例のツイートについて

このツイートについては割と何も考えずに書いたので、当然ながら1000文字程度で完全に述べる必要がある。

JPEGノイズ仮説というものを提唱したい。
140文字の限界を知らなければ、Twitterでは議論が進まないというものだ。

道路上で殺人事件が起き、裁判をすることになった。
しかし、裁判所はなんと、140kB以内のJPEG画像しか受け取ってくれない。

検察官は現場のJPEG画像を裁判所に提出する。当然、JPEGノイズが大量に発生した画像を提出することになる。そして、現場写真撮影に立ち会った検察官は、その画像を、その意図にしか見えない。画像のJPEGノイズは、検察官の視覚野が勝手に切り取るため、検察官にとってそのJPEGは完全な証拠だ。

だが、弁護士はそのJPEG画像を見て、幽霊の顔がいることを見出した。JPEGノイズが顔に見えてしまったのだ。そして運の悪いことに、被害者は亡くなった妻を顧みず、死んですぐに妻の生前から浮気していた愛人と結婚してしまっていた。点と点が、繋がってしまった。弁護士は、妻の幽霊による呪殺説を主張しはじめた。

そのあとはもはやカオスだ。検察官と弁護士は様々な言説を言い合ったが、要約すれば「幽霊は写っている」「写っていない」だけ。ようやく検察官がその顔を木の模様であると議論に終止符を打つが、弁護士にとって無罪を主張した手前後戻りはできない。また別のJPEGノイズを持ち出し、幽霊論争を繰り広げる。

Twitterでも同様のことが起きる。140文字でパーフェクトコミュニケーションを取ることは不可能であるし、仮に無限文字であってもできっこない。日本語によってノイズが発生したり、あるいはエンコーダ(つまり自分の言語野)の性能が悪かったりして、こんなノイズが発生するのだ。
私が上記ツイートで念頭に置いたのは雑誌上での論争だ。それは1万文字どうしのバトルになってくるし、そうなれば争点が明らかになる。

ここからはTwitterで述べる暇がなかったことであるが、140文字で不毛な論争をするにはどうすればいいのかということだ。
それは互いに「140文字でパーフェクトコミュニケーションを取ることは不可能」という前提を持つことだ。
自分が読んだ意図と、相手が発した意図は、たいていわずかに(たまに大きく)違う。この命題を信じ込むだけで、議論は円滑化するのではないかと。

と、ここまで考えたところで、「この仮説を活用するとしても、S氏はフォロワーと突っかかってくる連中全員にこの命題をまず言い聞かせないといけないのか・・・」と絶望感に襲われた。
その絶望感が有機物で出来たエンコーダである私の言語野を狂わせ、かく言うJPEGノイズが発生したのである。

すまんな。

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