2歳差兄弟、初めの一年
次男が産まれて一年が過ぎ、ようやく生活が落ち着いてきた。
この一年、長男の荒れ具合がひどく、毎日毎日、本当に大変だった。
次男が我が家にやってきて半月程経った頃、2歳半の長男は母のことを避け始めた。一緒に遊ぶのも、ご飯を食べるサポートも、おむつ替えも、抱っこも、お風呂に入るのも、なんでもかんでも「お父さんがいい!お母さんは嫌だ!亅と泣き叫ぶ毎日。
入院前、本能的にライバルの出現を感じ取ったのか、「弟いらない。お母さんだけ帰ってきて」と言っていた長男。いざ帰ると、新しい生命への興味なのか、暫く離れていた母そっちのけで、弟に関心を示していたし、その後もそれなりに穏やかな反応だったので安心していたのだけれど、暫く生活するうちに、どうやら弟とは母を奪う存在かもしれない、とでも思ったのだろうか。母と自分との間に突如割り込んできた存在への嫉妬心は、自分だけに集中してくれない母への怒りとなって現れた。
それからは、我が子から全力で拒否される毎日。子どもの言うこととどこかで理解しつつも、実際言われると冷静にそう割り切ることは出来なかった。
夫は3ヶ月育休を取っていて、次男の育児はもちろん、長男のメンタルサポートもしてくれていたし、母親との仲を取り持とうとしてくれた。それでも、長男はなんでも父親とやりたがり、お母さんはこないでと言う。仲良く遊んでいる2人を見ると、わたしは除け者にされている気持ちになり、夫にまで負の感情を抱えるようになっていた。赤ちゃんが産まれたばかりで幸せいっぱいのはずなのに、我が子に拒絶されるのが悲しくて腹立たしくて、家にいるのが辛く、下の子と2人だけで実家に帰ろうかと思い詰めていた。
長男との関係を改善させるべく、いろいろと試してはみた。しかし、よく言われるように2人で過ごす時間を作ろうとしても「お母さんはいやだ、お父さんがいい」と言われてしまうから、全くうまくいかない。次男が泣いていても、出来るだけ長男を優先させるようにもした。
あれこれ試しても、結局のところ、特効薬はなくて、ただ時間が過ぎるのを待つしかなかった。
3ヶ月、半年、9ヶ月と時を重ねるうちに、少しずつ少しずつ、長男も弟のいる毎日に慣れていった。3ヶ月が経つ頃、弟のお世話を手伝うと褒めてもらえるので、そこに喜びを見出してくれるようになった。半年頃くらいだろうか、寝ているだけだった弟とコミュニケーションを取れるようになり、9ヶ月頃になると、なんとなく2人で遊べるようにもなり、その頃には自然と前のように母にも甘えてくれるようになっていった。1歳を過ぎるとけんかもするが、だいぶん遊べるようになった。
一年がかりで、ようやく4人家族のバランスが出来て来た。
あの頃、思い悩んでいたわたしに教えてあげたい。一年頑張ればだいぶん楽になるよ、と。