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肩甲骨回りが硬く感じてもグリグリ押してはダメ

このあたりの筋肉って主観的に硬いと感じでグリグリしたくなったり、マッサージでゴリゴリ押されたりする筋肉ですよね?

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こちらの記事でも紹介しましたが、

主観的に硬いと感じても、硬く感じる「要因」があるのでゴリゴリしてはダメですよ。と訴えさせていただきました。

筋のトーン、頸部との関係性に加えて今回は「硬く感じる」部位の別な観点からの考察を私が習ったテクニックなどからお伝えします。

この硬く感じる部位

特に菱形筋、中部下部僧帽筋、胸椎部の起立筋の部分になるでしょう。

菱形筋にしても中部下部僧帽筋にしても所謂Upper Cross syndromeといわれるアンバランスではポジションとして伸張位になる筋ですね。

つまり筋が発揮できにくい状態(あえて弱化とはいいません。正確には筋紡錘の感度の低下だと思うので)になっている筋です。

前回の肩甲骨ネタでもお伝えしたようにこのような状態では筋肉が硬いと「誤認」しやすい部位です。

良くこのように

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セルフリリースの方法が紹介されているので行っている人も多いかもしれません。

確かにトリガーポイントとなる部分ですので何か刺激を入れたくなる部位でもあります。

トリガーポイントは「過敏化した侵害受容器」と近年表現されています。

つまり感覚が過敏化している部分で痛みや違和感として感じてしまう部位です。

このような過敏化した部位に対してボールを当てる、振動ガンを当てるなどの機械的な感覚を当てると過敏化し痛みや違和感を感じている部分が一過性に改善される事は期待できます。

しかし当然「感覚が変化」しているので、あえて表現すると「狂った」感覚に対する刺激は時に過剰な刺激を求めてしまいます。

それがゴリゴリ、グリグリと過剰になると組織の損傷が大きくなり逆効果となってしまいます。


さて今回の観点ですが、

この菱形筋、中部下部僧帽筋には間に神経、脈管系が走行しています。

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筋も表層に僧帽筋、深部に菱形筋、胸椎近位に起立筋という形でミルフィーユ状に構成され、僧帽筋までは皮膚から1㎝ほど、菱形筋までは1.5㎝ほどの深さに位置にし、その間に網目状組織構造帯に覆われた神経などが走行しています。

伸びた状態の筋で伸び縮みの刺激が低下すると、縮んだ筋と同じように神経の周りの粘性を上げ、神経の滑走、感覚を変化させると考えられます。

そのような状態では関わる筋、組織の感覚が変化

つまり「狂った」感覚

として痛みや違和感として訴えることとなります。

また同様に筋の活動も低下してしまうという報告もあり、肩甲骨という筋で支えられる部位のメカニクスを変化させてしまいます。

中部下部僧帽筋という肩甲骨の回旋運動において重要な筋のメカニクスが変化してしまうと、いわゆる前述のUpper Cross Syndromeの状態となります。

Upper Cross syndrome自体が痛みや違和感として繋がるかは疑問視されていますが、筋のメカニクスの変化は痛みや違和感の感覚変化には関連性が大きいでしょう。


この場合にどうするか?

グリグリ、ゴリゴリはNG。

軽く機械刺激はOK。

でも一過性。

私が習ったテクニックの中では神経の滑走を促す伸張を加えること。

1,姿勢を正し頸部、胸部をまっすぐに→

頸部を屈曲→次に頸部を屈曲したまま胸部を屈曲

これを繰り返す。

2,1に加えて片方ずつ腕を対側に向けて斜め上方に伸ばす。


こんな感じでしょうか?

セルフでもある程度可能かと思います。


とにかく毎度毎度訴えたいのは、感覚として変化しているだけの部位に過度な刺激を加えないで

ということです。

その要因、理由に着目してください。


Dorsal Scapular Nerve Block Kumiko Hida Nerve Blockade and Interventional Therapy pp 101-103

Spinal Accessory Nerve Palsy:Associated Signs and Symptoms MARTIN J. KELLEY february 2008 | volume 38 | number 2 | journal of orthopaedic & sports physical therapy

Accessory nerve latency to the middle and lower trapezius R F Green, M Brien Arch Phys Med Rehabil
. 1985 Jan;66(1):23-4.

Appropriate Depth of Needle Insertion During Rhomboid Major Trigger Point Block Seung Jun Seol February 2014Annals of Rehabilitation Medicine 38(1):72-6


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