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好きな植物(2)

 気分を変えていつもと違う帰り道を通っていたとき、鮮烈な紫が私の目に飛び込む。そう、アザミだ。漢字では「薊」と表記し、何故かパーツに魚が入っていることに不思議さを覚えたのは私だけではないだろう。花言葉は「報復」「触れないで」といったやや怖いものから、「厳格」「独立」といった素敵なものまで存在する。棘があることからプラスの意味もマイナスの意味も生まれていることが興味深い。
 さて、私はこのアザミの花が植物で一番好きなのだが、理由はあまり分からない。「好き」という感情は内面から湧き出るものであり、うまく言語化できないことは得てして起こりうるものだ。でも、私なりに私の感情を分析してみようと思う。
 やはり、アザミの特徴といえばその花の形状だろう。一口に花といっても色んな形があるが、ぱっと思い描くアザミの、どこに花びらがあるか私には分からない。そんな個性的な見た目は私がこの花を気に入った一因だろう。
 そして、外せないのはその色。やはり、紫色を持つ植物は珍しいと思う。かつてはその染料の貴重さから、高貴な色として扱われていた紫。そんな色の中でも、アサミは明るい紫で周りの緑の補色に近く、映える色合いをしている。花に誘われる蝶のように、私が惹かれるのも必然だったのかもしれない。

 「一番好きな花がアザミ」だと言うと、大抵の人には驚かれることが多い。山野に自生し、棘もある。幾人に反対されようとも、アザミの花言葉「独立」を胸に秘め、私はアザミが好きだと公言する。