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MCR「絡め取りプリンセス投げ」終わりました

MCR「絡め取りプリンセス投げ」終わりました、出演者、スタッフ、劇場関係者の方々、ご来場頂いた皆さん、来たくても来られなかった皆さん、そもそも来る気もなかったお前にまで有難うございました。

当日パンフレットにも書いたんですが、もう新作は書けないのかな、と、なんとなく思っていて、でも書かなきゃいけなくて、自分のなかが、空っぽである、ということを自覚しながらも、それに気がつかないふりをして走ってみるという愚行、絶望、弛緩した思考と筋肉、一丁前に存在する責任感と使命感、その中で過ごした1ヶ月ぐらいだったと思います。

太宰治の「女生徒」をモチーフにして、自分なりの、平凡な女子高生が平凡な一日を過ごすだけのお話を書きたかったのです、ただそれだけだったので、そこに含まれる細かい要素や、展開として何をどうするかなんて決まってなかったし、捺月が意識を飛ばしてなんたらなんたらなんて事も、最初は決まってなかったし、そうなると登場人物の女子高生が平凡ではなく、俺自身が単なる平凡、愚鈍、ああもう嫌だ、何にもねえや、となってましたね。

台本を書き進めていく中で、自分の中で大枠が捉えられない、というよりは、絶妙にハマらない気持ち悪さみたいなのがあって、ここから先はもう、感覚の話なんで絶対に理解できないと思うんですけど、一応書きます、それはもう、自分自身の為に書くので皆さん、これから先の僕は捨て置いてください。

物語の中に、捺月に告白する堀、というシーンがあるんですがそこでのセリフがまあ、こんな感じで。

堀 「僕はほんとに、こんな事言うつもりは無かったんです、稲葉さんの事が好きだって言う気持ちだけで満足できるし、それだけで一生お腹いっぱいぐらいの落とし込み方をしてたんです、だけどそれは、神がかろうとしてただけで、本当は違うってことにも気づいてて、だって俺は、どんなに世捨て人を気取ろうとしても、クリスマスの日にはどうしたってソワソワしちゃうんです、なにで汚そうとしても汚れないサンタクロースみたいなもんが俺の中にはいて、もはやそれは本能という言葉に行き当たるほど大きなものなんですけど、そいつがね、必死に抑え込んできた感情とか理性にガバッと頭から噛みついて俺を引き摺り回すんですよ、それはとてもがっかりするけど、どうしようもないんです!

このセリフの中で「何で汚そうとしても汚れないサンタクロースみたいなもんが俺の中にいる」って箇所が出てくるんですけど、それが出た時にですね、まあ、これが明確な言語化されるまでになんだかんだで8時間以上かかってるんですけど、これが出た時に、あ、これ、できるかも、と思ったんですよね、分かんないでしょうけど、なんか、あ、これはだって、違うかもしれないけど、知ってる限り俺しか書けないし、これは俺が俺として時間を過ごしてきたから書ける事で、ということはこれ、俺から俺へのギフトだな、俺はこのセリフすごい好きだし、ということは俺はまだ、俺に期待していいのかもしれない、となって、あ、いけるな、面白いかも、いや、面白い、となったんですよね。きっかけはそんな、一文の中の、ちょっとした文字列なんですけど、それがもう、かなり大きかったというのは、正直あると思います。分かんないと思いますけど。

そんなこんなで完成した芝居、完成するには出演者の皆さんの頑張りが不可欠、というか、ほぼそれなんですけど、完成したのでよかったです、ありがとう、またよろしくお願いします、という話です。

MCRの予定としては12月に下北沢OFFOFFシアターで公演があります。
その時にまた、お会いできたら嬉しいなと思っております、よろしくです


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