頬粘膜がん 129日目 想像力は現実を超える事ができるのか


 頬粘膜癌、129日目。

 血圧 120-85 mmHg
 血糖 162 mg/dL (朝食前)
 酸素 98 %
 脈拍 86 拍/分
 体温 36.5 ℃
 体重 78.2 kg

 放射線治療も本日分無事完了。
 これで明日が最終日です。
 さて、舌の状態などの放射線治療の後遺症についてはそれなりに書いていたが味覚障害についてはそこまで突っ込んだ事は書いていなかった。
 というのも、実は良く分かっていなかった部分もあったという事なのだ。はっきりしている部分としては、下記の通り。
・酸味が強く感じられる(これは舌部分の炎症によるものが大きい)
・塩味が全体的に強く感じられる
・何も食べて以内状況でも口の中がしょっぱい
・甘みに関しての感受性が鈍い 
この中でも酸味については味覚障害というよりも舌部分の炎症によって浸みて食べられないという事が中心であろうと思われる。
 という訳で、塩味が強く感じられる、甘みが鈍いというのが主な所だろうか。ここ2日ばかり、苦みが強く感じられるようになっていて、これが実際にそうなのか他の味覚が鈍くなって苦みが強く感じられるようになっているのかは今の所不明である。
 さて、実は今日味覚障害について新しい発見があった。

 売店で見つけたMOWの新フレーバー”白桃ミルク”である。旨そうな奴だ。アイス好きとしては素通りできないアイテムである。買ってしまうよね。当然の帰結という奴だ。ここで素通りしてしまうようじゃアイス好きと言えなくなってしまう。

 で、喜び勇んで食べてみた訳ですが、なんと驚き・・・・・・味がしない・・・・・・まじかっ!

 まったく味がしないという事もないんだが、ほとんど味がしない。舌の炎症部分がちりちりしているので塩味なり甘味なりを感じているっぽいのは間違いない。しかし痛みだけで味らしい味がしない。少し桃のフレーバーは感じているような気がする。それもほんのりという感じ。
 いやはや驚きの事実。こんなに味がしないとは思ってもみなかった。冷たい牛乳様のアイスっぽい何か・・・・・・みたいな感じです。なんだかちっとも美味しくないので食が進まない事この上ないのだが流石に勿体ない精神が勝ってなんとか食べきった。アイスを食べた喜び感はまったくなくという散々な体験となってしまった。結構ショック。

 ちょっと不安になった僕は次はどらやきっぽいお菓子も食べてみましたよw
 これはね、味がしてないかもしれないんだが、なんとなくどらやき食べてる感はある。外側の皮の部分のもさもさした感じ。あんこ部分のまったりした食感。若干の塩味。甘みは・・・・・・あまり感じないかな。でも全体としてはどら焼き食べてる感じがあるし、そういう満足感みたいな物も感じられる。間違いなくどら焼きを食べている。

 どうやら、甘み自体の味は感じられなくなっているような気配だ。だが、記憶というか体験ベースの甘みを食べてる感じは想像力が補っているっぽいみたいなんだね。
 食感やなにかはリアルな感覚があれば、そこに過去に食べて感じたであろう味覚を上乗せして食べた気になっている感じと言えばいいんだろうか。想像力が補完して食を感じているっぽいんだね。だから食べたことのない桃のミルク味ってのは全然補完されなかったのかもしれない。
 逆に、水ようかんやプリンみたいなものは記憶が強く作られているので食べた時の味の補完具合もなかなかなもので違和感が少ない感じである。

 なかなかびっくりな体験ではあった。

 これはまぁあまり突き詰めていくと食べる楽しみが減りそうでそっとしておこうかなぁなんて思ってしまってますが。
 意外と人間の想像力ってのはバカにできないものだなぁと思った次第です。

 若干、食用不振な感じがあり晩御飯についてはおかずを1品残してしまった。
 鎮痛剤の副作用に食欲不振みたいなものもあるんだが、今まで特に気になっていなかった部分である。もしかしたら軽い吐き気が出ているのかもしれない。

 まぁ吐き気止めの飲み薬は今までほとんど使ってきていないので、今後吐き気が増してくるようなら処方して貰うことも可能ではあるのでそれほど心配はしていない。

 取りあえず、今日も食事はほとんど完食ではあった。

 今日もいい1日だった。


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