Dear Evan Hansen.

前日に仕事で泣きじゃくってまぶたが開かない程はれた日、大事な会議が終わった後仕事をしていて涙が出てきてしまい、これ以上働けないと思って休みをとった。

体調もあまり良くなかったから家で寝ていても良かったけど、どうしようもない衝動に駆られて"Dear Evan Hansen"を観に行こうと決意した。上映している映画館は限られていて、家から一番近いのは、トラウマがあって一生二度と行くものかと近寄らないようにしていた映画館だった。

「10年以上経ったし、同じ映画館でもまだ行けそうな別館だからきっと大丈夫」と思い、チケットを買いに行ったらなんと上演しているのは一番近寄りたくなかったトラウマの深い方の館だった。

でもここで引き返せない。これが苦い思い出を克服するようにミュージカルがくれたチャンスなのかもしれないと思い、チケットを買いに行った。

幸いこのご時世、チケットも券売機で購入するようになっていて、人と触れ合うことはあまりなかった。だけどどうしても喉が渇いたので、2時間耐えられる自信がなくてコーヒーを買った。店員さんは感じの良い人だった。

もしかしたら行けばもっと色々思い出して泣くかもしれないという不安を抱えながら、それでも館内を開場まで普通に歩き回って過ごした。確かに色々思い出しはしたけれど、別にそれで涙は出てこなかった。それよりも今の仕事の状況の方が何故だか分からないけど涙が出る。

もぎりの人も、感じの良い人で、中は懐かしい感じがした。一人で映画に来るのも久しぶりだったので、すごい解放感がした。

Dear Evan Hansen. ブロードウェイミュージカルの映画化。トニー賞を授賞しても、実はあまり興味のなかった作品だった。でも楽曲は素晴らしくて、"Waving Through A Window" "You Will Be Found" "Sincerely, Me"、特に"Waving Through A Window"はここの所エンドレスリピートだった。ポスターを見てグレーテストショーマンと同じ作曲家と気づく。音楽を聴くと、確かに同じ作曲家だと分かる。刺さるような所が私は好きだ。

"Waving Through A Window"がOPだとは思わなかった。最初から私の中でクライマックスだったけど、音楽はどれも素晴らしくて、主役もB'wayのあのBen Plattが演じていて、歌がどのキャストも素晴らしかった。特に良い音質で聞こえる映画館で観たから、余計にそうだったのかもしれない。

途中で何回か今の自分に引っ掛かって涙出てきたけど、どこの場面だったか覚えていない。だけど、字幕で「匿名の人たち」と出てきたあの曲は、私も当てはまるので泣けてきた覚えがある。言わなければばれないけれど、隠すのが上手いだけだ。本当は、助けて欲しい。そんな人が私より辛い人がきっとたくさんいる。

私の好きなダンスはあまりないのに、物凄い満足感のある、また観たいと思う後ろ髪を引かれる感じがあった。パンフレットを買った。違う店員さんも皆感じの良い人たちばかりだった。誰も私のことを知らなかったし、場所に対する嫌な思い出は時間が結構解決してくれていたようだった。

本当はカフェでパンフレットをゆっくり読んでいきたい位後味をじっくり味わっていたかったけれど、やっぱり体調が良くなくなってきたのを感じたので少しぶらついてから帰った。

帰る頃にはまぶたの腫れも引いてきて、何でこんなに泣いたのか、少し分かった。悔しかった。私はプライドが高くて、譲れないもので誰にも負けたくなかった。どうしようもなく私はよく泣く。それももう仕方がないと最近思った。うまく付き合っていくしかない。でもそれがあるからきっと今の職が成り立っているのだと思う。正直今はもう何も考えたくない。でも分かったのは、こうゆう激しい悔しさがあって、"Waving Through A Window"のようなものができるようになっていくのだ、ということだった。研究しよう。


―ということで手法をちょっと変えてエッセイ風に書いてみました。

Dear Evan Hansen、途中動画がバズるっていうのはPROMと同じだなと思いましたが、とことん近年のミュージカルだなと思いました。映画版の音楽はブロードウェイ版と少しアレンジとかも違うようでしたが、勿論どちらも素晴らしいと思いました。舞台版が見れないことが悔やまれます。歌は本当に引き込まれるような感じでした。音響設備のせいもあったんでしょうか。

病気であることを隠して生きていること、きっと世の中たくさんそんな人がいるでしょう。普通に生活ができるから言わなければ誰も気づかない。だけど、絶対にどこかで影響は出ている筈です。だけど苦しさを出したら、ばれたら偏見の目が今度はついてくるのではないか、何だか見ていてそんな気持ちがダイレクトに入ってきました。

"Waving Through A Window"はとにかく刺さります。個人的には。叫んでるのが伝わってくるように感じます。不思議と、帰りにこれを聞きながら人の多い所を歩いたら「今のどうしようもない状態でもいいのかもしれない」と思いました。そんな心境に合う曲。オススメです。

Dear Evan Hansen、あまりダンスがないからミュージカル好きでない方にもオススメしやすい?でしょうか。音楽も素晴らしいから、是非時間があったら一度観て頂きたいと思います。



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