返歌

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[R-18] #アイドルマスターシャイニーカラーズ #田中摩美々 これってそんなウィークエンド。 - 遠野 遊の小説 - pixiv
こちらへの返歌です。

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 幼い頃に観ていた、ふんだんにフリルをあしらったコスチュームを身に纏い、街に現れては人々にメイワクな危害を加える怪人や手下と戦う少女たちのアニメーション。悪者を倒しているのだから当然彼女らはいい人たちですよねー。
じゃあ悪い子な私を押し倒して責め立てているこの人はどちらでしょう?

今日はレッスンも終わり、翌日は二人のオフが重なる日。帰りがけに一つ前の駅で降りて寄ったレンタルビデオ屋さんでそれぞれ3本ずつ借りて帰ったら開封式を執り行う。三峰は今をトキめくアイドルが出演している流行りものと銃撃戦がウリの洋画を2本。そのシリーズ好きだねえなんて言われてしまった私のチョイスは、B級と呼ぶのも憚られる、サメたちが飛んだり飛んだりするパニックムービー。世間にはそのチープがウケているのだから、そろそろパニックギャグというジャンルを作ったほうがいいかもしれませんねー。そこがいいんですよ、と嬉々として映画のあらすじを読み上げ始めた三峰を押しのけ、一緒に買ってきたジュースを冷蔵庫に押し込んだ。

夜ご飯を食べているときは三峰チョイスの映画を観た。吹き替え版の声優に芸能人が起用されているとの触れ込みだったが、いつも通り字幕版を選択した。内容は期待通りの熱いストーリー。主人公タッグによる息の合った激しい銃撃戦。爆発する敵本拠地。ここで三峰がトイレに行きたいというので一時停止して、待っている間にお皿を水につけ、お風呂をセッティングする。戻ってきた三峰がごめんごめんと再生ボタンを押し、しばらくしてまた小気味のいい連射音が響く。そして洋画おなじみの熱いキスシーン。どうして洋画って落ち着いたらキスするんでしょうねー。少しだけ意識してしまって、ちらと盗み見た先はただの横顔でなんだか負けた気がした。
 スタッフロールを見送り、先ほど軽快な音楽を奏でていた給湯器をねぎらいに腰を上げる。DVDで見るスタッフロールは集中が途切れがちで、どこそこが良かったよね、笑えたよねと感想を語り合う時間になっていた。この作品を作り上げたスタッフさんたちには申し訳ないが、映画館ではできない楽しみ方で個人的には気にっている。一番風呂は家主の三峰に譲り、私はクレンジングシートでメイクを落としてから食器用スポンジを泡立てた。
 お皿を洗い終えてソファに寝そべっていると、頭にタオルを巻いた三峰が出てきたのでソファを明け渡す。湯加減はいかがでしたか姫様。うむ、なかなかよのぅ。そちも入りなさい。なんて軽口を交わしてバトンタッチ。もう3箱目になった私用の収納ボックスから着替えのパジャマとバスタオルを取りだしてバスルームへ向かう。浴室の戸を開けると閉じ込められていた湯気たちが我先にと逃げ出して、洗面台の鏡にまとわりつく。鏡の表面ってひんやりしてて気持ちいですもんねー。湯気と一緒に三峰の香り、もといシャンプーの香りが鼻をくすぐる。たまにはこの香りを纏ってみようか。付き合い始めのころのお泊りで、三峰のシャンプーを借りたあとしばらくの間髪を嗅がれたことを思い出し、このイタズラは却下する。まぁ自分のシャンプーを使っていても嗅がれるときは嗅がれる気がしますケド。

面倒なブローも終え、愛する三峰の待つ部屋へ向かう。何の音も聞こえてこないが、まさか寝てはいないだろうけれど、いやいや昼間のレッスンはかなり過酷だったしここ最近はまともな休みもとれていなかったから十分ありえる。ありえなくはないけどありえてほしくはないな。そう思いながらドアを開けると、室内は暗く、間接照明とテレビの明かりだけ。まみみん、こっち。くだんの三峰はテレビ前のソファに腰かけて、自分の隣をポンポンと叩いて私を呼びこむ。準備がいいですね、と告げるとまあねー、夜はこれからですから。と楽しそうに笑う愛しいあなた。彼女がデッキ用のリモコンを操作すると、怪しい映画の予告映像が流れ、私の選んだ映画が再生され始める。始まりはきれいな砂浜。私たちの時はこんなのがいなくてよかったなと思いながら雑なCGのサメが人々を食い散らかしていくのをぼんやり眺める。ふと、なんだか視線を感じて隣を向くと、三峰と目が合った。何?と尋ねると、レンタルビデオ屋での一幕のことを聞かれた。私がアニメコーナーでDVDを眺めていたのが目に留まったらしい。普段興味があるそぶりを見せていなかったため気になったそうだ。それはお休みの日の朝にやっている女児向けのアクションアニメで、懐かしいと思って手には取ったがそれ以上ではなかったが、三峰も同じシリーズを見ていたとのこと。記憶に残っているシーンをお互い共有してみたが、残念ながら重なるものはなく、画面のほうから悲鳴が聞こえたので揃ってそちらに目を移した。この杭をひれに打ち込めば動きを止められるわ、と小学生の工作みたいなバズーカが主人公に手渡される。この女性研究員は食べられずに生き残れるんですかね。人々を食い殺してきたサメも、主人公の前では形無しだ。横に置いていた手をふいに握られ、頬から小さな水音が響く。卑怯な不意打ちに抗議の声を上げようと振り向くと、悪い顔した三峰が。こちらを向いた三峰のレンズには大きく口を開けたサメが映り込んでいて、嗚呼私はこれからこの人に食べられてしまうんだと観念した。

 先ほどキスを落とされた頬を指がなでる。あなたの残滓が塗り込まれて、ぞわりと粟立つ。そうやって顔に手を添えたまま、三峰が顎のライン、首筋、鎖骨へと、唇を、落としていく。そのひとつひとつに今度はこそばゆさを感じて少し身をよじると、パジャマのボタンを開け終えた手が腰に添えられた。私が逃げ出さないように、捕まえて。目が合い、なぞり上げていく、頬から耳へ。ん、と私が声を漏らせばと笑みを浮かべ、またひとつ、キスを落していく。首筋から鎖骨へ、鎖骨から肩、胸のあたり、みぞおち、肋――
キスをされるたびに、身体が縫い付けられたみたいに、抵抗する気力を奪っていく。逃げ出せなくなる。耳をなぞり上げられ、上擦った声が部屋に響いた。
いいよね、と唇に長めのキス。腰にあった手が手繰るのに合わせて少し腰を浮かせる。三峰が脱がした服を私の左足からだけ外してそのまま左足を身体の外側へ。足を拡げる形になってひやりと外気に晒け出されたそこは、確認するまでもなく熱と湿度を孕んでいた。三峰の指がやさしく私の秘部を撫でる。もどかしくて、指をねだる。三峰、ちょうだい? 私の嬌声を潤滑材に、指が緩やかに深く潜り込んでいく。その最中にも三峰はキスを落していく。針を落とされるたび、ナカをかき回されるたび、私の喉から水分が抜け、代わりに三峰の指に纏わりつく。白磁のように嫋やかな三峰の指が、私の愛で汚れていく。快楽を刻み込まれるたびに脳が蕩けて、私の最奥で蠢く異物感と一体になる。嗚呼、私の、私の全部を、三峰――。ぐちゅり、と音がして、私の意識は途切れた。

 気が付くと目の前に90度回転した三峰の顔。つまり後頭部のこの暖かさは。脚、しびれてませんかー? やおら起き上がろうとする私の肩を三峰が押さえつける。ダメダメ、まだ眺めさせてよ、なんて。せめて水分は取らせてほしかったが、にんまりとこちらを眺める彼女を眺めているのも悪くはない。そもそも、鱗粉を落した翅を拡げられて、あなたに釘付けにされた私が、あなたに見つめられるのを断れる道理があるだろうか?

それなら、仕方ないですよねー。

彼女の記憶に飾られて。願わくはいつまでも。あなたの宝物として。


『ウィークエンド、これから』


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