見出し画像

テイクアウト吟行④ 蒼々として(出町柳)

文・写真・短歌 池田明日香
(写真はお店の許可をいただいて撮影・掲載しています)

音声だけ配信されている授業を聴きながら散歩するのが好きで、今日は70分くらいの講義を散歩のお供にする。

今日はシステムの二面性の話だ。好きな話題なのでにやけてしまう。マスクで口元が隠されているからにやけても大丈夫。

UberEatsの黒いリュックを背負った自転車が颯爽と私を追い越していく。最近気になるのはUberEatsの二面性だ。利用者は自宅で外食を楽しめるため感染リスクを下げることができるが、逆に配達員の感染リスクは上がる。社会構造だ……と思いながら賀茂大橋を渡る。

川端通を南に少し下ると、急に細い下り坂がある。何軒か背の低い建物が連なっており、そのうちの一つがカフェ「蒼々として」だ。
実はカフェ好きの後輩におすすめされて以前来たことがあったのだが、日曜日ということもあり満席で入れなかったので、以降いつ行こうかとずっと狙っていたカフェだった。

画像1

ガラス張りの扉を開けてお店に入ると、暗めの照明と高い天井に落ち着く。ここで読書する休日は最高だろうな、と思いながらテイクアウトのランチボックスを受け取る。

鴨川の河川敷に降りてふらふらと歩き、デルタ近くの石垣に座る。

画像2

美しい、鴨川ピクニック。
のつもりだったが、重すぎる雲と鴨川警察・鳶が怖くて帰宅。家でゆっくり食べることにする。
案の定、帰宅直後に雨が降り出した。雨を避ける運は強い。


まずはサンドウィッチを食べる。さっぱりとしたツナとシャキシャキした玉ねぎが相性抜群だ。パンも柔らかくて美味しい。自家製のツナってすごい。ツナって作れるのか。すごいな。
ボックスに「オレンジのサラダ」と書いてあったのを見てからわくわくしていたサラダを食べる。オレンジやリンゴなどフルーツが入ったサラダが好きなのだが、失敗するのが怖くて家で作ったことがないので、こうやって食べられるのが嬉しい。ドレッシングがいい仕事してるなあ〜と思いながら食べる。美味しい。
そして何やら得体の知れぬ黒いつぶつぶを口に入れる。なんだこれは、食べたことのない味。ちょっと豆っぽい舌触りで、噛んでいくとどんどん美味しくなる。ボックスに「レンズ豆のサラダ」とある。小さいから昔の人が虫眼鏡で選別してたからレンズ豆なのかな、と思いきや、調べてみるとレンズ豆の形に似ているから凸レンズと言われるようになったらしい。逆だった。ひとつ賢くなった。
そしてランチボックスには珍しくスープがついている。まだ温かいジャガイモのスープは、シンプルながらも濃厚でとても美味しかった。

Uberでマクドに頼る私にはたどり着けない自家製ツナだ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?