【過去記事】大学入学共通テスト2022概観

大学入試もセンター試験から生まれ変わり2年目となりました。
昨年度より落ち着いたところもありつつ、新たにチャレンジした傾向も見られます。

第1問 檜垣立哉『食べることの哲学』・藤原辰史『食べるとはどういうことか』

文章Ⅰは宮沢賢治「よだかの星」に対する文章。もちろん内容を知らなくても解けますが、前提知識としてあるかないかは読解にやや影響を与えそうです。
問1(ii)のような漢字の意味を問う問題は是非来年度以降も出してほしいです。漢字教育に重点を置いてきた日本の教育の矜持だと思います。
問2~問4はセンター試験同様の5択問題で、センター同様2択から絞るのが難しいと感じました。
問5、問6(ii)は文章全体を俯瞰して解く問題で、難易度とは別に時間が掛かる問題です。
個人的にセンターから続くこの表現の正誤問題は好きではありません。択一で選択肢を「比較」「相対」するような内容ではないからです。出さなくてよいと思っていますが、もし出すならば、①~⑤まで全て〇✖で答えさせるべきだと思っています。
文章Ⅱが単なる比較文章となってしまったことは仕方ない部分もありますが、やはり教材選定の時点で片方を底本(文章Ⅰ)としてその比較教材(文章Ⅱ)をもってきているわけで、入試としては文章Ⅱが読み物として軽く扱ってよいことは知っておかなければならないと感じます。

第2問 黒井千次「庭の男」

問1~問3はセンター試験同様の傾向。小説の題材が良く、根拠もセンター時より明確なのでかなり解きやすいと感じました。
逆に問4の2問は表現に関する問題で、第1問でも述べたように僕が好きではない問題です(笑)
なんかこれで時間奪おうとするの、ズルいですよね。
はい、僕が苦手なだけです。
問5は「象徴」のような問題。(i)(ii)がよい足場掛けからのまとめ問題になっていて感動しました。やや繰り返しの問題にも見えますが、これくらいの難易度で充分だと思います。

第3問 『増鏡』『とはずがたり』

問2・問3は単語の意味や会話の主体、すぐ近くのところの文脈を取っていく解法で、センター同様2択から絞るところで難易度をあげているなっていう感じです。
そして、なんと文章Ⅱの内容読解はゼロ。問4の(i)(ii)で問うてはいますが、文章Ⅱ自体を必死に読む必要はないです。このあたりは文章Ⅱに傍線部がない時点で気づいて割り切りたいですね。
結構骨のある問題ですが、実は(iii)はむちゃシンプルで、話し合いの文章の文脈を取るだけなのでラッキー問題。
かなり共通テストの新傾向に寄った古文になりました。問1~問3を解くためにやっぱり文法・単語大事だよねって話で、問4はむしろ読解力に近いので現代文で鍛えましょうという感想です。

第4問 欧陽脩『欧陽文忠公集』『韓非子』

三年連続漢詩の出題となりました。
漢詩は句法でも出題しやすいので今後も要チェックですね。
問2の書き下し文問題は例年よりもやや解きやすいように感じました。問3~問5は、句法や詩の形式など知識ベースで解いていく問題で、やはり漢文は基本知識をしっかりトレーニングできているかが問われるように感じます。
問6,7は本文の内容を問われています。個人的には漢文はこの設問を先に見てから本文にあたると、内容読解が効率的だと思います。
僕はこの立場になってからやっていないのですが、「漢文を先に解く」はやはり一定の納得解な気がしています。



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