鉄塔q

地下室への扉 2(ポエトリー)

ポエトリー・ラップはビートニクスでいうところのポエトリー・リーディングであり、ラップの生まれに大きく影響。が、しかし黒人文化はビートニクスとは無縁でポエトリーを自発的にやっていたりと、ちょっとここに小難しい話をいれていましたが、それはまた別の機会にして、まずはお気に入りのポエトリーを並べていきます。


THE BLUE HERB/日本で初めてシーンにポエトリーを打ち込んだのは、北からの刺客と呼ばれた彼らだった。第一次ラップムーブメントの中で派手さと悪さが売りとなった時、純粋かつ鋭角すぎた彼らが日本におけるポエトリーラップの原型を作ったのは当然だったかもしれない。


狐火/ラップムーブメントが下火になった数年後、インターネット上に突然現れ、日本でポエトリーをはじめに評価させたのが狐火だった。あっとうてきダメ人間である自分と、似たような自分への愛をポエトリーするスタイルはネットを中心に多くのフォロワーを経て、ポエトリー系としては唯一のB-BOYパーク出場を果たしている。


不可思議/wonderboy/若者のリアルや夢を追う姿をラップするスタイル。当時、ポエトリーは殆どの人間に見向きされず、生きている間にラップムーブメントを見ることは出来なかった。死後、後述の神門や狐火、gomessらによりそのスタイルが評価され、ポエトリーラップの伝説的存在となった。


神門/不可思議wonderboyと同じスタイルながら、hiphopへのリスペクトが強い。彼もまた現在活動は休止している。ラップをする意味を問いながら、多くの人間の悩みを代弁している。


GOMESS/当初は高校生ラッパーとして知名度を上げた。スキルはもちろん、障害を抱えながらバトルに参加していたことが驚異的だった。人間失格では、幼少期から自分の19年を語り、同じような障害や精神病に苦しむ人間だけでなく、病んだ現代社会の中で孤独を抱える多くの人々に多くの共感を与えた。



MOROHA/彼らはもはやポエトリーの最終形態の一つと個人的に思っている。フジロック参戦。CM起用。ポエトリーのラッパーがここまできたのは衝撃的だった。さらにヘッズに限らず、多くの人間に響かせることが可能なギター1MCというスタイルと日常を憂いあきらめない歌詞、そして力強いポエトリーが魅力だ。僕も好きだが、ロックファンの友人からも支持が強い。特に夢を追う人間は絶対に聞いておきたい。


鬼/衝撃作である「小名浜」で犯罪であふれていた日常と自身の懲役を赤裸々に語るばかりか、なおかつ高い文学性を表現した。鬼の本質は、苦しみや憎しみ、人の業や本能を悲しみながら肯定するポエトリーである。痛みや過ちを知る人間ほど、何も言えなくなる。『言葉にできない」とは、誰よりも優しいポエトリーだと思っている。


小林勝行/ヤクザ、半グレを経験したあと、ラッパーとなった男。鬼と同じく懲役を経験している。過去の恐ろしかった自分を認め、懺悔し、それでも変わりたいと願う男の悲痛な叫び。小林は自らをありのままラップに乗せ、その願いを実現させようとしている。


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