20200814(普及版)夏に見たい映画「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」批評5番勝負+1 スポットライト 季節感を失った現代と夢邪鬼
スポットライトです!
これは、2020年書き下ろしの内容なので、少し、毛色が変わっています!
どうぞ、お楽しみください!
もうここまでくると、特に、ネタバレ云々と仰る方もいないかと思いますが、是非、2度、3度、本編を見返してくださって、この批評をご覧いただければと思います。
今回はあまり、触れられていない点から切り込んでいこうと思います。
(長袖来ているのに汗ばみセミの声が聞こえる))
物語が一つ真相へと近づく、歌声喫茶のシーン。ここで、サクラ先生と温泉マークのやり取りを引用しておきます。温泉マーク 「同じ一日をくり返しているのが、友引高校だけでないとしたら?友引町全体が、いや、世界全体が同じ一日をくり返しているとしたら・・・・?」
温泉マーク「同じ一日をくり返しているのが、友引高校だけでないとしたら?友引町全体が、いや、世界全体が同じ一日をくり返しているとしたら・・・・?」
サクラ「世迷いゴトもいい加減にせいっ!オヌシのいうコトは完全に、常軌を逸しておる。妄想じゃ。それはオヌシの妄想じゃ」
温泉マーク「きのうから着のみ着のままとして、こんなもの着てるとすれば、冬なのかもしれませんね。・・が、この汗は冷や汗なんですかね。それとも、この陽気のせいなんでしょか・・・?」
N二人の耳にせみの鳴き声が響いてきた。
温泉マーク「それに、さっきから聞こえる・・これは・・これも幻聴なのでしょうか・・・?」
直接言及していませんが、温泉マークは冬用のコートを着ているのにもかかわらず、季節は真夏、ましてセミの声が聞こえるということは、ちょうど、7月中旬から8月頭にかけての時期です。
つまり、同じ1日を繰り返しているにもかかわらず、地球は動き、平然と四季は巡っているのです。
夢邪鬼は季節をコントロールできないわけではない
一つの可能性として、夢邪鬼が、季節をコントロールできなかったのではないかという仮説です。
これは物語を薦めていくとわかると思いますが、そういうわけではありません。
夢邪鬼は、友引町のみを宇宙空間に漂う亀の背中に載せて地球とは別の動きにさせることもできるし、荒廃した世界では、万年夏の日が続いているようです。
つまり、同じ1日を繰り返しながらも、季節が進んでいたのは、夢邪鬼のコントロール下で起こっていたと考えられます。
有名なタクシーのシーンで夢邪鬼はこう語ります。
運転手(夢邪気) 「カメに乗って行ったのが太郎だけでなく村人全員だったらどうだったでしょうね・・・全員が竜宮城へ行って、そして、そろって村へ帰ってきたとしたら、それでもやっぱり数百年の歳月がたってたコトになるんでしょうかね・・村人が誰一人気づかなかったとしても・・・・」
サクラ 「なんの話をしとる!」
運転手(夢邪気) 「なまじ客観的な時間やら空間やら考えるさかい、ややこしいコトになるんちゃいまっか?」
「帯に短し、待つ身に長し、いいますやろ。時間なんちゅうもんは、人間の意識の産物なんや思たらええのんやがな。世界中に人間が一人もおらなんだら時計やカレンダーに何の意味があるちゅうねん!過去から未来へキチンと行儀よう流れてる時間なんて始めからないのんちゃいまっかいな?お客さん」
つまり、夢邪鬼が敵対視しているのは、季節の移り変わりではなく、それに意味をあてはめ、時間が進み、空間が変化しているという人間の認識その物なわけです。
トランキライザー登場
これも象徴的なシーンは、冒頭で、「同じ一日を繰り返しているように思うのです」と、この夢の世界に対して、適応障害を起こしつつあった温泉マークに対して、サクラが差し出したのは
「トランキライザー」
これは、抗不安薬とか精神安定剤と言われるものです。
季節に関わらず、同じ空間、均質な時間が過ぎていく世界への違和感は、トランキライザーで解決されてしまう。
次鋒戦でビューティフルドリーマーの世界では、80年代から90年代へのシフトも描いていると書きました。これはエビデンスはないですが、精神安定剤や睡眠薬といったものが、一般に流布し始めたのも平成の時代であったように思います。
都市化した空間、現代の均質な時間はまさに、夢邪鬼が作り出す夢なのかもしれません。
そして、今日生きる私たちは、無意識にそれを受け入れている。
それが良し悪しではなく、まず相対化するところから始めないといけないでしょう。でなければ、また、自分の我欲を利用され、違った夢に掘り込まれかねません。
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