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【医師解説】間葉系幹細胞由来エクソソームの期待される効果

細胞外小胞は、1983年に網状赤血球成熟過程で脂質二重層に包まれた小胞として観察され、その後多くの細胞から分泌されているのが確認されました。

間葉系幹細胞上清液には細胞外小胞も含まれています。

主な細胞外小胞は微小小胞とエクソソームであり、どちらもホメオスタシス, 抗炎症反応、血管新生、免疫抑制などに関した細胞間コミュニケーションに重役割を担っています。

エクソソームは40〜100nm、表面マーカーは膜貫通蛋白であり、mRNA、miRNA他の非翻訳性non-codingRNAおよび蛋白が含有されています。

心筋梗塞動物モデルを用いて、間葉系幹細胞由来のエクソソームにより抗酸化ストレス、抗炎症作用、抗アポトーシス作用により心筋細胞保護および血管新生を誘導することが報告されています。

また、虚血再灌流障害モデルを用いた実験からも、間葉系幹細胞由来のエクソソーム投与により酸化ストレスを減少させて虚血部位が減少したと報告されています。

脳梗塞動物モデルでは、間葉系幹細胞由来のエクソソームにより、神経および血管系回復が報告されています。

また、外傷性脳挫傷動物モデルにおいても間葉系幹細胞由来のエクソソームによる神経および血管系の回復が報告されています。

肝障害実験動物モデルを用いて、間葉系幹細胞由来のエクソソーム投与による肝細胞の保護および再生効果、あるいは肝線維化の抑制効果が報告されています。

また、間葉系幹細胞由来のエクソソームにより肝臓の酸化ストレス障害が回復したと報告されています。

腎臓の虚血動物モデルを用いて、間葉系幹細胞由来のエクソソーム投与により尿細管の保護、HGFの分泌を促し尿細管再生、抗酸化作用、血管新生の作用が報告されています。

間葉系幹細胞の細胞療法は多くの患者に施行され、良い治療効果を得ています。

また、間葉系幹細胞上清液は変形性関節症、創傷治癒あるいは光老化した皮膚の若返りや薄毛治療などに良い結果を得ています。

エクソソームは特定な細胞に情報伝達する性質があるため、がん治療にも利用できるのではないかと期待されています。

また、エクソソームは分泌される細胞により異なっていることを利用して、がんなどの疾患マーカーになるのではと期待されています。

青山メディカルクリニック 院長 松澤 宗範


参考文献:
1) Rani S, Ryan AE, Griffin MD, et al. Mesenchymal stem cell derived extracelluar vesicles: toward cell-free therapeutic applications. Mol Ther. 2015; 23: 812-823.
2) Keshtkar S, Azarpira N, Ghahremani MH. MesenHechymal stem cell-derived extracellular vesicles: novel ang frontiers in regenerative medicine. Stem Cell Res Ther.2018; 9: 63.
3) Raposo G, Stoorvogel W. Extracellular vesicles: exosomes, microvesicles, and friends. J Cell Biol. 2013;200: 373-383
4)国際抗老化再生医療学会雑誌 第1号(1-20)2018 間葉系幹細胞による治療と抗老化 佐藤茂 劉效蘭

・院長プロフィール
総合内科、形成外科、美容皮膚科、美容外科。
がん診療に関しては10代の頃に母親を末期癌で亡くした経験と形成外科で癌術後の再建で患者様と日々関わることで、早期発見、予防医療の重要性を痛感し、がん検査や治療も行っている。
疾患の種類を問わず、アンチエイジングまで幅広い患者様に対応し、体の内側・外側ともに健康に綺麗にをモットーにしている。
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