ブレイクダンスと股関節の3つの動き

自称高学歴系パワームーバーのどらびです。

パワームーブをするにあたって、一番大事な動きをするのが腰、もとい骨盤、股関節です。

今回は股関節の動きについて考えていきます。

股関節の重要性はネックムーブの達人、bboy hiros1様 も指摘しています。

(Twitter:https://twitter.com/247danceworld)

(Instagram:https://www.instagram.com/bboyhiros1/?hl=ja)

股関節周りの構造

まずは股関節がどうなっているのかを見ていきましょう.

画像1

脚って骨盤に対して横からくっついているんですよね.骨盤のくぼみに球のようなジョイントが嵌っているような形です.

股関節の3つの動き,回旋,回転,屈伸

画像2

画像の通りの動きになりますので,特に文章で説明することはないのですが,これらを組み合わせた動きによって,脚を非常に柔軟に,様々な方向に動かすことができるわけです.

それぞれの可動域はこんな感じ.実は外転って基本的に左右合わせて90度程度までしか開きません.これは意識しとかないと,ネックムーブのときに脚を開こうとしすぎて屈曲方向に体が動きます.

キャプチャ

パワームーブと股関節

さて,基本を押さえたところでようやく本題です.

股関節の動きからパワームーブを検証します.個々のムーブについて説明する前に,一つだけ抑えておきますと,マーシャルやトゥームストーンのような,意図的に閉脚するムーブを除けば,外転の動きは必ず含まれます.

今回のnoteではこれらの閉脚系ムーブについては触れません.

1.トーマス

トーマスは,

屈曲+外転

の状態をキープするムーブになります.

パワームーバーのレジェンド,the endのトーマスです.どの瞬間を切り取っても股関節は屈曲してます.

2.グランド系ムーブ

ヘッドスピン,Aトラ,ウィンドミルについても考えてみましょう.

ネックムーブについて考察した以前のnoteでも述べたように,これら3つのムーブが物理的に最高効率で回転するとき,その運動は非常に近いものになります.この時,股関節の観点からも3つの動きの特徴は一致し,

内旋(orニュートラル)+外転

になります.ここで,

何故外旋してはいけないのか

を説明しますが,これに関してもhiros1様がインスタで説明してますので,まずはそちらを載せます.

こちらではこれを補足する情報を載せていきます.

股関節が外旋すると脚を後ろに振れないと動画上で述べられていますが,これは足と骨盤の接続部の構造に起因します.まずは以下の図をご覧ください.

画像3

大腿骨は,実はL字になっており,横から骨盤と繋がっています.これを外旋すると,L字の部分がつっかえとなり,ほとんど後ろに振ることが出来なくなるわけです.

更に,外転すると脊柱(背中)が丸まる方向に動きます.以下の通り

画像4

というわけで,外旋はグランド系ムーブではタブーであることが理解できると思います…と断言できるほど単純ではありません.

Aトラの場合は上記の通りで問題ありませんし,ネックムーブの場合もそうです.

しかし,ヘッドスピン,および,ウィンドミルの別の派生形では,トーマスと同じく

屈曲+外転

で回ることが出来ます.もっと言うと,いわゆるばねウィンドは

屈曲+外転伸展+外転

の状態を交互に行き来します.これらのウィンドミル,あるいはトーマス,ヘッドスピンしか身についていないと,ネックムーブを学ぶときの脚の振り方,動かし方が理解できずに苦しむことになります.

(ちなみに私も,理屈では理解してるつもりなのですが,癖で屈曲位にしてしまうために上手くいかない,ということが多々あります.)

ちなみにエアーもウィンドミルと同じく

屈曲+外転伸展+外転

伸展+外転のみ

の2通りがあります.

ここで,股関節の動きに注目して分類した時の体の動かし方について考えると,ムーブを習得する上で役に立つことがあります.それは,

体の軸が,ムーブの中でどう変化するか

という問題です.

ネックムーブのように伸展+外転で回る場合,地面に対する体の軸の傾きは,理想としては常に一定になります.これはネックムーブの考察をしたnoteを参照にしてもらえると嬉しいです.

対して,屈曲+外転の動きで回転する場合,軸の傾きはムーブ1周の中で大きく変化します.厳密には変化させずに回ることも物理的には可能ですが,かなり無謀です.(トゥームストーンのままネックムーブすることを想像してください.いかに無謀かお分かりいただけますでしょうか.)

この動画の最初の2秒がめちゃくちゃわかりやすいです.仰向け時は軸がほとんど床と並行で,逆に返した時は軸がほぼ垂直まで起き上がります.そして,うまい人のトゥームストーンは返しのときも屈曲位が綺麗に保たれます.(トゥームストーンもカッコいいなあ.)

(追記)記事を読んでくださったhiros1様がトゥームストーンの別例の動画を教えてくださいました.こちらもレジェンドクラスのgombiです.特徴としてはトゥームストーンなのにできるだけ股関節を伸展させているところ.トゥームストーンネックムーブが目標だったのかも!?

そしていわゆる一般的なバネウィンドはこれらの中間にあります.中間といっても,ほとんど屈曲が優位になります.どういうことかというと,屈曲位のまま軸を起こすのがつらいので,屈曲位から股関節を伸展する動きに合わせて返しを行うことで楽しようとしているというわけです.

終わりに

今回は股関節の動きに注目してパワームーブを分類してみました.

ネックムーブを習得する,というのが一つの大きなテーマなのですが,その観点で言うと,股関節の動きが軸の動きに大きな影響を与えるという事は頭に入れておくといいです.

あと,外転動作は90度までしか開きません.ここでhiros1様の動画を見ておかしいと思った方は鋭いと思います.

全開で回してるとき,明らかに90度より脚開いてますよね.これは先行脚が進展,軸足が屈曲側にそれぞれ対称に振れているために可動域を確保しているのだと思われます.ブーメランと呼ばれる脚の形ですね.言ってしまえば横方向に開脚をキープしつつ前後にも開脚しているのです.これ,両方屈曲してしまうと上で述べたように背中が湾曲する方向に行くので延々とバネウィンドから逃れられません.とにかく対称に足を振るというのがネックムーブのポイントの一つでしょうね.

今回はこの辺で.


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