長門先生の記事からの学び

総合内科専門医試験の出題傾向を領域別に整理!
続・総合内科専門医試験の出題傾向を領域別に整理!
得点率を1割上げるためのエッセンス2023年度版
からのまとめ

消化管

内視鏡所見が写真で提示されて、診断から治療(多くは内視鏡治療の適応の判断を問う問題)までを問う連問が比較的多い

胃食道逆流症(GERD;誘発因子や食道外症状、内視鏡的重症度は自覚症状と相関しないことは頻出、昨年〔2022年〕は非びらん性胃食道逆流症〔NERD〕の原因、診断、治療などに関する出題があったため2023年も要注意)

好酸球性食道炎

(診断基準や治療について、好酸球性胃腸炎との違いを確認しながら押さえておく)
若年〜中年男性に多い

好酸球性食道炎

好酸球性胃腸炎

40 歳頃を発症ピークとし男女共にほぼ同様に発症するが,喘息などのアレルギー歴を有する例が多い.主訴は腹痛と下痢であることが多く,末梢血白血球の増加や好酸球の増加を 80%以上の例でみとめる.

食道静脈瘤(内視鏡写真が供覧されて治療を選択する問題が出題)

消化性潰瘍(リスク因子、上部消化管内視鏡検査施行時の抗血小板薬、抗凝固薬の休薬基準が以前と異なっているので最新の基準を確認しておく〔潰瘍や胃炎の問題と絡めて出題される〕)

ピロリ菌感染胃炎(鳥肌胃炎の内視鏡写真が供覧されることが多い、診断や治療に使用する抗菌薬〔1次除菌から3次除菌治療まで押さえておく〕、治癒判定に使用する検査、除菌に影響する因子〔喫煙など〕)

潰瘍性大腸炎

(重症度判定項目と発がんリスク因子、バイオマーカー〔便中カルプロテクチンロイシンリッチα2グリコプロテイン[LRG] 〕は押さえておく、5-ASA不耐症患者に対する対応)
http://www.ibdjapan.org/pdf/doc15.pdf 診断基準・治療指針
・5 -アミノサリチル酸製剤(5-Aminosalicylic acid:5-ASA)を開始後早期に(多くは2週間以内)、急な発熱、腹痛や下痢など腹部症状の悪化、関節痛、頭痛などが認められたら、5-ASA製剤による症状の悪化(5-ASA不耐)を考慮し薬剤の中止を検討する。稀に間質性肺炎、心筋炎、間質性腎炎、肝機能障害、膵炎、血球減少などの副作用も出現しうるため、症状に応じた画像評価に加えて、血液検査、尿検査によるモニタリングも必要である。
・チオプリン製剤(アザチオプリン・6-MP(*))の副作用の中で、服用開始後早期に発現する重度の急性白血球減少と全脱毛はNUDT15遺伝子多型と関連することが明らかとなっている。それに伴い、2019年2月よりNUDT15遺伝子多型検査が保険承認となっており、初めてチオプリン製剤の投与を考慮する患者に対しては、チオプリン製剤による治療を開始する前に本検査を施行し、NUDT15遺伝子型を確認した上でチオプリン製剤の適応を判断することが推奨される。
・チオプリン製剤投与中にEpstein-Barrウイルス(EBV)に初感染、あるいはEBVの再活性化を生じた場合、持続する高熱、血球減少、高フェリチン血症などを伴って、血球貪食症候群を発症する可能性がある。
・副腎皮質ステロイドについてはRed Bookによれば、高用量(プレドニゾロン換算で20mg/日以上、体重10kg未満で2mg/kg/日以上)では生ワクチン接種を控え、ステロイド終了後、少なくとも1ヶ月以上は間隔をあけるとされている。
・他の免疫抑制的治療については、薬剤の半減期や患者の免疫の状態なども考慮する必要があるが、免疫抑制的治療は生ワクチン接種の1ヶ月後より開始すること、免疫抑制的治療中断後3ヶ月以降に生ワクチンを接種することが推奨されている
・便中カルプロテクチンとLRGは病態把握を目的として測定する場合、保険診療上は3ヶ月に1回を限度として算定となる

過敏性腸症候群

(IBS;ROMEⅣ診断基準についてROMEⅢからの改訂点を中心に押さえておく)

消化管ホルモンの分泌臓器(部位)と作用(ソマトスタチン〔頻出〕は消化管ホルモンの分泌を抑制するだけでなく、消化液の分泌も抑える〔ソマトスタチンが抑制に働くことは最低限押さえておく〕)

プロトンポンプ阻害薬(PPI)長期投与によって生じる副作用(microscopic colitisによる慢性下痢、急性間質性腎炎、腸管感染症、胃ポリープが挙げられる一方、骨粗鬆症、骨折、鉄欠乏性貧血の明確なリスクは認められないことは押さえておく〔日本内科学会雑誌2023年1月号に掲載〕)

肝胆膵

  1. B型肝炎(B型肝炎ウイルスマーカーの種類、ジェノタイプ別の特徴、治療の長期・短期目標、de novo B型肝炎が頻出)

  2. C型肝炎(合併症〔肝外病変〕が頻出)

    1. C型慢性肝炎は,ときに扁平苔癬,皮膚粘膜血管炎, 糸球体腎炎, 晩発性皮膚ポルフィリン症, 混合型クリオグロブリン血症,そしておそらくは B細胞性の非ホジキンリンパ腫を合併する。クリオグロブリン血症の症状としては,疲労,筋肉痛,関節痛,神経障害,糸球体腎炎,発疹(蕁麻疹,紫斑,白血球破砕性血管炎)などであるが,クリオグロブリン血症は無症状である場合の方が多い。

  3. 急性肝不全・劇症肝炎(分類、治療〔アミノ酸製剤投与は控えること〕が頻出)

劇症肝炎、LOHFの治療で最も重要なのは、成因に対する治療と肝庇護療法によって肝壊死の進展を阻止することである。このため1次医療機関と肝臓専門医の病身連携が重要で、急性肝炎重症型と診断された症例は、専門機関へ移送して可及的速やかに治療を開始すべきである。昏睡II度以上の肝性脳症を併発して劇症肝炎ないしLOHFと診断された場合は、血漿交換を中心とした人工肝補助療法を開始する。また、この時点で難治性の肝・胆道疾患に関する調査研究班が作成した「スコアリングシステム(2009年)」(表4)やデータマイニング手法で開発した「決定木モデル」(図1)などを用いて初回の予後予測を行い、死亡が予測される場合は家族に生体部分肝移植に関する説明を行うとともに、肝移植実施施設へ患者情報を提供する。家族内にドナー候補が現れた場合は、内科的集学的治療と並行して肝移植に向けた準備を開始する。全身状態が安定している患者では、治療開始5日後に予後を再予測し(図2)、死亡と予測された場合に肝移植を実施する。病態が急速に悪化し、特に脳浮腫の兆しが見られる場合は、5日後の再予測を待たずに肝移植を実施せざるを得ないのは言うまでもない。
成因に基づいた治療法と肝庇護療法は可及的早期から実施するのが望ましい。A、B型の急性感染例では末梢血血小板数が減少している症例がしばしば経験される。これら症例では、肝類洞内凝固に微小循環障害が公汎肝壊死の原因であるとの想定から、肝壊死進展防止の目的で抗凝固療法を実施する。抗凝固療法には ATIII濃縮製剤と合成蛋白分解酵素阻害薬を用い、ヘパリンは併用しないのが原則である。B型キャリア例ではエンテカビルなどの核酸アナログ製剤を投与するが、その効果出現には数日を要するため、インターフェロンを併用した抗ウイルス療法を実施するのが望ましい。なお、B型急性感染例でも肝壊死が持続している場合や、肝炎ウイルスマーカーからキャリア例との鑑別が困難な症例では、同様に抗ウイルス療法を実施すべきである。一方、自己免疫性や薬物性の症例では副腎皮質ステロイドをパルス投与(水溶性プレドニソロン:1,000 mg)する。本療法は肝庇護や過剰免疫の抑制の目的でも有用であり、ウイルス性や成因不明例でも実施される場合がある。
全身管理としては、中心静脈を確保して、水、電解質、栄養及び循環動態を管理する。熱源はブドウ糖を中心とし、1,200~1,600 K cal/日を目安に輸液する。劇症肝炎では血漿アミノ酸濃度が高値であるため、アミノ酸製剤は原則として投与しない。従来、人工肝補助療法は血漿交換が中心で、単独では肝性脳症の改善効果が不十分であるため、血液濾過透析と併用されてきた。血液濾過透析には、短時間に高流量で置換するHDF (hemodiafiltration)と、24時間持続的に置換するCHDF(continuous HDF)がある。最近では、肝性昏睡からの覚醒効果に優れるon-line HDFが普及し始め、血漿交換は補助的な治療法になりつつある。循環動態が不安定な症例では,CHDFより治療を開始し、昏睡の改善が不十分な場合はHDFに変更するのが適切である。肝性脳症に対してはラクチュロースを経口ないし注腸で投与し、腸管難吸収性の抗菌薬である硫酸ポリミキシンBを用いた腸内殺菌を実施する。昏睡Ⅲ度以上の症例では脳浮腫を高率に合併するため、上半身を軽度挙上させ、マンニトールを投与することにより、脳圧低下に努める。また、合併症に対する治療も重要であり、特に感染症を併発すると肝移植も実施できなくなるため,その予防に注意を払う必要がある。多くの患者は人工肝補助のためにカテーテルを血管内に留置しているが、その感染を防止するために5日以内に交換すべきである。また、誤嚥に注意し、体位交換を励行することで、呼吸器感染症の併発を予防しなければならない。

  1. 肝硬変(最近は肝線維化マーカーが頻出、プロコラーゲンⅢペプチド〔PⅢP〕Mac-2結合蛋白糖鎖修飾異性体〔M2BPGi〕は知らないと解答できないので押さえておく)

    1. FIB4インデックス(AST、ALT、血小板、年齢)

    2. ヒアルロン酸とⅣ型コラーゲン:肝硬変

    3. M2BPGiとオートタキシン:慢性肝炎

    4. エラストグラフィー

  1. 肝細胞癌(画像診断所見〔Gd-EOB-DTPA造影MRIを使用〕と治療アルゴリズムは覚えにくいが頻出)

  1. 自己免疫性肝炎(AIH;疫学、血液検査所見〔とりわけIgG上昇〕、合併症が頻出)

  2. NASH、NAFLD(病理所見を供覧して診断、治療を解答させる出題が多い)

  3. 胆嚢ポリープ(頻度の高い超音波検査所見〔一般問題として知識を問う問題〕が頻出)

  4. 急性胆石性胆嚢炎(最近は手術をいつ行うかについての出題が多い)

  5. 原発性硬化性胆管炎(MRCPもしくはERCP画像を供覧し、診断→特徴を問うといった臨床問題連問が多い)

  6. 原発性胆汁性胆管炎(病理所見を供覧し、診断や血液検査所見〔特にIgM上昇〕、合併症などを問う問題が頻出)

  7. 急性膵炎(治療に関する出題が多い〔48時間以内の経腸栄養が推奨、予防的抗菌薬投与は推奨されていないなどはしっかり押さえておく〕)

  8. 慢性膵炎(CT・MRI画像所見、診断のための膵機能検査、生活指導を含めた治療が頻出)

  9. 自己免疫性膵炎(超音波・CT画像所見、「IgG4増加」というキーワードが問題文にあることが多い、治療としてステロイド使用することが頻出)

  10. 嚢胞性膵腫瘍(CT・内視鏡画像を供覧し、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、粘液性嚢胞腫瘍(MCN)、漿液性嚢胞腫瘍(SCN)を診断→各疾患の特徴〔悪性化率など〕を聞く流れの臨床連問が多い)

HBV

LAM:ラミブジン:耐性が問題
ADV:アデホビル:耐性化・腎障害:販売中止
ETV:エンテカビル
TDF:テノホビル
TAF:アラフェナミドフマル酸塩

HCV

SOF/LDV:ソホスブビル/レジパスビル(ハーボニー)
GLE/PIB:グレカプレビル/ピブレンタスビル(マヴィレット)
SOF/VEL:ソホスブビル/ベルパタスビル(エプクルーザ)

血液

  1. 白血病(フィラデルフィア染色体陽性、MPO染色陽性、特異的エステラーゼ染色陽性を来たす白血病についての総論的な一般問題)

  2. 成人急性白血病(予後不良因子が頻出)

  3. 急性前骨髄球性白血病(骨髄鏡検写真を供覧し、診断→播種性血管内凝固症候群(DIC)→治療を聞く連問が頻出、APL分化症候群について)

  4. 慢性骨髄性白血病(フィラデルフィア染色体が陽性だと、BCR-ABL1融合遺伝子が形成されてBCR-ABL蛋白が産生される点が頻出、急性リンパ性白血病の一部でもフィラデルフィア染色体が陽性になることも押さえておく、ビタミンB12上昇、皮膚掻痒や胃潰瘍、持続勃起などの合併症も頻出)

  5. 骨髄異形成症候群(リスクと臨床症状によって治療方針が異なること、レナリドミドが治療に使用されることが頻出)

  6. 真性赤血球増加症(原因としてJAK2遺伝子変異があること、治療として低用量アスピリン+200~400mLの瀉血±ヒドロキシウレアが有用とされていることが頻出)

  7. 再生不良性貧血(貧血症状で受診した症例の骨髄鏡検写真〔脂肪髄〕を供覧し、診断→ステージ別の治療方針を問うという臨床問題連問が多い)

  8. 免疫性血小板減少性紫斑病(治療方針が頻出)

  9. 血栓性血小板減少性紫斑病(特徴、ADAMTS13活性低下、血漿交換による治療を行うことが頻出)

  10. 多発性骨髄腫(予後規定因子が頻出)

  11. 悪性リンパ腫(国際予後指標が頻出)

神経

  1. 感覚障害(下垂手、鷲手、猿手、下垂足が頻出)

  2. 脳梗塞(rt-PA静注療法の適応と禁忌、最近はMRIミスマッチに関する出題が多い)

  3. 一過性脳虚血発作(TIA;最近出題は減っているが、ABCD2スコアリングに関する問題が多い)

  4. 脳梗塞再発予防(血圧管理目標と脂質管理目標が頻出)

  5. ワレンベルグ症候群(MRI画像を供覧し、感覚障害などの症状を選択させる問題が頻出〔毎年出題あり、同側症状と対側症状が混乱しやすく注意〕)

  6. 弁膜症性心房細動・非弁膜症性心房細動(抗凝固療法とPT-INRコントロールに関する出題があり、7のCHADS 2スコア・CHA2DS2-VAScスコアと関連付けて覚えておく)

  7. CHADS 2スコア・CHA2DS2-VASc スコア(両方のスコアリングをしっかり押さえておく)

  8. 脳出血(ダビガトランの抗凝固作用を中和する抗体としてのイダルシズマブに関する出題が多い)

  9. 多発性硬化症・視神経脊髄炎(MRI画像を供覧し、特徴→治療を聞く流れの臨床連問が多い、特に再発予防のステロイドの有効性の違いが頻出)

    1. 多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)の疾患修飾薬(disease-modifying drug:DMD)(IFNβ, フィンゴリモドやナタリズマブ)は抗 AQP4 抗体陽性 NMO では無効あるいは再発の増加や重症 の再発を招くため,NMO には投与すべきではない.

  10. 認知症(MMSEとHDS-Rなどのスクリーニング検査)

  11. アルツハイマー病(症状進行について〔軽度→中等度→高度と進行するにつれて出現する症状〕と治療薬の使い分けが頻出)

  12. レビー小体型認知症(SPECT画像を供覧し、特徴的な症状〔幻視や抗精神病薬過敏〕を聞く問題が頻出)

  1. パーキンソン病(診断に必要な検査〔MIBG心筋シンチグラフィーやドパミントランスポーターイメージングなど〕と検査所見が頻出)

  2. 抗NMDA受容体抗体脳炎(痙攣エピソードで受診した症例の頭部MRI画像を供覧し、診断や治療を問う出題が多い)

  3. てんかん(発作型による抗てんかん薬の使い分けが頻出)

  4. 重症筋無力症(筋電図のwaning所見を供覧し、診断や治療、キノロン系抗菌薬とアミノグリコシド系抗菌薬による増悪リスクがあることなどについて尋ねる問題が頻出)

  5. ギラン・バレー症候群(血清抗ガングリオシド抗体、末梢神経伝導検査での伝導ブロックが頻出、治療についても押さえておく)

  6. ビタミンB欠乏性ニューロパチー(神経症状と欠乏しているビタミンの種類の組み合わせが頻出〔毎年出題あり〕)

循環器

循環器内科医がコンサルトを受けるような病態や治療に関連した問題
今までよりはるかに実践的な出題に様変わりしている

  1. 弁膜症(機械弁は直接経口抗凝固薬〔DOAC〕でなく、ワルファリンを使用する)

  2. 心房中隔欠損症・心室中隔欠損症(心臓超音波画像を供覧し、聴診所見や自然閉鎖率〔心室中隔欠損症>心房中隔欠損症〕を聞く問題が頻出)

  3. 急性冠症候群(右室梗塞が頻出、右室梗塞ではニトログリセリン投与を控えることが頻出)

  4. ブルガダ症候群(心電図を供覧し、特徴や高位肋間心電図が診断に有用であること、治療としての植込み型除細動器〔ICD〕などについて聞く問題が頻出)

  5. 肥大型心筋症・拡張型心筋症(呼吸困難で受診した症例の心臓超音波画像を供覧し、診断→治療を問う流れの臨床連問が多い、各々の特徴もしっかり押さえておく)

  6. たこつぼ心筋症(左室造影写真を供覧し、精神的ストレスが誘因となることや、対症療法を行うことについて聞く問題が頻出〔毎年出題あり〕)

  7. 心アミロイドーシス(組織コンゴレッド染色画像を供覧し、主要病型としてのALアミロイドーシスやATTRアミロイドーシス、それらの特徴に関して尋ねる問題が頻出)

  1. 心サルコイドーシス(組織の非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の画像を供覧し、心電図所見、超音波所見、心臓MRI所見などの検査所見について聞く出題が多い)

  1. 感染性心内膜炎(手術適応が頻出)

  2. 大動脈解離(診断に必要な検査、降圧目標が頻出)

  3. 心臓MRI検査(評価可能な項目について、造影剤使用の有無別に押さえておく)

  4. 経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI;適応が頻出)

総合内科・救急

救急外来で遭遇する他科疾患の割合が増えてきています(2022年度は末梢性眩暈症と精巣捻転整復術)
小規模クリニックで扱うような脱毛症、ポリファーマシー、認知行動療法などのいわゆる「プライマリ・ケア」
文献の解釈について問うような「学術的な部分」:PICO、EBM、文献検索といったキーワードがカギ

  1. 意識障害(JCS、GCSはスコアリングできるようにしておく、年によっては2題出題されることも)

  2. 一次救命処置(BLS;胸骨圧迫の位置や深さ、速さ、完全な戻しといった項目、胸骨圧迫波形が供覧されることもあり)

  3. 気管挿管(確認のための聴診部位、ETCO 2モニター装着、ETCO 2の値の評価、換気のペースが頻出)

  4. トリアージ(START法でどの区分になるかを判定させる出題あり〔評価基準をしっかり押さえておく〕)

  5. 計算問題(尤度比、検査後オッズ、相対危険度、寄与危険度)

  6. 緩和ケア(by the clockで鎮痛薬を使用すること、レスキュー量の決め方、便秘は耐性を獲得できないこと、嘔気、嘔吐は耐性を獲得できることが頻出)

  7. 脳死判定・除外基準(基準をしっかり押さえておくこと、最近は除外基準に関する出題が多い)

  8. めまい症(良性発作性頭位めまい症〔BPPV〕の診断に必要な検査、治療〔Epley法〕)が頻出、眼振記録を理解しておくとさらに良い)

呼吸器

1肺結核の感染対策(患者にN95マスク不要が頻出)、接触者健診、標準治療に使用する抗菌薬とその副作用

2.潜在性肺結核症の診断と治療

3.肺MAC症治療(2021年にアミカシン吸入薬が承認され、多剤併用療法を6カ月以上実施しても効果が不十分な難治例で使用できるようになった) 

4.気管支喘息に使用可能な生物学的製剤5剤(抗TSLP抗体医薬が2022年承認)

5.呼気中一酸化窒素濃度(FeNO):喘息とCOPDの鑑別に有用

6.アスピリン喘息の特徴(疫学とコハク酸エステル型ステロイドが使用できないことが頻出)

7.ニンテダニブ(オフェブ®︎)の適応(進行性線維化を伴う間質性肺疾患に適応あり)

8.過敏性肺炎(最多は鳥関連、鳥特異的IgG抗体測定が保険診療で可能)

9.好酸球性肺炎(急性と慢性の違いについて、疫学、画像所見、喘息合併など)

10. アレルギー性気管支肺真菌症(東海大学医学部医学科内科学系呼吸器内科学の浅野浩一郎教授らの研究グループが提唱した診断基準、治療)

イトリコナゾール(アゾール系)を用いる

11.肺塞栓症(多くは胸部CT画像を供覧されての連問、失神というキーワードが問題文内に頻出、治療薬フォンダパリヌクスが頻出)

12.肺癌(マルチパネル検査で検出可能な遺伝子および遺伝子変異、免疫チェックポイント阻害薬による免疫関連有害事象〔irAE〕とその対応)

感染症

  1. 5類感染症で直ちに届出が必要な疾患

  2. 4類感染症(臨床所見、ベクター、抗菌薬)

  1. 腸管感染症の潜伏期間

  1. ノロウイルス感染対策、アルコール消毒無効が頻出

  2. Clostridioides.difficile関連腸炎:診断、感染対策、発症リスクの高い抗菌薬

  3. カンピロバクター腸炎(特徴、グラム染色画像が供覧されることが多い。例年解像度がイマイチ)

  4. 梅毒(疫学、病期、診断、治療、治癒基準、届出基準)

  5. カテーテル関連血流感染症(Candida感染症が頻出。Candida菌血症では眼科紹介が必要。Candidaは菌種別に抗真菌薬の感受性が異なる)

  6. ワクチン(どのワクチンが生ワクチン、不活化ワクチンかをしっかり押さえておく)

  7. 風疹(追加的対策が延長、対象者、抗体価測定はEIA法もしくはHI法で行うこと、ワクチン接種対象となる抗体価の値は押さえておく)

  1. HIV感染症(疫学、23の指標疾患、診断アルゴリズム、治療開始基準、免疫再構築症候群)

アレルギー

  1. アナフィラキシー(『アナフィラキシーガイドライン2022』〔日本アレルギー学会〕の診断基準、治療〔下肢挙上、大腿中央前外側へのアドレナリン筋注〕)

  2. 花粉症(花粉別の好発時期、季節性アレルギー性鼻炎にオマリズマブ(ゾレア®︎)が使用可能となったこと〔適応条件はやや複雑〕)

    1. ①対象は12歳以上で、4週間ごと(又は2週間ごと)に最大計3回注射します(2-5月に行います)。

    2. ②今シーズン、従来の治療法(内服治療+点鼻治療など)で1週間以上治療し、コントロール不良な方が対象となります。

    3. ③治療の前に、総IgE値とスギ特異的IgE値を測定する必要があります。(直近の総IgE値と体重で投与量が決まります。総IgE値が異常高値の場合や、スギ特異的IgE値がClass 2以下の場合は適応となりません)

    4. 3割負担で、4444円〜69953円/月かかります。(総IgE値と体重により投与量がかわります)

  3. スギ・ダニの舌下免疫療法(スギは花粉飛散流行期に開始しない、妊娠期に開始しない〔継続は可能〕、小児に対する適応もあり)

  4. 食物依存性運動誘発アレルギー(10〜20歳代に多い、原因として小麦〔ω5グリアジン〕が最多、食後2時間は運動を控えるように指導)

  5. クインケ浮腫(C1インヒビター欠損が原因となる、血清C4低下が診断に有用、トラネキサム酸が有効である、カリクレイン阻害薬(ベロトラルスタット:オラデオ®︎)や抗カリクレイン抗体薬(ラナデルマブ:タクザイロ®︎皮下注)が発症予防に承認されている、血清補体測定に使用する血清の保存法は特殊であり押さえておく)

    1. HAE治療薬には、急性発作に対してはブラジキニンB2受容体拮抗薬のイカチバント酢酸塩(フィラジル)の皮下注製剤、急性発作および侵襲を伴う処置による急性発作の発症抑制に対してヒト血漿由来のC1-INH濃縮製剤である人C1-インアクチベーター(ベリナートP)の静注製剤、また、2021年4月より急性発作の発症抑制に対して血漿カリクレイン阻害薬のベロトラルスタット塩酸塩(オラデオ)の経口薬が臨床使用されている。

    2. 採血後、速やかに血清分離して、凍結保存

  6. 重症薬疹(薬剤性過敏症症候群〔DIHS〕診断基準、HHV-6活性が関与することを押さえておく)

膠原病

  1. 関節リウマチ(欧州リウマチ学会〔EULAR〕ならびに米国リウマチ学会〔ACR〕の診断基準の各項目とスコアリング、予後予測因子、メトトレキサートが第一選択薬となること、治療開始前のインターフェロン-γ遊離試験〔IGRA〕は頻出)

  2. 全身性エリテマトーデス(SLE;スクリーニングは抗核抗体で行う、特異度は抗ds-DNA抗体が高い、活動性は血清補体価で評価することが頻出)

  3. 多発性筋炎・皮膚筋炎(診断基準項目としての(1)近位筋筋力低下、(2)非破壊性関節炎、(3)ヘリオトロープ疹、(4)ゴットロン徴候は頻出、抗ARS抗体症候群も頻出、非破壊性関節炎はX線写真、ヘリオトロープ疹とゴットロン徴候は皮膚写真まで押さえておく)

  4. 強皮症(皮膚潰瘍治療、強皮症腎クリーゼが頻出、強皮症腎クリーゼのリスクとしてのステロイド投与、強皮症腎クリーゼの治療にはACE阻害薬が推奨されている)

  5. IgG4関連疾患(自己免疫性膵炎やミクリッツ病などの典型的疾患〔シェーグレン症候群は含まれていない〕、治療にステロイドを使用することが頻出)

  6. ANCA関連血管炎(顕微鏡的多発血管炎〔MPA〕、多発血管炎性肉芽腫症〔GPA〕、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症〔EGPA〕の特徴が頻出、おのおのの違いをしっかり押さえておく)

  1. 高安動脈炎(20歳代女性に多い、HLA-B52/B67保有、FDG-PETが確定診断に有用であることが頻出)

  2. 成人スチル病(診断基準〔山口基準〕の項目、サーモンピンク疹、治療はステロイドを使用することを押さえておく)

  3. リウマチ性多発筋痛症(PMR; ACR/EULARが2012年に発表した診断基準項目と、治療はステロイドを使用することを押さえておく)

  4. 血清反応陰性脊椎関節炎(診断基準に遺伝子項目〔HLA-B27〕が含まれている、高安動脈炎のHLA-B52/B67と混乱しやすいため注意する)

腎臓

  1. 急性腎障害(AKI;KDIGO診断基準が頻出、好中球ゼラチナーゼ結合性リポカリン〔NGAL〕が尿中バイオマーカーとして有用なことも押さえておく)

  2. 慢性腎臓病(CKD;2023年に改訂されたガイドラインで医療機関受診勧奨が「尿蛋白(1+)以上、尿蛋白(±)が2年連続、eGFR 45mL/分1.73m 2未満」と記載されていること、コーヒー摂取が進展予防に推奨、糖尿病性腎臓病〔DKD〕にSGLT2阻害薬とミネラルコルチコイド受容体拮抗薬〔MR拮抗薬〕が推奨されたことなどは押さえておく)

  3. 腎性貧血(治療目標はHb 11~13g/dL、治療として赤血球造血刺激因子製剤〔ESA〕や低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素〔HIF-PH〕阻害薬を使用することは押さえておく)

  1. ネフローゼ症候群(腎組織病理所見を供覧されての連問が多い、特に原疾患としての糖尿病性腎症の病理所見〔Kimmelstiel-Wilson lesion、capsular drop、fibrin cap〕の出題が多い、病型別の特徴と治療反応性、二次性の原因疾患も押さえておく)

  1. 腎血管性高血圧の原疾患

  1. IgA腎症(診断基準、予後に関与する因子、40%程度が末期腎不全に進行するとされているが改善傾向であることが頻出)

  2. 多発性嚢胞腎(合併症の種類、進行度評価は腎容積によって行う、トルバプタンが進行予防に有効であることが頻出)

内分泌

  1. 先端巨大症(合併症、診断基準が頻出、血中成長ホルモン〔GH〕値が糖負荷試験〔75g OGTT〕で正常域まで抑制されないことや血中IGF-I値が上昇することも頻出、たまに足X線写真〔足底部軟部組織厚肥厚〕が供覧されることがある)

  1. 尿崩症(診断基準項目、腎性の原因、中枢性では頭部MRI T1強調画像で下垂体後葉の高信号消失を認めることは頻出)

  1. 甲状腺機能亢進症(治療が頻出、特にチアマゾールとプロピルチオウラシル、ヨウ素、放射性ヨードの適応と使い分けが頻出)

  1. 甲状腺機能低下症(臨床症状、身体所見、血液生化学検査値〔血清クレアチンキナーゼ上昇〕が頻出)

  2. 副腎性クッシング症候群・サブクリニカルクッシング症候群(診断アルゴリズムが頻出、デキサメタゾン抑制試験は1mgと8mgがあり、どちらを使用するかが頻出)

  1. 原発性アルドステロン症(スクリーニング項目としての血中レニン活性・アルドステロン値測定、カットオフ基準はしっかり押さえておく〔新旧測定法により基準変更あり〕、診療アルゴリズムを原発性アルドステロン症診療ガイドライン2021 で確認しておくとさらに良いと考える)

  1. 褐色細胞腫・パラガングリオーマ(123I-MIBGまたは131I-MIBGシンチグラフィーが診断に有効、イオン性造影剤は原則禁忌〔海外では使用されている〕、薬物治療としてα遮断薬が第1選択となりβ遮断薬単独投与は禁忌であるのは頻出)

代謝

  1. 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と高血糖高浸透圧症候群(HHS)の鑑別診断が頻出(身体所見と血液検査所見から鑑別させる出題が多い)、治療についても頻出


  1. 高齢者糖尿病の治療と血糖コントロール目標(ガイドラインが改訂され、『高齢者糖尿病診療ガイドライン2023』となっているが、血糖コントロール目標は変更なし、認知・生活機能質問票〔DASC-8〕を用いたカテゴリー分類については確認しておく〔過去出題あり〕、運動療法が糖尿病のみならず認知機能やフレイルにも良い影響を与える、高齢2型糖尿病患者の注射のアドヒアランス低下対策としてインスリン治療の単純化が記載されていることは押さえておく)

  1. 高尿酸血症・痛風(『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』 で治療アルゴリズムを確認しておく、急性痛風関節炎に対してNSAIDs、グルココルチコイド、低用量コルヒチンが推奨されている)

  2. 脂質異常症(『動脈硬化性疾患予防ガイドライン2022年版』で随時〔非空腹時〕の中性脂肪の基準値が設定〔随時175mg/dL以上、空腹時150mg/dL以上〕、中性脂肪低下を目的にn-3系多価不飽和脂肪酸のうち魚油摂取量を増やすことが推奨されている、LDLコレステロール管理目標が基礎疾患により異なるので一度は確認しておく)

  3. 骨粗鬆症(最近は複数題出題あり、骨代謝マーカーとしてBAP〔骨形成〕、P1NP〔骨形成〕、TRACP-5b〔骨吸収〕は最低押さえておく、原発性の診断基準と骨粗鬆症治療薬について骨形成・骨吸収のどちらに作用するかは頻出なので押さえておく)

  4. メタボリック症候群の診断基準(毎年1題出題、腹囲測定部位が頻出)

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