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数年前の元彼

6年ほど前に付き合ってた元彼がいる。
彼とは今もよくSNSで話すし、何か悩んだ時一番相談しやすいのは女友達より彼だ。

6年前、彼とは酷い付き合いだった。
婚約者がいることを隠し二股をしていた彼。キレて怒り狂う私。

「自分は高校中退をしてお母さんを泣かせたから、罪滅ぼしのためにお母さんの望むちゃんとした女性と結婚してお母さんを救わなきゃいけないんだ」

「婚約者の子も僕のことを好きでいてくれてるから、助けてあげなきゃいけない。」

「でも君のことが好きだから、僕が婚約者と結婚しても一緒にいて。」

なんてことをいい年した男が本気で言っていた。

お互いボロボロで、彼は病気でもないのに精神科でもらう精神薬で処方箋依存になっていたし、

私は元々摂食障害だったが、彼との二股で病んで精神科通いになった。

関係は半年もしたら自然消滅した。

私は二、三年トラウマを引きずり、彼も私への強い罪悪感を持っていたようだったが、罪悪感を持っている間は恐らく彼は自分の非を認めていなかった。

いつからかお互い気軽に話すようになった。

それぞれ自分の恋愛に一喜一憂し、私はトラウマを少しずつ寛解し彼に恨みを持たなくなった頃、彼は非を認めて謝ってきた。

今では異性というより兄弟のような、家族のような、親友のような間柄だ。(なので異性として見れなくなった。彼とセックスは考えられない)


相変わらずの拗らせた彼の性格に時々私はイライラすることもあるが、そこはあまりお互い深く関わらないようにしている。


私は彼は正真正銘クズ男だなと思っている。
友達でいる分には問題ないけど。

しかし、先週別れたゲーム依存性の彼と比べると、この二股元彼は良い男だということに気がついた。

(いくら良くても浮気症の時点で付き合うのは不可能です)

ゲーム依存君は私と付き合ったことでギリギリ魔法使いになるのを免れた年齢だったが、私が初めて好きになった女で、初めて付き合った女だった。
 
そのせいなのか、そのせいだけではない気もするが、一言で言うと彼は「愛」をまるで知らなかった。

感受性という土壌は豊かなのに、時々何も育っていない感情の種がいくつかあるのだ。

その種は多分、傷つきたくなくて安全のために密封されて長い年月を過ごした種じゃないかと思う。

ニートの私も人のことは言えないが、ただ私はニートでもよく恋をしていた。そしてよく失恋もしていた。苦い恋もたくさんした。デートの経験も多いかもしれない。

ゲーム依存君は本当に何も知らない。
ネットで検索すれば調べられる情報には長けているが

「女性を喜ばせる喜び」
「女性の喜ばせ方」とか
「愛を表現すること」
「自然なセックスの流れ」

そういう「女性 デート 仕方」なんて調べても出てこない経験で得る非言語感覚を、彼は何も知らない。

キスが下手くらいなら仕方ないと思う。
歯が当たりすぎて痛いとか、ベロベロに唾液つけてきて気持ち悪いとか、そういうのはその場で柔らかく伝えられる。

でも言葉で伝えられないものが多すぎる。

素直に年下君として甘えてくれるなら大丈夫だが、高くそびえ立つほど伸び過ぎたプライドの壁は、私の言葉を不快に受け取り跳ね返す。

私には彼を育てるのは無理だなと思った。

それに比べて二股君は色んな経験が多かった。

どうやったら女性を喜ばせられるか、デートならどこへ連れて行くか、何を食べさせてあげようか、そしてどこへ行こうと、お金があまりなくても女に払わせなかった。

女性依存のきらいはあるし、それ故に浮気症という致命傷があるが、だからこそか彼は女性に対してとても丁寧に接してくれた。

私をなぜ好きになったのかと聞いたら、私をどこかへ連れて行ったら楽しむし、ご飯を食べさせれば美味しそうに食べたり、サプライズプレゼントをすれば(1000円しない鳥のぬいぐるみ)泣いて喜ぶから、嬉しかったんだと彼は言った。

ゲーム依存君はその喜びを知らない。

デートは全て割り勘だったし、どこへ行くかも私が決めていた。ここへ行けば彼は喜ぶだろうかとか、ここなら美味しい食べ物屋さんがあるから彼は喜ぶかなとか、私が考えてばかりだった。

でも彼は特に楽しそうでもなければ、特に美味しそうでもなかった。終始無言で無表情だった。
彼を喜ばせようと、お菓子を作ってプレゼントしたりしたが、やはりあまり嬉しそうではなかった。

実用的な物の方がいいと言う。
しかし私は金銭的に彼の好きな、高価な実用的物品は買えない。

私のできる範囲で何をもらったら嬉しい?と聞いたら、わからないと言う。

彼はどこかいつも受け身だった。
女性と付き合ったことがないオタク男性を絵に描いたような。

二次元の女のように、ゲーミングチェアに座ってれば女が勝手に自分を喜ばせてくれるはず、みたいな姿勢。

それはセックスに関してもそうだった。
「自分の欲求を満たすためのセックス」というのが何となく伝わる。

ハッキリ言えばとても下手。
謙虚でいてくれれば下手でもいくらかは構わないけど、俺のやり方が一番正しい!を貫くプライドエベレストマンに私が出来ることはもうなかった。


愚痴だらけになってしまった。
いかにストレスフルだったかということだ。

そのゲーム界隈では彼は少しカリスマだったが、男としてはどうしようもない人だと知ってるのは私だけだった。だから誰にも愚痴を吐けなかった。

だけど、そんな人でも私は好きだったのだ。
ゲーム依存君はゲームの世界に戻ったので、私に対しそんな感情はないかもしれないけど。

彼の恋人はゲームなのだ。
ゲームと結婚してください。

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