放射線技師4名がチェッカーとして在籍していますが、無痛MRI乳がん検診の急速な普及に伴い、チェッカーを増員する予定です。

今回は放射線技師資格を持ちながら、現在は「ドゥイブス・サーチ」でチェックリーダーとしてチームを率いる中澤美咲さんに、チェッカーの仕事で心がけていることや、受診者とのエピソード、リーダーとしての目標などについてお話を伺いました。

株式会社ドゥイブス・サーチ
営業技術/乳腺レポートチェックリーダー:
中澤美咲

大学病院にて放射線技師として約5年の臨床経験後、2020年にドゥイブス・サーチに入社。


目次
1. マンモの痛みに苦しむ患者を見て葛藤する中、「痛くない」乳がん検診に出会う2. 「無痛MRI乳がん検診」におけるチェッカーの存在意義
3. チェッカーチーム全体で画像診断のスキルアップをめざす


マンモの痛みに苦しむ患者を見て葛藤する中、「痛くない」乳がん検診に出会う


──現在、乳腺レポートチェックリーダーとして働いていらっしゃる中澤さんですが、ドゥイブス・サーチに転職された経緯について聞かせてください。

中澤:前職では、大学病院の放射線技師として5年ほど勤務していました。日々、マンモグラフィの撮影を行いながら、たくさんの患者さんが検査の痛みに苦しんでいるのを目の当たりにしていました。中には涙を流す方や、倒れてしまう方もいらっしゃって…。「痛みを与えないやり方はないだろうか」と葛藤していたんです。そんな時に、以前からお世話になっていた高原先生が考案された無痛MRI乳がん検診の話を聞き、「これこそ、これまで抱いてきた葛藤を解決できる方法だ!」と思い、ドゥイブス・サーチへの転職を決めました。

──チェッカー業務は、これまで病院で行ってきた放射線技師の仕事とはまったく違うものだと思います。戸惑ったことやギャップを感じたことはありますか?

中澤:もちろん、あります。チェッカー業務は読影医から受け取った検査レポートをチェックし、病院に戻すまでの期間が決まっています。そのレポートが1日に何件も送られてくるので、たくさんのタスクを一定の期間内に並列的に、計画的にこなす必要があります。放射線技師の仕事は、その日の撮影はその日の業務時間内に完結するという仕事だったので、この違いが一番戸惑いましたね。

期日と作業に必要な時間を考え、その日に完了すべき件数と内容を正しく把握することを心がけました。また、高原先生にアドバイスいただき、メモに書き出すことで優先順位や期日を明確にし、徐々に複数の仕事を順番にこなせるようになりました。

──「チェッカー」というポジションについて説明してもらえますか?

中澤:無痛MRI乳がん検診で撮影された画像は、病院から読影医の元へ送られ、読影医が診断し、レポートを作成します。それをチェッカーである放射線技師が受け取り、不足している文章がないか、誤字脱字がないかなどチェックし、読影医と「ここを修正しました、ここは間違っていませんか」などというやり取りをして、レポートを完成させ病院に戻します。私はリーダーとして、他のチェッカーが行ったチェック内容の確認や、依頼する件数の調整など、チーム全体の管理も行っています。

「無痛MRI乳がん検診」におけるチェッカーの存在意義

──チェッカーという立場に求められているのはどんなことだと思いますか?

中澤:チェッカーは読影医のレポートの誤字脱字など、文章校正がメインではありますが、読影の内容についても指摘をすることがあります。「画像上に所見があるのに指摘していない、良性と読んでいるけど悪性が疑われるポイントがある」などと指摘して読影医へ戻すこともあります。そのためにはチェッカー自身も「基本的な診断」ができる必要があります。

──中澤さんはこれまで画像を見て所見を詳しくチェックする経験があったんでしょうか?

中澤:MRIの撮影の経験はありましたが、所見を詳しくチェックすることはほぼありませんでした。入社してから高原先生から直接教えていただいたり、先生方の読影レポートを読んだりして、どんな所見の時にどんな診断になるのかという知識を取得してきました。現在ではレポートを書くことができるくらいの能力は獲得できたと、自分自身でも成長を実感しています。チェッカーになったことで一番変わったのは「私も診断できるようになって乳がんを見つけるんだ!」という気負いが大きくなったことですね。最近は私が重要所見を指摘できたケースも増えており、ますますやりがいを感じます。

──「受診者さんがもらってうれしいレポート」の作成に注力しているのも、無痛MRI乳がん検診の特徴のひとつですが、そのレポートの品質を守るために工夫していることはありますか?

中澤:チェッカーは最も受診者さんに近い立場にあるので、その気持ちに寄り添いたいと考えています。受診者さんが理解しやすい文章を心がけるのはもちろんのこと、問診票に書かれた自覚症状やお悩みにも回答するようにしています。それは、単に「レポート」ではなく、「大切なお手紙」をお返しするという気持ちで取り組んでいるからです。「この点に不安を感じていらっしゃるから、こうコメントしたら安心してもらえるのではないか」と、読影医に相談し文章を書き足してもらうこともあります。レポートを読んだ受診者さんに「受けて良かった」と思ってもらえるようなレポートをこれからも提供したいですね。

──中澤さんは「無痛MRI乳がん検診」のどういったところに意義を感じますか?

中澤:以前、ある大学の先生の「痛みは医療において最も取り除くべきものだ」という言葉にとても感銘を受けたのですが、無痛MRI乳がん検診の最大の魅力はまさに「痛みがない」ということだと思います。実際にたくさんの受診者さんから「痛くなくてよかった」という声をいただいていますし、リピーターの増加に繋がっている理由もそこにあると実感しています。

──ドゥイブス・サーチでの仕事を通して、特に印象的だった出来事はありますか?

中澤:今年の10月に初めて開催した「ファンミーティング」で、たくさんの受診者さんたちと直接交流ができ、すごくいい刺激になりました。参加者の方に「ずっと乳がん検診を受けていたが、無痛MRI乳がん検診で初めて乳がんが見つかり、早期に治療ができて感謝している」という言葉をいただいた時は、この検査が受診者さんの命を救ったんだと実感することができました。

チェッカー全体で画像診断のスキルアップをめざす


──チェックリーダーとして、今後どんな成長をしていきたいですか?

中澤:チェッカー全体の能力を上げ、維持していくことがもっとも大切だと思っています。文章の校正だけでなく、診断についても読影医に意見を言えるように知識をつけることが必要ですが、それは個人の努力だけでは限界があります。定期的にチームでカンファレンスを開き、診断情報をアップデートしたり、よりよい文章校正についてディスカッションしたりすることで、チェッカーの精度を全体的に上げていけると思っています。その中でも自分が主軸でいられるように、リーダーとして誰よりも能力を向上、キープしていきたいですね。

──中澤さんは社内でレポートチェックするだけではなく、無痛MRI乳がん検診の導入先の病院に行って現場の方とコミュニケーションを取りながら、運用のサポートもされているそうですね。

中澤:はい。導入の際には病院に行って直接現場の放射線技師に接遇の仕方などの指導を行っています。病院の方とコミュニケーションを取り、技師が迷うポイントや病院の特色を把握し、問診の際に気を付けてほしいことなど、後々レポートを作成する際に関わる大事な部分を最初からコントロールする役割も担っています。

これらの仕事は一見チェッカーとは関係ないように思うかもしれませんが、正しく問診をとることと、画質を高いクオリティで維持することは、診断にダイレクトに影響してきます。また、問診内容や画像の不備を見つけて病院へフィードバックするのもチェッカーの仕事なので、病院のスタッフと良好な関係を作ることも、実はとても重要なことなんです。

──中澤さんから見て、ドゥイブス・サーチのチェッカーにはどんな人が向いていると思いますか?

中澤:「集中力の持続ができる人」だと思います。チェッカーは、読影医の書いたレポートの文章だけでなく、問診内容、検査画像など、1つのレポートでも意識する項目が多く、また受診者数が年々増加しているので、日によっては100件を超える数のレポートを確認します。単純に時間がかかるので集中力の持続が必要です。そんな中でも「しっかりレポートのクオリティは維持しよう!」というモチベーションで責任感を持って取り組んでいただける方に来ていただきたいですね。また、MRIの画像を見慣れていることや、診断に適したコントラストに微調整できるスキルも、あればベターですが、そういった技術や知識は入社した後に十分学べる体制が整っているので、画像診断の経験が無い方もぜひチャレンジして欲しいです。

──中澤さんから、これからドゥイブス・サーチの仲間になりたいと考えている方にメッセージをお願いします。

中澤:ドゥイブス・サーチでの仕事は、病院の放射線技師の仕事とはかなり異なる部分も多いです。だからこそ、撮影以外のことをやってみたい、診断の技術を身につけたい人にはぴったりだと思います。なんといっても、MRI、DWIBS法の権威である高原先生から直接指導を受けられる、とても恵まれた環境が整っていますからね。撮影のその先の知識があることで、放射線技師として撮影を行う際もワンランク上の検査画像を提供できる、そういったスキルアップも期待できます。一緒に非造影の乳房MRIのスペシャリストになりましょう!


──次回は入社4ヵ月目のチェッカー・佐竹睦子さんへのインタビューを行います。医療現場からのキャリアチェンジを検討している方や、「興味はあるけれど、病院勤務以外の経験が無いから不安」という方も必見です!

<インタビュー・記事= 藤島知子>