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シータディスペクター解説(仮)

初めまして、DMPの札剣(ふだけん)と申します。普段はZweiLanceのDM大学を中心に、細々とプレイヤーとして活動させていただいています。

今回は、僕が9月初頭から約2~3ヶ月の間に渡り調整・愛用してきた「シータディスペクター」というデッキについて、ひとつ整理がつきましたので紹介していこうと思います。

このデッキの強みは、王来編第3弾のカードを軸にしたテーマデッキであることから比較的安価に組むことができ、なおかつ第4弾でも強化が期待できることです。
それでいて現段階でもハマれば環境デッキに引けを取らないパワーは持っており、実際にDM大学第2回甲子園では権利獲得(レーティング)に貢献してくれました。

初投稿で稚拙な文章ではありますが、全文無料ですのでぜひ読んでいって貰えると嬉しいです。

①デッキリスト

2021/11/27 第2回DM大甲子園 2-2(予選落ち)

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②解説の前に

さて、詳しい解説の前に、皆さんに知っておいて欲しいことがあります。
それは「ササゲール」というギミックについてです。

このギミックの基本的な性質は、『あらかじめ盤面に置いておくことで、ディスペクターを早出しすることができる』ものです。
これは皆さんご存知だと思います。

しかし、このギミックにはもう一つ使い方があります。
それは『ディスペクターを出すターンに、追加のアクションとしてディスタスの登場時効果や破壊時効果を運用する』というものです。

例えば9マナある時に、《聖魔連結王 ドルファディロム》を召喚したいという状況。この時手札に《勇騎 バクアイラ-1》があれば、2マナ《バクアイラ》→ササゲール込み7マナ《ドルファディロム》と出すことで《バクアイラ》を1マナ1捨て1ドローのアクションとして使うことができます。

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そしてこの使い方をする時に大事になってくるのが、『ディスタスのコスパ』という概念です。
これも例を挙げてみましょう。

《電脳 ハルカス-1》と《腐聖 ブラッドウ-2》は、色こそ違えどどちらも登場時効果で1ドローを持っています。

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しかし、先程の『コスパ』の視点で注目してみてください。《ハルカス》は2コスト1ドローであるのに対し、《ブラッドウ》は1コスト1ドローと捉えられることができます。

つまり文明などの差異を無視すれば、《ブラッドウ》の方が《ハルカス》より『コスパ』がいい、ということになります。

この考え方はこのデッキのコンセプトの一つであり、この先頻出するのでぜひ頭に入れておいてください。
それでは次項から詳しい解説に入っていきます。

③採用カード解説

《月砂 フロッガ-1》4枚
軽量メタクリーチャー。優秀なメタ効果に加えササゲールを持っているため、本来なら腐る相手に対しても最低限の仕事をしてくれます。
現環境では《切札勝太&カツキング》や《我我我ガイアール・ブランド》にこそ無力なものの《”龍装”チュリス》は止められる上、こいつだけで2~3ターンロスする対面も存在するため4枚採用です。

《賢樹 エルフィ-1》4枚
このデッキ最強の初動。こいつを引くか引かないかで動きの強さが大きく変わる、電融界の《メンデルスゾーン》です。
《メンデルスゾーン》を減らすNEXT使いはいないのでそういうことです。

《フェアリー・Re:ライフ》4枚
受けになる2コス初動のかさ増しです。《エルフィ》が引けない時に後述の《アジサイ》に繋ぎ、被害を最小限に抑えます。
怪我をしないためのカードという側面が強いのでデッキ内での優先度は低め。確定枠と調整枠の間くらいのカードだと思いますが、僕は怪我をしたくないので最終的に4になりました。

《無頼 ブロンズ-1》4枚
《妖精 アジサイ-2》4枚
2コス初動から繋いで3ターン目にプレイしたいディスタス2種です。どちらも共通でブーストを持っていますが、個々の強みもあります。
《ブロンズ》は2コス初動がなくても3ターン目にプレイできる点、単色でマナにも置きやすい点が優秀です。《エルフィ》とこの2体を一緒に引いた時は、大体《ブロンズ》を埋めて《アジサイ》を出します。
《アジサイ》はひとえにカードパワーが高いです。ササゲールとブーストを合わせれば、1体で3コスト分を加速しながらフィニッシャーを探すというイラストアド以上のアドバンテージを生み出します。

《アジサイ-2》としてはスタートデッキ版の絵の方が好きです

そしてこの2体が真価を発揮するのはなんといっても《エルフィ》の軽減下。
《ブロンズ》は2コス2加速、《アジサイ》は手札の減らない3マナ3加速になり、字面だけなら過去のデュエル・マスターズを置き去りにします。
この状態の2体は先程話したコスパの面でも超優秀で、盤面+マナがディスペクター分ちょうどしかないという時でも単色カードを落とし続けられる限りアクションを追加できるほか、《エルフィ》が2体もいようものなら完全に挙動がバグります

ゲーム中で最も多くプレイする、名実ともにデッキのメインエンジンです。

《猛菌 キューティ-2》4枚
貴重な青単色兼受け札。一部の人間はこいつを「踏ませるフェアリー・ギフト」と呼んでおり、僕もその一人です。
コスパは《エルフィ》下でも決していいとは言えませんが、色の兼ね合いだったりほぼ確実に1体止められるのが優秀だったりで不採用の《ミランダ》よりは優先されるかな…と思います。でもこいつとGSだけだと除去がないから逆に《ミランダ》が恋しくなるんだよな……。

《電磁 アクアン-2》3枚
受け札になれる最高品質のドローソースですただしこっちはドロソ一点特化型なので、実は《アジサイ》の方が小回りが効いて強かったりもします。コスパが地味に悪いのでこいつで手札を潤したターンほぼ他の動きが取れないのが痛い。
とはいえ最大3枚サーチとGSは普通に強いので、僕はかさばらない枚数として3を推奨しています。

《禁断竜秘伝エターナルプレミアムズ》3枚
このデッキの貴重な除去でありリソースカードであり詰め札。一枚でやれることが多過ぎます。Vol-Val-8をマナ払って使うデッキなら5cだろうがなんだろうが流石に一枚は入れて損しないと思います。
それでも多色+非ディスであることがちょうどいい具合に弱いので、3枚の採用です。構築によっては全然減る枠。

《カダブランプー》2枚
詰め札以外の役割はありません。強いていうなら赤マナ。なので2枚です。
裏を返せばそれでも採用されるくらいには詰め性能が高く、《Vol-Val-8》と相性がいいです。エターナルプレミアムズと比べるとVol-Valで回収しても2マナあればすぐにプレイできるのが偉く、出したターンに走ればJD3点二回攻撃+EXターンが相手を襲います。こいつ自体が破壊カウントにできるのも相まって流石に犯罪。

《勝災電融王 ギュカウツ・マグル》2枚
僕がこのデッキで一番好きなカードです。好きだから入っています。以上。


というのは流石に嘘です。サブフィニッシャーが一般的な《N・EXT》でないのには、きちんとした理由があります。それが盤面の圧です。
5cや天門、ネバーループのような受けが強いデッキ対面を想像してみてください。
《N・EXT》を軸に詰めるためには殴る必要がありますが、この2点でトリガーを踏むと返しに場を荒らされる可能性が大いにあります。《N・EXT》のパワーが6000でありJDも持たないせいで、殴り返し含めたあらゆる除去に弱いからです。
対して《ギュカウツ》はどうでしょうか。強引に《Vol-Val-8》を引きずり出せれば多少雑に詰めてもパワーラインが1500054321なので《グレイトフル・ベン》(13000)や《バウ・M・ロマイオン》(14000)すら単体では2体に触れられず、EXターンが合わされば最上級の押し込み性能を発揮することができます。
さらに仮に《Vol-Val-8》が捲れなくても《アクアン》や《アジサイ》にアクセスさえできれば、攻撃するというリスクを背負うことなくリソースを抱えて次ターン以降の《Vol-Val-8》を待つというプランが取れるのでやはり僕はこちら派です。
ただ《Vol-Val-8》の発射台という性質上、2枚目以降は腐りがちなので今回は2枚。

《禁断竜王 Vol-Val-8》4枚
①出す
②殴る
③EXターン取る
これだけで勝てるので4枚です。特に説明することはありません。

《敬虔なる警官》2枚
このデッキの自由枠です。権利戦の頃はちょうど赤単、ジョー星、墓地退化が特にぶいぶい言わせてた時期であり、それらはあまり相性的にもよくなかったためメタとしてこのカードを入れました。
余った2マナで1ターン稼いだり、セガーレをバウンスできたり、破壊カウントになったりと色々できるので感触は悪くなかったです。ただ青単色が弱い。

不採用カードひとくち解説

いくつか不採用カードについても、軽く解説していきます。

《ベイB セガーレ》
フロッガと違ってササゲールを持たない=一概に出し得ではないわりに、放置されて手札がカツカツになる試合が多く使いづらさを感じたので不採用。強いとは思うけど……。

《Disノメノン》
このデッキは多色が多いくせに意外とマナカーブ通りに動きたいデッキなので、盤面がいないと初動になれない多色カードに割く枠はありませんでした。

《無頼 ミランダ-2》
トリガークリーチャーであることそのものが強力なカード。この中では一番採用の余地があります。ただし6コストなのが痛く、手出しも重い+エターナルプレミアムズからも出ないため今回は見送り。

《竜界電融 N・EXT》
「痒いところに手が届く」の真逆を地で行くカードです。
墓地メタとしてはかなり強力ですがその度に盾を殴っているため、常にトリガーから返されて終わりのリスクを背負っています。手札リセットも同様です。
サブ打点としても前述の通りやや貧弱で、カウンターで大型を立てられると格好の的になってしまったりもするため盤面をササゲて着地させるコストにリターンが合っていません。
ハンデスや墓地ソースなど一部のデッキには強いですが良くも悪くも役割が局所的であるため不採用。甲子園当時はグルメ墓地ソなんていなかったので尚更です。

④プレイングについて

・ガイアッシュ、可憐、フロッガのような「殴らせない」メタクリは自陣の4体をササゲールして入ることでケアできる。セガーレやツネキンのような「出させない」メタクリは除去もしくはマナを伸ばすことでしかケアできないので注意。

・アタックチャンスと攻撃時効果は処理順を自由に決められるため、Vol-Valの破壊カウントをある程度調整することが可能。SAを積んでいない関係上EXターンは2回以上連続で取りたいこともあり、破壊カウントはなるべく4で済ませたい。

・4ターン目にVol-Valを出すルートは、⑴2tエルフィA→3tアジサイ+エルフィBと⑵2tエルフィ→3tブロンズA+ブロンズBの2種類。要求値が高いため上振れのうちではあるが、先手で決めて相手の3t目のデドダムや栄光ルピアを巻き込めばそのまま押し込めることは覚えておきたい。

・平均的なキルターンがどうしても遅いため、メタクリに1ターン使うのは悪手。ある程度相手の強い動きを割り切ってマナや盤面を作る方が強いことが多い。

⑤終わりに

いかがだったでしょうか。

あまり上手く書けた自信はないですが、それでもこの記事を最後まで読んでくれて少しでもデッキに興味を持ってくれた方がいたら非常に光栄です。

現代デュエル・マスターズの中ではやはり非常に安価で、かつ一定の強さのあるデッキなので良ければぜひ余ったお金で遊んでみてください。

それでは、ありがとうございました。

※2021/12/28 追記

本来この記事は第2回甲子園が終わった直後に投稿したい&投稿すべきものだったのですが、リアルが忙しかったのと普通に書くのをサボってしまったせいで気づけば新殿堂も発表され、新弾も発売されて環境が大きく変わってしまいました。

はい。これは僕が100%悪いです。大変申し訳ございませんでした。

そこでお詫びといってはなんですが、新殿堂後の環境におけるこのデッキについて少し語らせていただこうと思います。個人の予想がかなり含まれると思いますが、このデッキを組むあるいは調整する方の一助になれば幸いです。

まず新殿堂環境についてですが、僕はおおよそティア1に《JO退化》《赤単我我我》《5cネバー》が、ティア2に《シータRX》《墓地退化》が入ってそれらを中心にメタゲームが回ると予想しています。

そう考えた時このデッキの立ち位置がどうなるかですが、結論から言えばメリットデメリットを両方踏まえた結果、「環境外の中でもあまり変わらない」というのが正直なところだと思います。

このデッキにとってのメリットはまず《ジョー星ゼロルピア》が消えること。ギュカウツやアクアンを無力化されることに加え有効な妨害がなく不利を取っていた相手が消えることで、相対的な強化がなされます。
もう一つのメリットはこちらの《キューティ-2》が今までより強い環境になること。元々一定の有効性があった《赤単我我我》に加え、新たなデッキ《JO退化》にもこのカード(と潤沢なGS)が刺さります。
特に後者のデッキはキューティ-2を素出しすることの価値も高い相手であるため、相対的なカードパワー、デッキパワーは上昇すると見ていいでしょう。

反面、デメリットは環境の高速化が大幅に進むことです。
先ほどから話題に上がる《JO退化》は再現性高く3キル、4キルを行えるデッキであり、《”龍装”チュリス》が消えたものの次環境はこのターン帯でビッグアクションを起こせるかがより重要になると予想されます。
そうなった時、4tVol-Valが「上振れ」であるこのデッキは必然的に苦しい戦いを強いられます。後手を取って3ターン目に走られればキューティを踏ませてもマナが足りず、大型まで繋がらないことがあるためです。大型が間に合わなければ当然そのまま負けるので、今まで以上に初動の安定感が必要になります。
また、これは個人の感想ですが新弾で劇的な強化がされなかったことも向かい風です。《メフィスト-1》は《Volzeos-Balamord》と組ませる方が安定し、《Disメイデン》はササゲールを持たないためバリューが低く、《デッドNEXT》は何もかもが噛み合っていません。強いていうなら防御面で《パワーロビン》、攻撃面で《アビスハリケーン》が少し何かしてくれそうなくらいでしょうか。ともかく、新弾によって新たな強い動きは生まれない、というのが僕の見解です。

これらを加味すると、「立ち位置は少しよくなったがこのデッキ自体が大きく強くなったかと言われればそうでもない」というのが総評になります。

とはいえ、実際のところ環境がどうなるかは分かりません。
もしかしたらこのデッキが予想より強いかもしれないし、むしろ予想より弱いということも十分あり得ます。それも踏まえて、もしこのデッキに触れるのであれば色々試してみていただけるといいと思います。

僕も、新環境で良さそうなアイデアが浮かんだら試してみますし、結果が良ければ追記という形でフィードバックさせて貰うかもしれません。
その時は良ければまた読んでいただけたらと思います。

それでは今度こそ、締めにしたいと思います。
ここまで読んでくれた皆さん、本当にありがとうございました。

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