さよなら、ユニットバス



ユニットバスは嫌いだ。
さも当たり前のようにペアでいやがって。お前らは本来別々の空間にいるべきものだろうが。長湯したくてもトイレを封じていることが気になるし、先んじて入ったらそれはそれで気になるからスプレーをすぐ買い替える羽目になる。

ユニットバスは嫌いだ。
濡れたシャワーカーテンの、冷たく張り付いてくるところが嫌だ。私は暖まりたくて来ているにどうしてそこで寒い思いをしなきゃいけないのか。ただでさえ狭いのに、カーテンを引いて更に空間を取らざるを得ない。一緒になっているから嫌でも間にカーテンを使うハメになるんだ。

ユニットバスは嫌いだ。
トイレの床も洗えるというが、洗えるだけで乾いてくれるわけではない。濡らそうものなら用を足したいだけなのに足がビチャビチャだ。零れた水滴はちゃんと拭き取ろう。

ユニットバスは嫌いだ。
洗面所も兼ねているから髪の毛だって散乱してる。ああもうまた足にくっついて面倒くさい。誰のでもない髪の毛。面倒くさい。

ユニットバスは嫌いだ。
鏡を使いたいのに湯気で曇ったら何も見えないじゃない。2人で揃えた歯ブラシ、カップ、エトセトラ。たまに置き位置が少しズレる。ああ、湯気で見えない。

ユニットバスは嫌いだ。
トイレに篭りたい気分でも、なんだか篭っている気にならない。隣の浴槽が嫌でも目に入る。減りの早いコンディショナー。彼は買わないから気付かないんだろうな。


彼が選んだ部屋。彼の選んだ私。彼の選んだ彼女。

いくら一緒にいても、水には流せないよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?