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"つくる"楽しみ

普通、「料理が趣味」と言えば、「料理をつくることが趣味」だと捉えられるだろう。決して、「料理を食べることが趣味」とは思われないはずだ。
私は、クイズやパズルを"つくる"ことが趣味みたいになっている。わざわざこう言うということは、解く方は特に趣味ではない。「クイズが趣味」とか「パズルが趣味」とか言うと、大抵解く方だと思われるので、区別のためにこう言っている。

クイズやパズルの作問の魅力は、料理にも似ているだろう。料理が食べる人のことを考えてつくるのが楽しいように、作問は解く人のことを考えてつくるのが楽しい。料理でいう「美味しく食べてもらう」、が作問では「楽しく解いてもらう」に当たるのだ。

先人を倣って作るうちは良い。前例を元にして、少し自己流のアレンジを加える。それでも程々のものが出来る。
だが、完全なオリジナルを作ろうとすると混迷を極める。上手くいく組み合わせであるかを試行錯誤し、ダメなら別の案を試し、それでもダメなら全く別のものを一から試す。一つ仕上げるには、アイディア力と、根気が要る。

そうした苦労があるから、それを楽しんで解いてもらえるととても嬉しい。つくる時間に対して、それを解く時間なんてほんの僅かだ。でも、その短時間に全てが詰まっている。
これはきっと料理をつくる楽しさにも通ずる所があるだろう。作り慣れたものを作ることも楽しいが、新たなものを創るのも、楽しい。完成できた時の嬉しさと、それを楽しんでもらえた時の嬉しさは何者にも代え難い。

世に溢れる作品達も、それぞれの作者の苦労の末に出ている。味わうのはほんの僅かな時間だが、それを創るのには試行錯誤があったに違いない。つくる側のことを知ると、見える世界が変わる。