神楽麗と私P

心に傷を負った天才美少年ヴァイオリニスト16歳に、アイドルとしての輝きを見出した私P
事務所からは天才音楽家の浮世離れしてる美青年とユニットを組もうといわれ、なんやかんや。
最初は歯車が噛み合わない二人だったけれども、人一倍音楽に秀で、好む気持ちは共通なので、二人の歌には技術と力があった。
心に傷を負い、人を信じることも、できなくなってしまった麗くんだったけれど、どこか摑みどころのなく、裏表もない都築さんと交流することで、人と関わることへのリハビリができている。また、アイドルとして仕事をしていく中で、壁にぶつかりながらも、そのとき言葉をくれる都築さんと、サポートをするPの力も借りながら麗くんは一歩一歩成長していっている。

心に受けた傷は消えなくとも、人と触れ合うことで目立たなくなっていくのだと、Pの姿勢から学んだという彼の言葉はこのうえなく嬉しかった。
私が麗くんにしてあげられることは限られているけれども、彼が歩んでいくのを支えていきたいし、見守っていきたい。
人を信じれなくなった麗くんが、もう一度信じてみたいといってくれたのだから、私は麗くんと真摯に向き合っていきたい。

麗くんがアイドルをするなかで、麗くんが色々な表情を見せてくれるようになった。恥じらいの表情や、年相応の少年の表情、役になりきった高圧的な表情や意思の強い表情、天使のような笑顔。彼の魅力を引き出せるようなプロデュースをできていると思うとこのうえない幸せである。
アイドルを始めた当初と比べるといまの麗くんは少し柔らかい雰囲気だ。他のユニットのアイドル達とも交流をして、同年代と交流することが少ないのか、High×Jokerと話す麗くんはとても新鮮でかわいらしい。
そんな姿をみているなかで、喜びもあれば、少し切なくなるときもある。

心に傷を負って、人を信じれなくなって、ヴァイオリニストをやめた麗くんだけれども、音楽が好きである気持ちは変わっていない。
麗くんはこのままアイドルを続けるのだろうか。そんな未来を考えたとき、私はどうしてもその姿を想像することができなかった。

成長しても、歳を重ねてもアイドルとしての姿を思い描ける子達はたくさんいる。
でも、麗くんは、アイドルとしてではなく、もう一度ヴァイオリニストの道を歩むような気がしてしまう。どこか摑みどころのない都築さんも、突然いなくなってしまいそうだ。
彼らの才能は国内には収まらず、世界で通用するレベルであるから、いつか手が届かないところへいってしまうのではないか。

そう考えると、麗くんが自分の進みたい道を歩む未来のはずなのに担当プロデューサーの私は涙がとまらない。

他のプロデューサーは、担当アイドルとどこまでも走っていくのだろう。けれど、私たちの歩む道には終着地点があって、そこからは別々に歩むのかもしれない。
いつか私がいなくても、都築さんがいなくても強く生きていけるという姿は、麗くんにとっても理想だろうに、いつか旅立ってしまうのが切なくて、いつかくるその日を思うと涙を流している私P。

麗くんが、どこか遠くで活動することになっても、お行儀のよい麗くんのことだから季節の変わり目には手紙を送ってくれそうである。そんな麗くんからのエアメールを眺めて微笑みながら、心のどこかに今まで一緒に歩んできた麗くんが遠くにいってしまった寂しさをおぼえながらも、彼の体の健康と幸せを願っていると事務所のインターホンがなり、今日の来客のよていはなかったはず…とドアをあけると、そこには背が伸びてすこし大人びた麗くんがすこし照れ臭そうに微笑んでいて喜びの涙を流したい。

おわり
#アイドルマスター #SideM

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