アスリートの腰痛改善に大事なこと その1

慢性腰痛、また時にぎっくり腰のような急性の腰痛は競技によってアスリートに非常に多い症状の一つです。
最近の傾向として気になるのが、先日Twitterでも話題になりましたが、2019年の腰痛ガイドラインというのが出されたようです。
海外の文献をまとめ非常に良くまとまったガイドラインで素晴らしいのですが、少々バイアスがかかったイメージで鍼の効果がネガティブだったりヨガが推奨されたりと内部事情を知る私には政治的な要素が見え隠れするという印象です。
徒手療法が術者における差があるという部分もあり未確定という形になっているようです。

そして最近のアスリートの腰痛に対して気になる日本の流れが海外では否定派も多く出ているジョイントバイジョイントに基づいたローカル筋とグローバル筋の体幹部におおけるモーターコントロール理論が腰痛の鍵という事になっている傾向です。

このあたりの疑問とその他の要因なども含めて考察していきます。

モーターコントロール理論
理学療法的なモーターコントロール理論はAnne Shumway-CookならびにMajorie H.Woollacottの「モーターコントロール」ではないでしょうか?
そこではモーターコントロールを「運動の幹的メカニズムを統制もしくは指揮する能力であり、運動するために必要なさまざまな機構を調整する能力である」としています。
運動を遂行する上でそこに関わる様々な感覚情報を加味し、どのように統合し運動を遂行していくか?簡易に表現するとこのような感じになりますでしょうか?

ジョイントバイジョイントセオリー
私も実は10年以上前アメリカにいた時にFMSに代表されるシステムを勉強し当時感銘を受けた画期的なシステムでした。
Gray Cook(グレイクック)とストレングスコーチのMike Boyle(マイクボイル)によって考案され関節個々の役割を可動性と安定性に分け、相互に関節が関わっているというものです。それぞれの機能の低下によって、相互関節のの協同した働きの低下により機能不全や痛み、ケガのリスクを高め、機能的な動作の遂行が妨げられる。こちらも簡易に表現するとこのような感じになりますでしょうか?

そのジョイントバイジョイントに基づいたローカル筋とグローバル筋の体幹部におおけるモーターコントロール理論から腰痛を考察すると、安定筋であるローカル筋のLPHC(Lumbo-Pelvic-Hip Complex) (股関節は可動性とこのシステムではされていますが)の低下によって可動部のグローバル筋の牽引ストレスが向上し、腰部の筋、腱、筋膜、腱膜への局所の反復ストレスが向上し痛みに繋がるという形になるようです。
ローカル筋は関節受容を担いその位置覚などの受容変化がその部位に関連するグローバル筋の活動を変化させて過活動を伴い局所ストレスの向上に繋がるという流れでしょうか。

しかし、この理論。近年になって腰痛などの関係性に対して否定的な見解が多くなっているのが現実です。
システマティックレビューでもローカル筋の活動を活性してもグローバル筋の活動変化が伴わなかったり、ローカル筋のエクササイズとその他のエクササイズと比べても差異がなかったり、動作をみるという部分が検者間で曖昧だったりという部分や、根本的に痛みと直結しないという結果もでています。

考察では体幹部モーターコントロールのエラーによって感覚運動障害という形で固有感覚の伝達が狂ってしまう。その為に何かしら(網様体脊髄路の痛みの抑制???)の影響によって痛みとして感じてしまうのか。という形はあります。しかし局所の反復ストレスが向上この数値を超えたら痛めるというはっきりした研究はないようです。

腰痛がある人は胸腰筋膜が厚いという被験者比較とか、筋肉痛では筋のスティフネスが上がって硬くなっている前後比較とかあり、その人の正常値からの比較はある程度分かるかもしれませんが、絶対的な関係は明白ではありません。

またいくつかローカル筋の活動低下が動きのなかで脊柱起立筋のようなグローバル筋の活動を向上させたという研究などもありますが、明確な関係性はまだ分かっていないようです。

多裂筋、腹横筋などのローカル筋が重要ではないという訳でなく、多裂筋や腹横筋がアスリートのような毎日のように運動をするレベルで廃用を起こすことは考えられず、活動遅延により感覚受容の変化を起こすことは考えられますが、それが痛みに直結するかというと痛みの抑制性にも関わってくるのがはっきりとは言えない気がします。

それでは腰痛に対してどのように捉えたら良いのでしょう?

問題点

腰部の筋としてのローカル筋におけるスタビリティの要素は5%

これによって痛みとして感知するのは侵害受容でも痛みとして捉え感じるかは別

これを踏まえてなお腰痛はローカル筋の低下、弱化が原因とは言い切れません。

続きはその2から(ゆっくーーーり書いてます)

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24427425

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27128390

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27568883

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29112509

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30532718
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30967811


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