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テイクアウト吟行⑥ 山猫軒(北野白梅町)

文・写真・短歌 池田明日香
(写真はお店の許可をいただいて撮影・掲載しています)

カーテンを開けると、5月なのに当たり前のように夏のような日差しが振り込んでいる。一昨日母から送られてきたシースルーのロングカーディガンをようやく着れる日が来たぞ、とわくわくする。
外出する機会が減り、友人と会う機会など全くないからおしゃれする気など起きず、ここ2ヶ月新しい服を買っていない。そんな中送られてきた可愛らしい空色のドット柄のロングカーディガンを羽織って自転車を漕ぐ。

立命館大学方面へと自転車を漕ぐ。この辺に来るのは一年前に大学の課題で堂本印象美術館を訪れて以来だ。ド派手なその美術館は、他の美術館がそうであるように閉館中のようだ。日差しを全て跳ね返す真っ白な壁面が物悲しい。
堂本印象美術館の前を通り過ぎ、思わず唸るような上り坂を超えると、目的地「山猫軒」がある。

蔦の生えたお洒落な建物の階段を下ると、そこにはレトロチックで落ち着いた内装の喫茶店が静かに佇んでいる。

ワッフルを焼いてくださっている間、明るいお姉さんが世間話をしてくれて明るい気持ちになる。明るい人と話すとパワーをもらう。
テラス席の緑が素敵で、今度来たときはテラス席で食べようと思いながらお店を出る。

わくわくしながら箱を開けたら、見た目からしてふわふわなワッフルに美味しそうな目玉焼き、鮮やかな緑と長いウインナーという、欲しいものがぎゅっと詰まっている。

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まずはウインナーをがぶり。身がぎゅっと締まっていて美味しい。
次に人参ラベを食べる。甘い!実は人参はそんなに好きではないのだが、このラベは人参の甘さが引き出されていて美味しい……もっと食べたくなる。
目玉焼きもしっかり火が通っていて食べやすい。
そしてそして、最後にとっていたワッフルに手をつける。カップに入っているメープルをたっぷりとかけ、一口頬張る。ほんのりとした甘さが口の中に広がる。ふわふわな生地にとろっとしたメープルがたまらない。口に残るような甘さではなく、あくまでも「サラダワッフル」としてのちょうどいい甘さを保つワッフルに感動する。

好き嫌いの多い私にとって、中身全てが好きなものというのはとてもテンションが上がった。たっぷりのメープルは幸せの象徴である。

幸せは一つの箱に詰められる 新しい服で迎えに行くよ

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