珍しい経験 -初期不良-

これはつい最近あった出来事。元々使っているマウスのカーソルが荒ぶることがあり、買い替える程ではないかと考えていたものの、本格的に故障する前に予備のマウスを用意しておこうと考え、家電量販店にマウスを買いに行った。当初はワイヤレスマウスがいいなぁと思っていたが、電池の準備もだが、価格面も考慮して結局有線のものを買うことにした。なんと、税抜だと300円を切る価格で販売されていたのだ。在庫処分品とはいえこれはリーズナブルだ。
安くてそこそこの品質のものが買えたと、ほくほくしながら帰路に付く。普段通らない道をたまには通ろうと回り道をしてみる。それだけ上機嫌だった。
そして、家に帰り着いて早速マウスをパソコンに繋いでみる。だが、マウスをいくら動かしてもマウスカーソルは画面に見当たらない。念の為、元々使っていたマウスも一緒に繋ぐと、マウスカーソルが画面に表示される。新しいマウスを動かしても画面には全く反映されない。これはどうしたことだろう?
デスクトップパソコンであり、USBポートは複数あったので、そことの接触が問題かもしれないと、全てのポートに一度ずつ差し込んで反応を試してみる。だが、それでもマウスカーソルは動かない。また、光学式マウスであるなら、マウスの裏から赤なり青なりの光が出ているのではないかと思い付き、裏返すが光っていないように見える。もしや、可視光ではなく赤外線や紫外線を使うタイプなのだろうか?機種名を調べてもその情報は出て来なかった。

ここまで来て、流石にこれはマウス側の問題と考え、購入した店舗までそのマウスとレシートを持っていき、事情を説明する。すぐに店舗の方が対応してくださり、そのマウスをパソコンに繋いで確認していただいた。
「接続して数秒経たないとマウスは反応しないんですよ」
と店員さんから説明があったが、
「数分経っても反応しなくて、複数あるUSBポートで試してもどこも反応しなかったんですよ」
と状況を説明する。パソコンに接続されている機器の確認画面に、いつまで経ってもそのマウスが表示されないことを店員さんが確認されていた。私は、そんな確認方法があったのだと新たな学びを得る。そして、同じ新品の商品で動作を確認することになった。そちらは、説明して数秒で裏から赤い光が漏れ出ていた。
「これは…初期不良ですね」
店員さんが言う。やはりそうだったのかと私は得心がいった。しかし、なかなか珍しい体験ができたものだ。製造側であれば比較的見掛けると思うが、消費者側ではあまり経験できない。そんな、まるで嘘のような本当にあった話だ。