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ストレッチはパフォーマンスを低下させるか?スタティックを考える

運動前のスタティックストレッチがパフォーマンスを低下させるのは近年多々言われています。
69%の論文がストレッチによりパフォーマンスの低下を示唆しています。
スタティックストレッチのメカニズムを考慮すると筋の出力の低下というのは理解しうる効果かと思います。

本当にパフォーマンスを低下させるといわれている要因の一つが
一つの大きな要因はストレッチの時間です。
ネガティブな結果が出ている研究では30秒から1分以上長い時間をかけて伸ばしています。

時間と長さとスタティックストレッチ
スタティックストレッチに関わる神経の受容器(筋紡錘とゴルジ腱)が重要です。
錘内筋線維の筋紡錘は太い核袋線維(Nuclear bag fiber)と細い核鎖線維(Nuclear chain fiber)の二つがあります

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核袋線維は収縮伸張のレート、スピードを感知し、核鎖線維は長さを感知しています。
つまり伸ばしっぱなしで長さのレートが変わっていないと中枢では伸びた状態で認識して収縮の維持が難しくなります。

当然運動する際には伸びる能力よりも筋を収縮させる方が重要になります。

受容器の詳細

A, 筋紡錘の求心性支配
(1) Ia群線維 主として核袋線維、一部が核鎖線維の中央部にあり、伸張反射に関係する。
動的反応:速い伸展に反応する。
(2) Ⅱ群線維
核鎖線維の端にあり、屈曲反射に関係する。静的反応:筋の長さに反応する
B,筋紡錘の遠心性支配
γ運動線維  錘内筋線維(核袋線維と細い核鎖線維)
ゴルジ腱器官
筋線維の束と腱の移行部にあり、錘外筋線維に対して直列配置されていおる張力受容器であり、腱の伸長によりα運動ニューロンを抑制する。閾値は高い。
Ⅰb群線維:ゴルジ腱器官の感覚線維はⅠb群線維。
・外力での筋の伸展 閾値(5~200g)
・筋収縮による張力 閾値(0.3~3g)
伸長によってゴルジ腱器官が興奮すると求心性入力が脊髄に伝達される(求心性神経支配)
筋及び共同筋の抑制、拮抗筋に筋収縮が起こる。

世界の著名なトレーナーの多くの方々はスタティックストレッチのネガティブな要素を考慮してこれらの問題を避けるためにウォーミングアップの一環としてスタティックストレッチとダイナミックストレッチを組み合わせて行うとポジティブな結果が得られると推奨しています。

結合組織の伸張を作る為にはエキセントリックの収縮時、つまり体が伸びて働く際やジャンプ、ホップなどの弾むような動きにより伸張が加わります。
上記のコンビネーションに加え以上の要素を考慮して行うのがいいかと思います。

競技をする上で、運動をする上で柔軟性があるという事はポジティブな要因の一つであるのは明らかです。
ストレッチによる効果、ストレッチをする目的、意図をはっきりさせて体の形状記憶を維持するのは重要かと思います。


http://journals.lww.com/cjsportsmed/Abstract/2004/09000/Does_Stretching_Improve_Performance___A_Systematic.4.aspx

http://link.springer.com/article/10.1007/s00421-011-1879-2

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21659901

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/18768355

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