頬粘膜がん 151日目 味覚は極めて科学的な話なんだろう


 頬粘膜癌、151日目。

 血圧 107-73 mmHg
 血糖 - mg/dL (朝食前)
 酸素 97 %
 脈拍 67 拍/分
 体温 36.5 ℃
 体重 75.0 kg

 ”味が分からない”と言えば一般的には繊細な味覚が理解できないとか、美味しいとか美味しくないとかの判断が鋭くないとかいう意味で使われる事が多いのだろう。
 美食家という人は、より一層に細かな味の違いがわかり、判断できるということなんだろうと思う。例えば甘いという味が一般的に50種類の甘さの違いを判別でき、甘さの濃淡が50段階で分かるとしたら、美食家の人はそれが倍ぐらいの解像度で分かるのかも知れない。

 そして、味についての判断と、おいしさについての判断もまた別のものであるかもしれない。

 さて、そういう意味では味覚障害の”味がわからない”ある意味で物理的な意味での味が分からないという状況だ。僕が20代の頃、まぁ30年あまり前になるんだけれど、その頃に医学としての味覚について学んだ時は、味を判断する味蕾と言われるセンサーが舌にあるんだという風に教わった。
 舌には神経経路の一番さきっぽに味蕾という味を判断するセンサーがついた神経経路がありその味蕾で味を判断した電気信号が神経経路を通して脳へと味の情報を送るという風に教わった。舌には決まった味覚の分布があり甘みは舌の先で感じ、苦みが舌の奥の方というように味覚地図として分布が決まっていた。(これは後に間違いであったということで現在は味覚地図という考え方はない)

 現在は味覚についてはもっと複雑な仕組みがあることが研究の結果分かってきているがまだまだ味覚については分からないことが多いというのが実情である。(TRPチャンネルと言われる刺激受容システムがありそれにより温度や物理刺激や浸透圧の違いなどいろいろな情報を高速にやりとりすることができることが分かってきている)

 さて、僕自身の味覚障害はどうなんだろう。甘みが分からない、塩味も鈍い感じがあり、全体的に後味が苦い。塩味は鈍いのだが口の中は常時なんとなくしょっぱい感じもある。酸味もかなり鈍いと思う。ところてんを食べてみたんだが、酢醤油のタレの酸味は僅かにしか感じられなかった。酸味がないが思いっきり吸い込むと酸味に噎せるみたいな身体変化はちゃんとあるので味がわからないだけで、他の部分で体は反応している。とすれば、塩味にしろ甘みにしろ、味覚としては分かっていなくても体としての反応は普通にあるのだ。もしかしたら程よく砂糖をとればなんとなくリラックスしたりとかという身体変化はあるのかもしれない。
 実際に砂糖をなめてみると確かに味がしない。塩をなめてもほとんど味がしない。醤油をなめるとほんのり塩味みたいなものを感じる。ソースをなめても香りがするんだが酸味みたいなものはあまり感じない。味噌はしょっぱいような味がする。塩化ナトリウムの味は分からないんだが、醤油や味噌のような複雑な味の中に塩味っぽい別の味があるようだ。
 塩焼きは多分味がしないんだろうが味噌や醤油で味付けしたものは塩味が感じられそうだ。味噌汁は普通に飲める。ただ、もともと感じていた味とは少し違うような気がするけれど。味噌汁を作るときに本だしを味見したら、本だしはちゃんとそれっぽい味がした。

 味噌汁はちゃんとそれっぽい味がするので、味噌味ベースのおじやはそれっぽく食べられる。まあねこまんまって奴ねw なんなら鰹節もそれなりに風味が感じられるのでねこまんまはかなりちゃんとそれっぽく食べられるかもしれない。

 現実として無難に食べられるのがねこまんまというw

 晩御飯にはねぎと豆腐の味噌汁をいただきました。

 今日もいい1日だった。


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