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たかが捻挫と侮るなかれ

スポーツ障害の中で頻出する怪我であり、最も軽視される怪我の筆頭格。
また再発率の高い怪我。

足首の捻挫

「ぐねった」
「捻った」

簡単に言われがちですが、
その足関節には、数多くの靭帯、腱、そのたの軟部組織、それに付帯する関節受容器が密集しています。

軽く捻っても何かしらの問題は起きるのは疑いがないでしょう。

足首の捻挫で問題となるのが
CAI Chronic ankle instability 慢性足首不安定症。
いわゆる捻挫はクセになるってやつです。

「緩んだ」状態で足首が不安定になりスポーツや日常生活の歩行などに影響を与えてしまいます。
かなりの高い確率でこのCAIというのが捻挫後に起こってしまうので厄介な奴です。
またCAIにより関節が不安定になりストレスが向上し関節症も助長してしまうともされています。

また捻挫後の起こることでよく知られていることが、筋の活動遅延が起こるということ。
特に腓骨筋に活動遅延が起こるとされています。
腓骨筋の活動遅延により足の接地時の安定性や、内側の筋との協調作用が乱れて動きのメカニクスを変化させてしまいます。

このようなことが起こらないために大事なこと。(完全な予防は難しいですが、可能な限り)

早期の状態把握と早期かつ適切なリハビリ

捻挫をした後はエコーなどで組織の状態を診てもらうのが賢明です。

エコーで見ると靭帯が損傷している場合も多いです。McKiernan 2017

捻った靭帯自体もそうですが、潜んでいるのが合併する傷害の見落とし。
筋、腱などの損傷や、内返し捻挫でよくある前距腓靭帯以外の細かな靭帯、距骨、支帯などの結合組織。

捻挫は治っても、いつまでも痛い、腫れるなどの症状では初期の段階の合併する損傷を見逃しているケースもあります。

長引かせないためには早めに把握。
これは重要です。


怪我の後の処置に関しては今までもいくつか記事を書いてまいりました。

https://note.com/drtko/n/n2a833d61d750

まずは本当に早期の数時間ではアイシングが良いかと思います。

その後、腫れがでてきたらまずは腫れを引かせるように処置をします。
機器などを使うのも良いでしょう。
ただ通常であれば簡易に行えるのが良いかと思います。

足首を動かせるレベルで圧をかけて筋収縮をさせ、循環を促進してやるのも捻挫の回復には効果的とは言われています。

固定をするか?機能的にサポートするか?は未だに議論があります。
組織的なとらえ方、機能的なとらえ方。経験則。
難しい問題ですが、私の専門の観点からは再構築フェーズに入るまである程度動きを抑え、その後すぐに関節運動、過重負荷をかけていくという形が良いと考えています。

現在推奨されているところでは受傷後72時間以内のタイミングで可動を作るリハビリを行うのが良いとされています。

タオルやエクササイズループなどを使用し可動を誘導させてやるように底屈、背屈、内旋外旋、内返し外返し、アルファベットを書くように動かす。
などの可動性のリハビリ。

エクササイズバンドなどを使用したアイソメトリック~荷重時でのエキセントリック。
固有感覚受容系。
バランス、開眼から閉眼。

突飛なリハビリではなく基本的なことをしっかり行うのが予後の状態を改善させてます。

一番いけないのは捻挫を軽視して、リハビリを行わず放置すること。

競技を続けるために、日常生活を快活に過ごすために。
しっかりと問題は把握とリハビリを。



The American Journal of Sports Medicine, January, 2004;32(1):251-261).
Federation of American Societies for Experimental Biology, November 2010 Sports Med, Nov 28, 2011
Epidemiology of Ankle Sprains and Chronic Ankle Instability J Athl Train. 2019 Jun; 54(6): 603–610.  2019 May 28
Evidence-based treatment for ankle injuries: a clinical perspective J Man Manip Ther. 2010 Mar; 18(1): 22–28.
Halabchi F, Hassabi M. Acute ankle sprain in athletes: Clinical aspects and algorithmic approach. World J Orthop 2020; 11(12): 534-558 [PMID: 33362991 DOI: 10.5312/wjo.v11.i12.534] 


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