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ロングストラドルとロングストラングルについて

ポジティブガンマ戦略を取る場合、ロングストラドルとロングストラングルを取る方法が考えられます。私はこれまでロングストラドルを使用してきましたが、ベガの低下やセータで損失をくらうことが多かった。

ツイッターでおせわになっておりますりゅう師匠(@ronjin)から、この点について以下のようなコメントをいただきました。

ATMのロングストラドルとロングストラングルでは資金効率が全く違いますね。ガンマ効果を調べてみましょう。

資金効率が違う?確かに、ATMでロングストラドルを組む場合はプレミアムは時間価値が最大であるので高価ではある。ただ、ATMではガンマも最大であるので、ガンマの効果を最大限得ることができるのでロングストラドルの方が効率がよいのでは?というのが自分の疑問でした。

ちょっとこの点について検証してみました。

ポジション紹介

6/12(金)のナイトセッションの終値でロングストラドルとロングストラングルを組んでみたとします。建玉はそれぞれ下記のようになります。

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ロングストラングルは思い切って上下1000円離してみました。ストラドルは895円の支払いに対して、ストラングルは259円なので、当たり前ですがかなりストラングルが安いです。

ガンマの値を比べてみましょう。ロングストラドルは0.071、ロングストラングルは0.047です。思ったほどの差ではないですね。

OPTION戦略アプリでは、リスク指標のカーブも確認できるので便利です。それぞれのガンマカーブを確認してみましょう。

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ガンマはATMで最大になるので、ロングストラングルは、権利行使価格まではフラットな印象があります。

1000円離してプレミアムは3割くらいなのに、ガンマは6.6割くらいなので、確かに資金効率は良さそうだ。りゅう師匠が言っていたのはそういうことか?

ガンマの効果をもう少し欲しいと思えば、近くにしてみればいいし、暴落を狙ってIVの上昇によるベガの収益だけを狙うのであれば、FOTMのロングストラングルという戦略もあり得そうだ。

損益推移

6月15日(火)
相場が上昇しました。節目であった29200円を超え、昨日から1%の上昇となりました。日経平均が上昇しながら日経VIも上昇する展開となったので、ガンマロング、ベガロングのポジションにはとてもいい感じ。(実際にトレードしてない時に限って...)

流石にこの展開になるとリスクをとったロングストラドルに分がありますね。ロングストランドルでもデルタヘッジが可能なレベルです。

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6月17日(木)
本日は、前場から400円くらい下げる場面がありましたが、午後からジリジリと戻して、結局、日経平均は29000円に戻す点検でした。ここで、ロングストラドルがマイ転しました。ロングストラングルはまだ、プラスです。

個別のIVを見ていると、ロングストラングルのP280のIVが、16.29から18.51と建てた時より、2.22ポイント上昇しております。IVはスマイルカーブの特性上、FOTMの方がIVの値が大きくなります。今回の暴落で、ATMよりOTMのP280がより大きく反応したのだと思われます。

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6月18日(金)
ナイトセッションでダウが-533.37ドルと大きく下げ、日経225先物も-495円と大きく下げました。ガンマロング、ベガロングのポジティブガンマにはとてもうれしい展開です。金曜日のナイトセッション大引けの段階の損益はこんな感じとなりました。

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流石にロングストラドルの方が利益がでてますが、ロングストラングルも37円しか差がありません。

資金効率

ロングストラドルとロングストラングルの資金効率を比較してみます。それぞれの初期投資額は下記でした。

ロングストラドル 895円
ロングストラングル 259円

6/18(金)のナイトセッションの大引けで決済をしたとすると、それぞれの利益は下記となりました。

ロングストラドル 167円(18.6%)
ロングストラングル 130円
(50.2%)

ロングストラングルの利益率、脅威の50%超え!!!ww すごい。

まとめ

今回、ロングストラドルとロングストラングルを1週間検討してみました。まあまあ相場が荒れたこともあり、マイナスになったり、プラスになったり、いい環境で検証ができたのではないかと思います。

今回の比較して感じたのは、ロングストラングルの方がかなり資金効率が良い結果となった。今回は大きな下げがあったので、ベガによる収益が増えたと思われるのですが、スマイルカーブの特性による効果もあったのではないかと思います。

所謂、ボラティリティスマイルカーブは、FOTMのプットになればなるほど高くなる性質があります。結局、ATMでスプレッドを組むストラドルより、OTMで組むストラングルの方が、OTMのプットを利用するため、今回の暴落によるIVの吹き上げを得られたのだと思います。

あと、最初にガンマのグラフを上げましたが、ガンマは権利行使価格で最大になるグラフになってますので、これも影響があったのでしょうね。これがガンマの効果なのか?

あと、1週間収益を確認して思ったのが、これまで自分が取ってきたロングコールデルタヘッジ等のオプションと先物ミニを使った合成ポジションより、今回のオプションだけを利用したスプレッドの方が、相場の変動の効果が得られる感じがしました。

自分でポジションもってる時は、相場の変動があってもなかなかプラ転することができなかったのですが、今回のポジションは相場が変動しないとマイナスになっているのですが、動くとすぐにプラ転したんですね。

やはり、先物はデルタしかもたないオプションですから、オプション2枚で組むよりガンマ、ベガの影響は受けにくいのだろうなと。このあたりも次回検証してみたいと思います。

いずれにせよ、295円くらいでロングストラングル組めるのであれば、ロングコールデルタヘッジ等と比べると、ロングストラングルでよいかもしれませんね。

今回は結構、勉強になったな。最後までお読みいただきありがとうございました!

ありがとうございました!