言葉の掃き溜め【地元の事情】

横浜磯子 寂れた街
生まれてからそこで育ち
小さい頃の貴重な時間
特異な街 歪んだ価値観
反抗期に一度転落
立ち尽くす 閉じた玄関
あの子は既に毎日家出
あいつはトイレでキメてる
少し前なら仲良くサッカー
遊んでたのに飛んだ仲間
最初はみんな和気藹々
そのうちに気づく貧富の差
最初はほんの少しの誤差
大人になったら天地の差
連絡も途絶えた旧友
今お前らはどこにいる

横浜磯子 俺の地元
好きでも嫌いでもない所
横浜磯子 俺の地元
風吹く港 連なる工場

森の中の青テント
ホームレスのコミュニティ
壁代わりに積んだ粗大ゴミ
不法投棄の終着駅
そういえばあいつは無期懲役
中学の頃から少年院
別のあいつは有名人
昔はCMも出てたらしい
隠してる過去 それも妥当
気持ちは分かるし納得
タバコよりもほろ苦い
俺らの青春の香り
先生に世話になってた奴
今じゃ先生じゃなくて警察
まるで毎日が留置所暮らし
未だにずっとやってるらしい

土砂降りの夜 交通事故死
不審な点は全て揉み消し
夜中に泥酔で道路に寝そべり
タクシーが突っ込んだらしい
適当な事情聴取 まるでジョーク
そのまま作った調書で終わり
運転手もグル 県警もグル
消されたあいつ 10年経つ
あの子は16歳で出産
最終学歴は中学
今ではパートで頑張るシンママ
気づけば娘は中学入学
昔からかなりヤバかった
今ではすでに立派なママ
まるでヤンキーのドラマ
人気も出ないような漫画

そんな俺も横浜磯子
寂れた街 そこが地元
口よりも手が出る子供
喧嘩が好きな男の子
灰色のアディダスのキャップ
いつも決まって深めに被る
その頃に出会った音楽
いつからか自分でもノートに書く
シャブとかシンナー興味無し
授業も全く興味無し
白紙のノート 言葉で満たし
鏡の前でラップをかましたり
本気でやってあの日に終えた
あれが俺の全てだと思えた
あの日の自分が今の時分
見たら一体どんな気分
1杯の酒とコーヒー
今はそれくらいがちょうどいい

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