ピンクの自転車と小悪魔

 こんにちは。草壁です。

 先日の自粛期間中、公園くらいしか出かけるところがなかったので、娘にウォーキングバイクを購入しました。いわゆるストライダーですね。

 というのも、自粛前にショッピングモールで展示されていたストライダーに乗るや否や、「これ、〇〇ちゃんの!」と大絶叫。押せど引けど譲らず動かず、結局強制執行からの大号泣に至った前科がありました。帰宅後も、手慰みに持ち帰ったストライダーのカタログを床に敷いて、紙の上の仮想ストライダーにまたがっては「自転車乗ったね!」「面白かったね!」「また行こうね!」と事あるごとに親を牽制する娘。

 こりゃもう、買ってやるしかないな!(服従)

 思えばファーストシューズを買った時も、陳列されているいくつかの靴を順繰り見せていったところ、言葉も喋れない娘がある一つをむんずと掴み取り、そのまま履かせろ履かせろとねだったくらい、彼女は自分のお気に入りに対して思い入れが強いタイプ。あのドがつくショッキングピンクの靴はもう履けなくなりましたが、そこまで気に入ったなら是非もなし。

 早速プロテクター一式とヘルメットを携えて、いざ公園へ出陣。
 やはりドピンクのストライダーにまたがり、ドヤ顔の娘に苦笑しつつ、さあ存分に堪能したまえと見送る私。

 そして……10分で飽きる!

 10分しかと言えばいいのか、10分もと言えばいいのか、しかしストライダーを横倒しにした娘は、ひらひら舞うちょうちょを追いかけてあちらこちらへ――コケる。うん。プロテクターは仕事したよ。

 でも、娘なりに気に入っているらしく、出かけられない雨の日などはしょっちゅう「ピンクの自転車〇〇ちゃんの!」「いつ行く?」「おねえさんになったらもっと大きい自転車?」と次なるグレードアップまで見据えた発言をしています。たくましい。

 しかし子どもはすごいですよね。たった10分しか乗っていませんが、足がつくかつかないかの大きな自転車を、ある程度乗りこなしてしまうのですから。これが三十代おっさんだとそうはいかないでしょう。この順応性は可能性の塊だと唸らざるをえない。私にもそんな時代があったはずなんだ……

 乗れるようになってしまったからこそ、飽きてしまうのも早いのかもしれません。
 そういう意味では、本当に近い将来、もっと大きな自転車を買わされてしまうという、二歳児の小悪魔的戦略――だったりするのかなあ。

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