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プランスゴールド(PGA)等、投資詐欺案件における交渉・集団訴訟等に関する一見解

注意

 このノートは、PGA等を信じて出資した人((自称)被害者)を批判し、バカにする内容を含んでいますが、特定の個人について中傷・論評の意図はありません。不快な人は、そっと閉じてください。このノートはあなたの役には立ちません。
 また、私は法律家ではありません。内容の真偽も結果も保証しませんので、真に受けすぎないように。
 著作権は放棄しませんが、引用・転載は自己責任で勝手にどうぞ。


1.結論を3行でまとめると

 弁護士に支払う着手金や訴訟費用すら回収できない可能性も高く、時間も相当奪われるので、被害者の会参加に経済的合理性はない。それでも参加するなら、被害回復以外の目的で考えろ。

2.昨今の投資詐欺案件のスキーム

 ポンジスキーム自体は日本国内でも数十年前から散見されますが、運用の実態がないことは簡単にバレるので、やる側にも相当なリスクが伴います。最近も、ジャパンライフ(株)の経営者や幹部が多数逮捕されました。

 そこで、最近は海外の会社の投資案件を、小賢しい日本人がアホな日本人向けに「紹介」する形を取っています。紹介される海外の会社は、日本に拠点もなく、金融庁に無登録なので、日本国の法律で規制・処罰することができません。
 一方、こんなモノにひっかかるオツムの日本人でも理解できるよう、勧誘は日本人が日本語で行います。(この勧誘する日本人は、ルックス、頭の回転、トークスキルが中々高いです。ご丁寧に、海外の会社の幹部という設定のイケメンの外国人が英語でプレゼンすることもあります。)

 この仕組みの何が良いかというと、紹介者は会社側の人間ではなく、
「自分が試して(当時は)儲かっていた海外の投資情報を紹介し、参加方法を説明しただけ」
という立場を装えるからです。また、彼ら自身も詐欺案件に参加しているため、その案件が出勤停止になったとしても、他の参加者と同じ被害者と言い張れます。

 「通常の事業ではあり得ない高配当を出す海外の会社」
 「それを紹介する日本のインフルエンサー」
 「引っかけたカモに、MLMで新たなカモを勧誘させる」

 の3連コンボというのが、最近の流行です。

3.責任の所在を曖昧にされている

 高配当を謳い資金を集めた会社が債務を果たさない場合、一義的にはその会社が責任を問われます。ただ、会社は海外にあり(いや、実態は存在しないんだけど)日本法人もなく、国内に資産もないため、刑事責任を問うたり民事で賠償請求することは、事実上不可能です。
 もう、この時点で基本的に「詰み」です。投了。

 そこで、苦肉の策として「会社・案件を紹介した上位の会員」、MLMでいうところ「アップ」の責任を問う、という戦術が考えられます。しかし彼らも、「(体裁上は)こんなモノに欺されたアホと同じ被害者」です。仮に紹介報酬を貰っていたとしても、一般的なアフィリエイト報酬と同じとも言え、海外の証券会社やFX業者へ誘導して儲けているYouTuberと同じ立ち位置です。これだけで詐欺罪に問うことは不可能でしょう。

 「詐欺案件だと知っているけど、アホ共から金を巻き上げるためにやってます」だと詐欺罪になりますが、「絶対儲かると本気で信じて、善意で他人に紹介した案件が残念ながらダメになった」だと、少なくとも刑法上の詐欺罪にはなりません。(まあ、断定的な表現で勧誘を繰り返していたようですから、出資法とか、金融商品取引法とか、その辺の法律は何かしら犯しているでしょうが。)
 「アップ」や「トップリーダ達」が、前者であったことを他人が立証するのはまず不可能ですし、そんなことを彼らは絶対に認めません。さらに「自称被害者」の中にも他人を勧誘したり紹介して、報酬を受け取っている人が少なくないため、「お前らと一緒やで」と一蹴されます。

 「オレはええんや」が通用するのは元阪神の藤川球児さんだけです。
https://kogusoku.com/archives/11401

4.そもそも投資は自己責任

 自分が出資する相手の信用や財務状況、将来性、経営者などを確認するのは、当然、投資家の責任範囲です。今、被害者の会や集団訴訟に参加している人の中で、これらをきちんと行った上で金を出した人は1人もいないはずです。(ちなみに私は、これが面倒くさいので個別株はやらず、INDEX型の投信を買ってます。)
 しかも、「海外の会社で日本法人もなく、金融庁への登録もしていない会社に金を欺しとられた」というのは、「イスラム国の支配地域に出向いていったら、人質になって首を切られた」のと同じくらいの自己責任かと思います。
 無登録の海外業者と取引することも、イスラム国の支配地域に行くことも、国(金融庁および外務省)は「やめとけ!」と散々注意喚起をしています。

 それ以前に、「月利数十%を安定的に稼げる手法が存在すると思うこと。」「仮にそんな手法があるとして、見ず知らずの日本人である自分に儲けの分け前を持っててきてくれる。」などと思うこと自体、投資家として致命的なミスです。投資の世界において、「自己責任=バカなのが悪い」ということで、少なくともこの国の実態としてはそれがまかり通っています。投資家は、一方的に保護される消費者ではないのです。

 そして、このような投資詐欺案件がなくならないことを法の不備のせいにするアホも多いです。しかしこのような愚かな投資家まで法律で保護してしまうと、本来投資家がリスクテイクすべき「損失」を販売者に転嫁することが可能となり、現在の金融経済活動に重大な制約を生むことになります。極端な話、「金融機関は全てのリスクを正確に説明できない商品や、全額または大半を損失する可能性がある商品は売れない」ということにつながります。

 高層ビルの屋上から飛び降りたら人は死にますが、では高層ビルの屋上は全て立ち入りできないような構造にすると、ビルのメンテナンスや緊急時の避難等に影響があります。包丁は人を殺すことができますが、だからといって包丁の販売や所持を禁じることは現実的ではない、ということです。今の法律の条文も所詮人が作ったモノですから、完璧と言うことでもないですが、自分の金を失った理由を行政の怠慢のせいにできるほど、役人もバカじゃないですよ。

5.勝訴しても金が取れるとは限らない

 金を取り返したいんですよね。とすると、弁護士はまず「金を持っていそうな人」=「トップリーダと思われる人」と和解交渉をすると思われます。貧乏人のアップを相手にしてもしょうがないので。

 しかし、彼らが素直に請求額を支払う道理がありません。
 彼らは大金を得るために、多大な労力を費やし、様々なリスクを負って詐欺案件を「見ず知らずの他人が、自分を労働から解放し、大金持ちにしてくれる」と信じるアホ共の相手をしながら広めていったわけです。
 「弁護士に言われて儲けた大金を吐き出すくらいなら、トップリーダ達は最初からこんなことせんやろ」と私は思います。

 とすると、次は民事訴訟となります。なお集団訴訟は、民事訴訟の一形態です。被告に刑事罰を求める訴えではないです。(当たり前の話ですが、この辺すら理解していない人がチラホラいるので、念のため。)
 正直、原告(被害者らの集団)にとってかなり分が悪い戦いになるように感じ(※後述)ますが、そこは「優秀な弁護士による巧みな裁判戦術」または「被告の裁判無視」などにより、「一審で一定程度の損害賠償を認める判決を得た」としましょう。そして、「被告(トップリーダ達)が控訴せず、確定判決となった」と(都合良く)しましょう。

 トップリーダ達は素直に賠償金を払うか?というと「判決が出て素直に大金吐き出すくらいなら、最初からこんなことせんやろ」です。となると、原告が被告の資産の差押えを行うことになりますが、トップリーダ達は日本国内に資産を持っているでしょうか?

 彼らが守りたい資産の本丸は、他人名義で、海外に隠しているのではないか?と私は推察します。(そもそも、今巷で呼ばれたり自称している名前自体、本名かどうか判りませんが。)

で、国内の資産は雀の涙程度しか残っていなく、
「紹介報酬(出資させた金の一部)は豪遊で使っちゃった。だって、PGAはホンモノでずっと儲かると思ってたし~♪てへぺろ」
となりそうです。

 というわけで、この係争の本質は「(海外に)隠されたトップリーダ達の資産を、原告側が調べて特定し、越境して差し押さえられるかどうか」であり、これ抜きで被害回復は叶わないと考えます。

 一応、判決が確定した債権の時効は10年ですし、返しきれない債務を負ってもトップリーダ達の自己破産は認められないと思うので、将来にわたって国内の資産をチマチマ差し押さえをしていけば、多少回収額が増えるかも・・。彼らがずっと日本にいれば、ですが。

 ※原告側にとって分が悪い戦いになると思う理由
 一般に、損害賠償請求では過失相殺という考え方があります。交通事故の時によく使われますが、他の係争においても同様です。
 仮に民事裁判に訴えたとしても、「原告の中に他人を紹介した者もいるため、お互い様」であること。さらに「原告側にも、投資家としての判断に重大な過失が認められる可能性が高い」ことを踏まえると、裁判で原告側の主張ほぼそのまま認められる可能性は低い。

6.類似案件の被害回復事例

 プランスゴールと類似の事例として、

 「通常の事業ではあり得ない高配当を出す海外の会社」
 「それを紹介する日本のインフルエンサー」
 「引っかけたカモに、MLMで新たなカモを勧誘させる」

 の3連コンボを決めた「D9Club」「Sener」という投資詐欺案件があり、「あおい法律事務所」さんで集団訴訟をされているようです。

 こちらのページによると、
 「平成30年10月29日から同年31日にかけて,当弁護団は,東京地方裁判所に合計6件の損害賠償請求訴訟を提起しました(原告138名,訴額5億2000万円余)」し、
 「平成31年3月1日現在,D9関係で4237万5628円,sener関係で1390万6819円の現実の被害回復」がされているとのことです。

 単純計算ですが、1人あたり約380万円の損害賠償請求訴訟を起こし、1人あたり約40万円の被害回復がされている、となります。
 HPに記載の通り、今後の訴訟が進んで行くに従い増えるかも知れませんが、もう2年以上更新がない状況なので、被害回復額が増える期待度は高くないかも知れません。

 この約40万円から、成功報酬を払い、着手金、訴訟費用等を引くといくらプラスになったのでしょうか。この集団訴訟を「あおい法律事務所」さんがどのような費用体系で引き受けたか判りませんが、依頼者の手元に残るのは多く見積もっても30万円程度、着手金が高額な場合は20万円以下かも知れません。ざっくり、請求額の5~8%くらいでしょうか。

 しかもこの事例、「あおい法律事務所」がトップページに大きくリンクが張ってアピールしている程度には好事例、おそらく海外のグループが絡む投資詐欺事の被害回復としては、best practice(最良事例)の1つかと思います。
 実際、同時期・同種の投資詐欺案件である「プラストークン」「WoToken」など、「訴訟だ」と騒いでいる人は何人かいましたが、実際に被害回復がされたという記事はなさそうです。

 もちろん、これらの係争はプランスゴールドのモノとは別であり、プランスゴールド側の係争の結末がどうなるか判りませんが、1つのベンチマークにはなるかな、と思います。

7.まとめ

 被害回復の可能性自体が低いし、できたとしても金額は非常に少ない、と私は思います。
 弁護士に依頼し、集団訴訟に参加するということは、いくらかのコストがかかりますし、被害額の算出・確定などのために時間も取られます。傍聴・証言等の為に裁判所まで行けば、時間も旅費もかかります。争いが一審で終わらなければ、控訴審上告審と弁護士費用も訴訟費用も加算されます。
 しかし前述のとおり、まともな賠償金が取れる可能性は低いので「だまし取られた金を全額取り返せる」などと思って参加すると、絶望的な結末を迎える可能性が高いです。

 よって、参加するなら金銭以外の目的。例えば「○○を刑事告訴して刑務所に送ってやりたい」とか、「自分へのけじめとして訴訟をやりたい」などのモチベーションで参加するなら意味があるかと思います。

8.余談

 「弁護士法人浅野総合法律事務所」さんで、プランスゴールド被害者からの弁護依頼者を募っているようです。(現在は二次募集が終わり、新規の参加者は募っていないようです。また、事務所のトップページからの当該ページへのリンクも削除されました。)

 個人的な感想として、よく引き受け、それを公表したな・・と思います。

 「裁判には勝った。でも金は取れなかった・・」ならいいんです。ちゃんとリスクにも明記してありますし、法律家としてはやるべき仕事はしたという結果が残ります。

 最悪なのは、訴訟で損害賠償自体が認められなかったり、請求額に対して極めて少ない額しか損害賠償が認められなかった場合です。
 いくら「結果は保証しません」と説明していたとはいえ、この場合、
「見え見えの詐欺師に、法廷という自分たちの土俵で戦いを挑み、無様に負けた。」
という結果が残り、事務所の看板に傷が付きますからね。
 プロの格闘家が街のチンピラと格闘ルールで勝負して負けた、みたいなもんです。そういえば、シバターに負けた人、誰でしたっけ?

 報酬体系からして、損害賠償取れないと事務所としては儲からないですし、勝算があると思って引き受けたのかと思います。
 しかし、他人を紹介した「加害者」でもある者を簡単に参加させており依頼者間の利益相反にならないように依頼者間で債権債務を放棄させるのはともかく、着手金+1万円の根拠も不明)、「相手方となり得る者」「争点」あたりを読むと、裁判でこれを主張したらフツーに負けるんじゃないか?とすら思います。ザル過ぎて。まあこの辺の論理展開は、今後本番の訴訟までにブラッシュアップされていけばよいですが・・。

 一方、正面から相手と交渉したり法廷で戦うだけが、被害回復のために取り得る手法ではないですからね。HPの記述は形式的なもので、本当の作戦は別にある可能性もあります。
 自分でも、被害回復が主目的なら別の戦術をとります。まともな交渉や集団訴訟なんか絶対やりません。割が合わないことが目に見えているので。

 というわけで、弁護士事務所さんが、小悪党とどのように戦うのか見物です。

9.現在の係争状況について(余談2)

 FX&投資研究所・斉藤学さんのYouTube動画でのコメントのやりとりで、図らずもプランスゴールドの係争に関する、現在の状況を聞くことができました。


 該当のコメントのやりとりは、動画投稿者の斉藤さんによって最上部に固定されていますので、興味があればご参照ください。
 なお、被害回復の可能性について、斉藤さんと私の考えはかなり違います。あなたが損害賠償請求(民事訴訟)を考えている場合、このnoteと異なる意見としても、確認する価値があるかと思います。が、どちらも法律家ではないので、そこは理解の上判断してください。

以上



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