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MCR「Smells Like Milky Skin」について

MCR「Smells Like Milky Skin」公演が終了して二週間が経ちました。
ご来場いただいた皆様、あらためまして本当に有難うございました。

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公演の経緯についてはツイッターなどで語ってきたので、今更ここでどうのこうの書くことでもないとは思うのですが、まあ、簡単に言えば
2020年5月に公演予定→緊急事態宣言が公演前日までの予定で発令→無観客公演に切り替え→緊急事態宣言が延長して中止・延期→1年後の2021年5月8日から16日に上演予定→4月に緊急事態宣言発令、宣言期間中の5月11日まで有観客公演禁止→公演期間を5月12日〜16日に短縮(嫌な予感がしたので最初から客席は通常の50%に設定)→劇場入り直前で多分延長みたいな報道→しかしお達しはないので劇場入りしてセットを組む→緊急事態宣言の延長決定→国は規制を緩和した上での有観客を提示→しかし都がどう判断するかわからん→なんかできる事になったようだ→公演終了。
という流れでした、簡単に言ってもこれぐらいの事はありました。

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演目は昨年上演しようとしていたものと同じですが、出演予定のキャストは多少の変更がありました、それはもう仕方ない、1年経てば様々な変化が訪れます、それに伴って内容も当初考えていたものとは変化しました。
上演した演目では奥田君とモトキさんの間にできた子供(川島くん)が、死んでしまった2年後に見た目おじさんになって戻ってくるというお話でしたが、当初、川島君は奥田夫妻の子供を殺した男という設定でした。

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どうしてそのような変更をしたかと言えば、まあ、色々と理由はあるんですが、強く提示できるような「これがこれだからこうしたよ!」という感じのものは僕にも分かりません、ただ、なんとなく、今それをやる理由が無いし、みんなもそれは見たくないんじゃないかな、という気がしただけ、というのが1番かもしれないです。

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ただ、そうしようと決めてから、実際に書き始めて、公演が出来るか出来ないか問題及び、観客を入れられるのかどうなのか問題など、いわゆるモチベーションにつながる部分でグラングラン揺さぶられたこともあり、筆は遅れ、出演者の皆さんには本当に迷惑をかけました、本当にごめんなさい。

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昔、開演5分前になってもお客さんが一人も来ず、出演者とスタッフが舞台に集合して「演劇というものは、お客さんがいなくても上演するものなのか」という会議をしたことがあります、いわゆる有識者会議です。
結果、そのあと一人だけお客さんが来たので普通に公演はできましたが、多分、あのまま誰も来なかったら舞台をバラして打ち上げに向かっていたと思います、そう、それは千秋楽の最後の回でした。
死ぬ思いで台本を描いているときに、ふとその時のことを思い出しました、あの徒労感、虚無、恐怖、失望、無力感。

「俺はもしかしたら、必要ない事に全力を傾けているのではないだろうか」

それが筆を遅らせた事の全ての原因ではないですが、かなり大きかったのは事実です。

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自分の中には絶対に絶対に壊したくないと思う大切なものがあって、でもそれを壊すことで自分の中から何が出てくるのか興味がある、もちろんそれによって自分は血まみれになるだろうけど、その先に何があるのか(もしくは何もないのか)見てみたい欲求が抑えられない、自分の中に「これだけは失いたくない」と思うものがあるということは「それを失うことができる」チャンスなんだと、そういう思いで生まれた「Smells Like Milky Skin」だった訳ですけど、それはでも、完全に僕自身の欲求じゃないですか、それでしかない、そこにお客さんはいないし、だけどお客さんがいないと僕の中で演劇は成り立たない訳です、だからいつだって折り合いをつけるのに苦労するし、だけど折り合いをつけない作品なんて便所の落書きじゃねえか、と思ってしまうので、一方的な、なんだろう、俺とお客さん、どっちかしか存在しないものなんてやる意味ねえじゃんって思っちゃう訳です。
全然上手く言えてないな、もうこの辺でこの話はやめましょう。

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ここで書き直す前の、つまり設定が変更する前に書いていた台本の冒頭部分を載せます。

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なんていうか、書き直してよかったなって、これだけでも思います

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公演が終わった後、なんだかいつもとは違って、不完全燃焼感というか、いや、いつだって「やり切ったぞ!」みたいな感じはなくて「もっとできたんじゃないか」とか思うんですけど、今回はそういった内容に対するどうのこうのではなく、感覚的に、中途半端感というか、やったけどやってないみたいな感じがあって、それは日程が短縮になったとか、そういう諸々から来るものだと思うんですけど、それが強くてですね。
だから、だからじゃないかもしれないけど、思うんですが、いつかもう一度、やりたいなあと個人的には思っています。
以上なので、あとは写真を載せます。

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写真:保坂萌

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ご来場、そして配信を見ていただき有難うございました。





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