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詐欺案件の判断基準(多少の法律・金融・ITのリテラシーがいる)

 投資詐欺案件を見抜くのは、多少の論理的思考力があれば簡単です。

1.海外の会社で日本法人が存在しない。(金融庁へ未登録の業者)

 その会社にどんなことをされても、日本国の法律で規制・処罰することができません。金融庁さんも10年以上前から繰り返し警告を発しています。

2.日本人のリーダ格は紹介しているが、販売はしていない。

 彼らは、「海外の投資情報を紹介しただけで、損益は投資家の自己責任」と言い張ることができます。立場的には、海外の証券会社を推奨し、紹介報酬を得ている投資系YouTuberと同じです。
 その案件が飛んでも、損害賠償責任を問うためには、「彼らは詐欺案件と知りつつ投資家に紹介していた。」ことを訴えた側が立証する必要があり、まず不可能です。
 勧誘の仕方によっては、「出資法」や「金融商品取引法」違反等の刑事罰で告訴できるかもですが、会社側の人間でもなければ詐欺罪に比べて刑罰も軽い上、民事訴訟による被害回復の視点でも、「月利10数%で安全な海外案件」とかいう馬鹿げたモノに金を出してしまった投資家側の判断ミス(自己責任)を打ち消すには十分とは言えないと思われます。

3.会社側が提示する「エビデンス」が的外れ。

 本来であれば、
「配当・報酬の原資が、運用益で全てまかなわれていること。」
「顧客の資産が、会社の資産とは別かつ適切に管理されていること。」

の最低2つが示されていなければいけません。

 「数秒~10秒程度かけて数USDを稼ぐデモトレード」など、自社内に取引所のコピーサイトを作って偽装可能ですし、もしそのトレードが本当に行われ、いくらかの利益を出したとしても、大した意味はありません。
 どうしてもやりたいなら、毎日、数百万USDを稼いでいるエビデンスを確認しましょう。ポンジスキームという言葉については、もはや説明不要かと思います。

4.やっぱり紹介者もろくなエビデンスを提示しない。

 よく出てくる「札束」「高級車」「高級時計」はホンモノでしょうか。また、彼らのモノでしょうか。
 「資産や収益を示す画面キャプチャ」が偽装ではないと確認できますか?
 ホンモノだと言い張るなら、「直近の確定申告書と納税の記録を見せてください」とお願いしてみましょう。(確定申告書も国に提出していないものを提示することは可能ですが、矛盾なく作るのは結構大変です。)

5.儲け話をシェアする理由が「紹介報酬」

 仮に3ヶ月後に価格が10倍になる株や暗号通貨の銘柄を知っていても、フツーは誰にも教えずこっそり身内で儲けます。不特定多数に知られてしまったら、3ヶ月後ではなく、すぐに価格が10倍に近づくので、自分が安く買うことができなくなり儲けが減るからです。
 それなのにわざわざSNSやセミナーで広めようとするのは、3ヶ月後に価格が10倍になるからではなく、それを売った側が儲かるから、です。

6.トレード(投機)はゼロサムゲーム(またはマイナスサムゲーム)という本質から外れている。

 トレードは短期的な相場の上げ下げで収益を狙うものですが、そもそも短期的な相場変動に連動して売買対象の資産価値が増減するわけではない※ので、「マーケットに参加しているプレイヤーの損益を合計すると0になり、証券会社や取引所に支払う手数料を考慮するとプレイヤーの損益の合計マイナスになる。」という絶対的な本質があります。

※例えば、「トヨタ自動車」の時価総額は、21年4月時点で約27兆円です。仮に、東証の取引時間である9時~15時の6時間に、株価が4%上昇したとすると、時価総額は約1兆円増えます。しかし、「この6時間の間にトヨタ自動車の企業価値が1兆円増えたわけではない」ということです。

 つまり、トレードで誰かが1億USD儲けたということは、どこかに1億USD損をした人(達)がいる、ということです。
 このようなシビアなルールのなかで、世界中の金融エリートや、ヘッジファンドなどの機関投資家が持つガチモンのAIが金を奪い合うのがトレードの世界です。月利数十%を安定的に稼ぐ画期的なシステムなどあり得ませんし、仮にそれがあったとしても、赤の他人に利益を分ける理由がありません。

 逆に、年単位の時間をかけ資産自体の価値が増えることや、配当・利息を受け取ることを狙うのが「投資」です。



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