頬粘膜がん 111日目 食時とうがい薬と僕


 頬粘膜癌、111日目。

 血圧 126-94 mmHg
 血糖 162 mg/dL (朝食前)
 酸素 98 %
 脈拍 68 拍/分
 体温 36.7 ℃
 体重 79.2 kg

 放射線治療は21回目終了。
 今朝も朝食前のウォーキングは欠かさず。で、初老の戦士とすれ違い黙礼。ちょうど戦士はこれからご帰還である。
 口腔がんにおいて、治療中の口腔衛生管理はとても重要だ。
 特に抗がん剤治療をしたり放射線治療を行っていると口腔内が荒れる事もあるし、免疫機能が低下して感染症リスクが高まる。歯磨きの徹底とともに消毒を行いばい菌を排除する必要がある。
 で、僕の場合は毎食後、歯磨き前にアズノールうがい液を使って口内洗浄を行う。まぁ分かりやすくいえばぶくぶくやるわけだね。多くの口腔がんの人は多分同じだと思う。
 頬粘膜がんになって、頬と歯茎の間が極端に狭くなっていたり、開口障害があって大きく口があけられない為に左の奥歯の方は歯ブラシなんかも入らなかったりする。すると食後に食べ物のかすがそこに溜まっていたりするわけだ。放射線治療をするようになって口内炎がひどくなってきて、舌が痛くて思うように動かせなくなると左奥だけじゃなく、そこら中に食べかすが残る。舌でかき集めて飲み込む事ができないからだ。
 で、うがい液を使って消毒しながら食べかすを吐き出す。細かい食べかすがぼろぼろと出てくる様子は圧巻だったりする。うへぇ、こんなに? みたいな。
 逆に言えば、このうがいをしてなかったら、これらの食べかすが口の中で何時間も放置されたりするのかと思うとそれはそれで怖い。
 食後のうがい、歯磨きの大変さは実は入院してから強く実感するようになった事のひとつだ。結構ルーズだった歯磨きの習慣は今は是正されているw

アズノールうがい液

 さて、放射線治療が半分を超えたあたりから口内炎はなかなか厳しい状況になってきている。舌の周囲が少し痛いぐらいから始まった口内炎はすでに舌全体に及んでいて、酸味はおろか、塩味にも痛みが出るようになってきてる。
 ようするに食べるととにかく痛いわけである。舌にものが当たると痛いw
 主食を麺類にしたので、つるつるといけるうどんやそうめんは快適に食べられる。薄めのうどんつゆも美味しく感じられるぐらいだ。若干つるつる感が減るものの、そばは好物なので大変よろしい。そばっぽい風味も美味しく感じる。

 ここ数日は、いよいよ水を飲む時も多少口内に痛みが感じられるようになってきた。
 これ、水分補給でいろいろ飲むと飲みやすいものと痛いものがあるみたいだ。

 もちろん、酸味はNG。コーヒーはまだ飲めるがちょっと浸みる。コーヒーに含まれるクロロゲン酸の刺激が痛みになっているんじゃないかな。コーヒーは牛乳で割ってカフェオレにした方が痛みが少ない。番茶が意外と浸みる。緑茶はわりと大丈夫。綾鷹とか美味しい。水も少し浸みる。

 かなり以外なのはコーラはいけるという事。
 炭酸なのでヤバそうなのだが、コーラは美味しく飲める。勿論、ノーマルコーラはカロリーお化けで砂糖の塊なのでゼロコーラにしているが多少チクチクするが美味しいと思って飲める少ない飲料のひとつだ。コーラで状態を確認している部分もあるかもしれない。
 これが美味しく飲めてるうちはまだ行けるかなみたいなw 美味しいと感じられるアイテムは貴重なのだ。水が飲みにくくなってきているのにコーラが飲めるってのも意味がわからないんだが、実際にそうなんだから仕方がない。本当の事を言えば人工甘味料もあまり良くは無いんだろうと分かってはいるが、ここはちょっと自分の中で許している部分だ。

 ポカリやアクエリは多分いけそうな気がするが糖分お化けなので飲んでいない。いろはすとかも結構砂糖が入っているので避けているので分からない。

 こうなってくると、実はアズノールうがい液での食後のぶくぶくが結構大変なのである。まぁ、浸みる事浸みる事。1回ぶくぶくしたら、いってぇぇぇぇぇとひと休み。もう1回ぶくぶくやって、うんがぁぁぁぁとひと休み。ぜんぜん拉致があかない。
 という事で、食後のぶくぶくうがいは今までのアズノールうがい液にNaを添加することとなった。ナトリウム、塩である。塩を入れると浸みなくなる。

アズノールうがい液に塩を添加

 えぇぇぇぇぇ? 謎だ。
 だって、食事の時に塩味が浸みるんだよ? 醤油味とか痛いよ? 傷口に塩を塗るとか言うじゃないですか、あれって痛い表現だよねぇ?
 でも痛くないんだなこれが。本当に不思議だ。多分、濃度の問題なんだろうな。
 500mlのアズノールうがい液希釈済みにナトリウム4g添加する。これをペットボトルに作っておいてそれでぶくぶくうがいをするのだ。これでうがいは全然痛くなくなった。
 うーん、化学って素晴らしいね。看護師さんありがとう。もっと早く相談すれば良かった。悶絶の数日間は、まぁ授業料みたいなものだ。

 もうひとつ、同時に導入したのがアズノールうがい液にキシロカインを添加したもの。
 即効性の麻酔薬である。これでうがいすると痛みが一時的に激減する。食事の直前とかに少しだけ使っている。オキノームやオキシコンチンだけではカバーしきれない痛みがあるんだが、これで食事の際の痛みがかなり軽減されて食べられている。

キシロカイン入りアズノールうがい液

 食事の時の工夫というか苦肉の策というかがある。
 塩味が浸みるようになってきておひたしや煮物の煮汁や、煮魚や焼き魚などおかず自身の塩味自体に痛み反応が出るようになってきてどうしたものかという話になってきている。もうね、薄めの昆布茶で洗って食べる感じ。それで丁度良いくらいなんだから参るねw
 減塩食にして貰ってもいいのかなと思わなくはないんだが、そうするとうどんやそばの掛けつゆまで薄くなってしまいそうで踏み切れない。麺類は今の状態で美味しく食べられているのでこれを手放したくはないという意地汚さである。
 つい先日までは、おかずの煮汁をご飯にかけて水分を添加して丁度良く食べられていたのが煮汁はもう食べられない状態だ。
 ラーメンのつゆを残すようなもんだ。ちょっと気がとがめる。

 取りあえず、これで多少の美味しいを残しつつ、もう暫くは食時は乗り切れそうである。

 今日もいい1日であった。

この曲が懐かしいとかそんな事じゃないんだからねっ
部屋とYシャツと私1992年3月21日発売「部屋とYシャツと私」平松愛理 OFFICIAL WEB SITEhttps://www.hiramatsueri.com©PONY CANYON

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