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スウェー動作と股関節に関わる大腿直筋の付着部を考える

歩いている際、走っている際、片脚で立っている際。
またゴルフのスイングなどのスポーツでの動き。
骨盤部が側方に流れてしまうスウェー。偽性トレンデレンブルグ徴候とも言える腰が側方に流れるような状態で側方トランスレーションとも呼ばれたりします。
トレンデレンブルグ徴候は腰部の神経の影響とされます。)

そのような腰が横に流れる問題に対して、壁を意識して!中殿筋を働かせて!などと技術的な指導によってはなかなか改善しないことが多いです。

動作における腰のスウェー、側方トランズレーションが起こる要因を考える必要があるでしょう。

骨盤部は腰部骨盤股関節複合体(LPHC)と表され、腰椎、骨盤、股関節、それぞれ個別では活動できず、相互に関わりながら活動を担います。
特にゴルフ、野球のスイングなどでは側方の前額面上の動きだけではなくLPHCの複合的回旋運動が伴います。ランニングなども回旋が加わるために影響を受けます。
そのLPHCのスムーズな動作トランジションが行われないとスイングなどの動作は妨げられます。

側方トランズレーションはそのLPHCにおける筋の関係性や股関節の軟部組織の影響、その他様々な要因で引き起こされるとされています。

その腰椎、骨盤、股関節いずれかの問題が相互に関わり起こる現象なので、スウェーの状態だからコレをやりましょう。
という一纏めにしたような改善策は一過性となります。
そのため要因はこれ!と限定することは難しいですが、こちらではスポーツに関わる要因を過去のケースからLPHCの回旋可動に関わる股関節の一例を挙げます。
(その他、外側の絶対的な安定性、腹斜部など胸郭の回旋の問題なども挙げられます。)

股関節であれば大腿直筋付近の筋の関係性は影響を及ぼす要因の一つです。
大腿直筋の付着
大腿直筋は下前腸骨棘に付着するDirect headと股関節を巻き込むように付着するIndirect headということなる起始部の付着があります。

https://twitter.com/ErekLatzkaMD/status/1744829444378747034


Direct headはそのまま大腿直筋の筋線維の延長上で結合組織を経て付着しますが、Indirect headは筋線維から分枝して線維を経て関節唇の方の寛骨臼上縁に付着していきます。
Indirect headの方は腸骨大腿靭帯と近接し、腸骨筋の大腿骨に近い部分と結合組織を介して近接しています。
横断面ではDirect head、Indirect headを最近位にして外側に中殿筋に大腿筋膜張筋、内側に腱を介し腸腰筋、その前方には縫工筋が走行します。
過活動により直に負荷がかかるためにDirect headは股関節屈曲に対し短縮方向へを起こしやすい部位です。
Indirect headは関わる線維が多いこともあり張力の維持が難しい部位になります。
線維の滑走性が妨げられると股関節の求心化を阻害します。

股関節は自由度の高い関節ですので、求心化のために関わる動作の初動の筋活動の収縮が強くしっかり機能していない状態だと近位の屈筋群の筋活動に影響を及ぼします。そのため股関節の屈曲活動が初動で起こるとLPHCは短縮方向へ制限されるようにスウェー動作=側方トランズレーションをしてしまいます。

LPHCの側方移動に伴う前額面上の不安定性はスポーツにおいて頻出するパターンです。


アスリートであればその現象が持続的に続く場合は股関節にも反復ストレスが継続的にかかりやすく、慢性化すると動作パターンとして側方トランズレーションの活動が競技動作にも影響し違和感として訴える可能性も出てきます。

スウェー動作を無理に動作で修正しようとせずに、LPHCの活動にどのような変化やエラーが起こっているか?確認し、しっかりとコンディショニングを。

https://note.com/drtko/n/n55c0a9aae97c

https://note.com/drtko/n/nc9a35c83c103

S
onographic Overview of Usual and Unusual Disorders of the Rectus Femoris Tendon Origins Antoine Moraux et al. J Ultrasound Med 2018 Jun;37(6):1543-1553.




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