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脚の長さが違う=腰痛になる。を考える。

巷の治療院で寝て脚の長さを確認され

「右脚の長さが左脚よりも短いですねー。それが原因で腰が痛くなっていますね」

なんて言われたという話を多々聞きます。

さてこの話は本当でしょうか?

脚長差は英語でlimb length discrepancyといわれます。

このキーワードで検索をかけると数多くの文献がヒットします。

脚長差と腰痛の関係に言及する文献も多々出てきます。

脚長差は機能的な脚長差と解剖学的な脚長差を明白に分けなければなりません。

当然レントゲンなどによって大腿骨、脛骨の長さが解剖学的に左右差が大きく出ている。

そんな解剖学的な脚長差がでている場合は腰にかかるストレスに影響を与えます。

1cmの違いで骨盤へかかる力の分散が異なると分献上されています。

また2cm以上異なる場合は機能的な影響も含めて手術が勧められるケースもあります。

骨盤帯は固有感覚受容器の密集地帯ですので、そのかかるストレスの変化で腰の感覚=腰の違和感、痛みに影響を与える可能性は考えられます。

脚長差と腰痛の文献で妥当性のあるものを見ると大方この解剖学的な脚長差との関連性のものが多いです。


しかし実際に治療院などで行われているのは機能的な脚長差をみています。

大体が寝た状態で脚の長さを見て、膝を曲げてみてというようなカイロプラクティックの脚長差判断などで見ることが多いでしょう。

可動的なものをみていることになります。組織の粘性からの抵抗、組織の弾性からの抵抗、自己収縮による抵抗などにより脚長差に影響がでてきてしまいます。

そういった機能的な脚長差を見る際の問題点としてその信頼性、妥当性の問題あげられます。

検者間相関もかなりのバラツキがあります。検査する人の主観に大きく委ねられる曖昧なチェック方法であることは否めません。

その為、機能的な脚長差がでていると言われても実際にそうなのかは明確ではないので解剖学的な脚長差と同様に骨盤への力の分散が変化するのか?というのは言い切れないかと思います。=簡易に機能的な脚長差を見て、「脚の長さが違うから腰痛になりますね」とはならないでしょう。

あくまで術者の主観的な見方の方法の一つで見るものでしょうが、症状の鑑別、把握となるのは困難でしょう。


腰痛があって脚の長さが違うと言われても解剖学的な脚長差でなければ「ふーん」という形で聞き流すレベルでしょうか。

脚の長さの違いを煽って不必要な介入を受ける必要なないでしょう。


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