初めての海外

私は、これまでの人生で一度だけ海外に行ったことがある。あまり思い出は多くないが簡単に綴っていこう。

それは私が大学一年生の時。私は第二外国語で中国語を選択していた。日本語の元になった漢字を使うのだろうと高を括っていたが、実際には簡体字と呼ばれる字を使う。また、日本語や英語には無い発音も多くあり、体を動かすこと全般が苦手な私は、発音の習得も苦労した。

そして前期の終わり頃、中国語の講義でとある案内があった。そう、集中講義の案内だ。実際に中国を訪れ、現地の大学生と交流する。要は、8日間程の超短期留学だ。1人では無く、教授の引率もあり、宿泊する場所も用意される。海外経験の無かった私は興味を持ち、その集中講義を1年生で唯一受けることにした。その集中講義は毎年ある訳ではないらしく、大学院生の受講者も居た。

正直、中国でのことはあまり覚えていない。聞こえるのは馴染みのない言葉ばかりで、相手にうまく伝わる言葉を私は習得できていない。後半には早く日本に帰りたくなっていた。覚えているのは、中国の露店で買った磁石のおもちゃや、扇、パンダのぬいぐるみといったお土産ぐらいのものだ。現地で売られていた漫画も買いたかったが、日本とは水準が違い諦めた。

こんな経験をしているから、海外への憧れは全く無い。日本人同士、同じ日本語で話していても意思の疎通ができないことがあるのだ。言語が違えば更に難しくなるのは自明だろう。海外に行くならせめて、その言語やその地域に詳しい日本人と一緒に行きたい。こうした甘えた考えだからか、外国語の習得もどうも苦手だ。