ブーン系小説について①
皆さんは「ブーン系小説」をご存知でしょうか。
まずはこちらをご覧ください。
すんなり読めた方は大丈夫です。
これが「ブーン系小説」です。今から説明させていただく内容は、上記の読み方が分からなかった方を対象とします。
ブーン系小説とは、匿名掲示板2ちゃんねるのニュー速VIPを発祥とする創作形態です。掲示板に立てたスレッドにレスとして内容を投稿し、そこの住民に読んでもらっていました。
小説と銘打つだけあってテキストを主体としていますが、一般の小説と最も異なる点は、AA(アスキーアート)と呼ばれる顔文字をキャラクターとして用意し、そのAAの横にセリフを記載するところです。
(こちらの記事も一緒に見ていただくと、わかりやすいかも)
数多くの個性的なAAキャラクターや親しみやすい文章形態が匿名掲示板の特性とマッチし、一時期は大変人気を博していました。たぶん。
僕は15歳の頃から現在に至るまで10年以上、ブーン系小説を書き続けていました。
ちなみに上記は僕が17歳の誕生日を迎える前日に書いた作品「J( 'ー`)しカーチャンはお尻もイケるクチなようです」の一部を抜粋したものです。3レス目に「死ね」とレスがついてしまいましたが、まあそういう場所なので仕方ないです。
ブーン系小説は読みやすく書きやすい、最強の創作形態だと信じています。
とはいえ全く知らない方は最初読むのに戸惑うことも多いでしょう。
そこでnoteという場所をお借りし、ブーン系小説の読み方やルールについてお教えしたいと思います。
そのやり方ですが、僕が過去に書いた作品からテキストとして一部を抜粋し、幾つかのポイントに着目して説明する、という方法でいきます。
これを機会に、もっとブーン系小説の読者、そして作者が増えてくれればこれ以上の喜びはありません。
では早速、以下をご覧ください。
こちらは、自作品「( ^ω^)ブーンが親友を助けるために走るようです」の冒頭から抜粋しました。
気づいた方もいるかもしれませんが、殆どのブーン系小説のタイトルは「~~ようです」といった形になっています。理由について説明すると長いので、とりあえずそんなもんだと理解してください。近年は「ようです」付かないタイトルも増えてきたので。
さて、こちらは以下のポイントを説明いたします。
ポイント① 「――○○」
――(ダッシュ)を行頭に置くことで、場面転換や状況、時間を表します。ネットにおける二次創作小説、いわゆるSSの系譜を汲む表現ですね。特に地の文のない作品などで多用されます。
ポイント② ( ^ω^)
ブーン、別名内藤ホライゾン。
ブーン系小説の名称の由来でもあるAAキャラクター。
この顔文字すら知らない人は恐らくいないでしょう。語尾に「お」を付けることが特徴です。ブーン系小説においては、明るいデブといったキャラ付けが多くなされています。しかし他のキャラクターも同様ですが、ブーン系は非常に自由度が高く、どんなキャラクターにどんな性格や設定を割り当てても特に問題ありません。面白ければオールオッケー。
ブーンの語尾が「お」じゃなかろうが、デブじゃなかろうが許されます。ただ、それなら別のAAを割り当てたほうが早いのも事実ですが。
ポイント③ (´・ω・`)
ショボンというAAです。こちらも顔文字としてはポピュラーです。
キャラクターとしての設定などは、ブーンに比べるとハッキリと定まってはいません。特徴的な口調などもなく、男性キャラクターのひとりとして汎用的に使われている印象です。とある作品の影響で男色キャラとして扱われることも多かったですが、まだLGBTへの配慮などがあまりされていなかった時代のことなので……。
ポイント④ ('A`)
ドクオというAAです、こちらも大変有名でしょうね。
ある意味ブーン系小説における影の主役です。というのも、もしかするとブーン以上に登場頻度が多いキャラクターなんです。主人公としても脇役としても、殆どの作品に出てきます。
ドクオは卑屈、根暗で容姿に恵まれないといった特徴がありますが、かえってネット住人にはそのようなキャラクターの方が共感しやすいのでしょう。
ポイント⑤ ((( ^ω^))) ビクビクン!
ブーン系小説の敷居が低い理由の一つに、高い文章力が求められないということがあります。
例えばこのポイント⑤では、ブーンのAAを二重カッコで囲むことにより、体を震わす様子を表現しています。このようにわざわざ文章で描写せずとも、記号などでサッと表せるところが、ブーン系の利点ですね。
ポイント⑥ (;^ω^)
ブーン系小説においては、AAキャラクターの表情及び感情を記号によって表現します。
ここでは、ブーンの頬のあたりに;(セミコロン)を入れておりますが、こちらは冷や汗を流す様子を表しています。焦りや困惑の意味ですね。
他にも、以下の記号表現が存在します。
(#^ω^):怒り(#は青筋を表します)
(*^ω^):照れ、興奮(*は頬の紅潮を表します)
( ;ω;):泣く(目をセミコロンにすることで涙を流しているように見せています)
探せばもっとあるとは思いますが、まずはこの辺りだけ覚えておけば充分でしょう。
ポイント⑦ ( ^ω(` ) チュ……
ブーンとドクオの接吻を表す1行のアスキーアートです。
こちらも本来ならば数行の文章でもって描写する必要がありますが、そこはブーン系小説の便利なところ。AA同士を重ね合わせるだけでわずか1行で済んでしまいました。
さて、ブーン系小説の読み方について少しはご理解いただけたでしょうか。
今回はここまでといたします。次回以降も同様な形で説明させていただければと思います。では。
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